Twitterに投稿した感想です。
それではどうぞ~
ニッポン2021-2050(落合陽一・猪瀬直樹)
落合陽一・猪瀬直樹『ニッポン2021-2050』。
全体的な主張には頷ける部分が多いのだが、例がしっくり来ないので、印象がボンヤリしてしまう…。
未来予測や日本の課題がよくまとまってると思いますが、コンビニとディズニーランドを否定する感覚はちょっと…。あれらには日本の強みが出てると思われ。 pic.twitter.com/NTqcoWAEar— 末尾 (@matu_bi_) 2018年11月9日
作者さんのSNS情報
【猪瀬直樹】
猪瀬直樹さんは日本の作家、元政治家。
●サイト:猪瀬直樹オフィシャルウェブサイト
●Twittr:@inosenaoki
【落合陽一】
落合陽一さんは日本の研究者、大学教員、博士(学際情報学)、メディアアーティスト、実業家。1987年生まれ。
●サイト:YOICHI OCHIAI PORTFOLIO 落合陽一のページ
●Twitter:@ochyai
感想
グラフと主張の不一致感
冒頭に、島根県の隠岐の島、海士町のコストについて語られるんですが、目黒区の8倍かかる!のはいいとして。
海士町って、地域おこしに力を入れていて。Iターン者が多く、人口減少や産業の衰退を抑止出来ている、ある種のモデル地域です。Iターン者によって、隠岐牛とか、サザエカレーとか、新しい商品を開発して、盛り上がっている地域なのです。
だから、「人口減少によって高コストで人口が少ない地域は消えていくかも知れない」との指摘はごもっともですが、例に「目黒区の8倍のコストの海士町」をもって来られると「はあ??」となる。
こういう、荒い説明が多いです。なんとなくそれっぽいけど。編集者のチェックが甘いんじゃないかな…。
ビジョンとは?
引っかかったこととして。
「ビジョンが大事」「今までの日本にはビジョンがなかった」という問題提議がされています。これには同意します。
しかし、この本を読んで未来のビジョンが描けるのかな…??と
ビジョンって、現在を分析して未来を予測するってことなのでしょうか。
私の考えるビジョンは「現実を踏まえた、あってほしい未来の姿」で。
この本を読んでも、全くワクワクしないんですよね。「このビジョンを全体に共有すれば世の中が変わるかも…」みたいな期待が起きて欲しくて読んだのですが。
そこは一人一人が考える、ということに帰結するのかな…。
小さいところに引っかかる
オリンピックで思考停止している!との主張がありましたが、それは政治家であって一般市民は色々危惧したり苦慮していると思いますが…。
この間の大阪万博決定もそうだけれど、政治がおかしいのを人民に転嫁するのは違うのではないかと。
ドラえもんで描かれる世界が心象風景、という論はちょっと無理やりすぎる感があります。
『サザエさん』『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』等、アニメで描かれる家族観が旧泰然としている、プリキュアのように多様な親の姿を見せた方が…というなら分かるのですが、あれは理想でも何でもない。ただの設定です。描かれた年代も古いですし(でも、のび太のママがパートに出たらマンガの世界が壊れるのでやめて欲しい。)
色々なことについて幅広く言及していますが、ひとつひとつの意見が浅い・狭い感があります。
歴史観についても、すぐにうんとは頷けないです。
ディズニーランドは単純な娯楽施設か?
猪瀬直樹さんは、ディズニーランドをよく観察した方が良いと思うよ…。
好き嫌いはあると思うけれど、ディズニーの魅力は、そんなに単純ではないと私は思っています。
あの場所の細やかさ、夢の国を生み出すメカニズムにはある種の美しさがあります。
※現在、労働問題を起こしているので、キャストへのサービス残業等は改善してほしいですが…
アメリカのディズニーよりも東京ディズニーランドの方が集客出来ていて売上も高い筈ですが、日本人の手によって運営されているからこそ、のテーマパークだと思います。
最近はUFJやレゴランドが成功したけれど、テーマパークって失敗する事の方が多いです。
東京ディズニーランドという成功を軽く扱われると、その時点で「この人の見ている世界って…?」となってしまう。
コンビニついてもそうで、色々と考えるべきことはありますが、引き合いにだす場所が違う感がありました。
日本の良いところも認めて良いと思うんですけど、無駄にダメ出しや決め付けが多い感じがしました。
世代間交流としては良いかも…
猪瀬さんを支持する中高年の読者が落合さんを知ったり、落合さんのファンである若者世代が猪瀬さんを知るきっかけにはなるので、世代間交流の手段としては良いと思いました。
『未来の年表』との比較
別に盗作と言いたいわけではないのですが、少し前に読んだ『未来の年表』と内容が近いように思いました。
私には『未来の年表』の方がシンプルで分かりやすかったです。
まとめ
書店で見つけて買った本なのですが、読む前の期待が大き過ぎたかも知れません。
全体に、データなどを追って細かく分析されているので構造理解の一助とはなりますが、説明が足りてない感も強くて。
男性2人が書いた本だから仕方ないけど、女性の視点が欲しいとも思いました。
この本、Amazonレビューに★5の絶賛が多いんですけど、ええ…?と冷たい視線を送りたくなる程度には、粗がありますよ…。
(レビューを買ったとかではなく、自分の頭で考えてない感じ)