最近、この本を読みました。 江戸しぐさという偽史を検証した本です。大変おもしろかった。
※「江戸しぐさ」についてはこの辺の記事を参照ください。
●“偽物の歴史”を教育に用いるのは、倫理の根幹を破壊する行為~「江戸しぐさの正体」著者・原田実氏インタビュー (1/2)
●第2章まで試し読みできます
そして気付きました。「母乳にハーブティが効く」という話は江戸しぐさと同じで、商売の為に作られた「流行」、間違った信仰であると。
アフィリエイト収入の為に作られた嘘
私もハーブティを飲んでいた
出産後、全然母乳が出なかった。自分のおっぱいは冷えてこわごわとしていて、助産師さんも心配していた。冷え症でもないのに、芯まで冷えていると言われた。
薦められるままに葛根湯を飲み、足湯をしても、全然変わらなかった。
同じ病院で自分の3日後に赤ちゃんを産んだ女性のおっぱいはアイスノンで冷やすほど熱く膨れ、母乳が滴り落ちるほどだった。
妊娠中からおっぱいマッサージもして、準備万端だと思ったのに。入院中は、一晩中娘におっぱいを咥えさせながら眠れない夜を過ごし、助産師さんに勧められてミルクを足した。よくわからない罪悪感で泣いた。娘に申し訳なかった。
退院の日。娘は母乳を20gしか飲めておらず、1週間後に母乳外来に来るよう言われた。ダメな母親だと言われているように感じた。
助産師さんからのアドバイス
心配になったのだろう。退院指導を担当した助産師さんが「マリエン薬局のハーブティを飲めばおっぱいが出た、という人は多いみたいよ」と教えてくれた。
そういえば妊娠中に読んだ漫画にも、ハーブティが効くと描かれていた。産院の部屋にもハーブティが置いてあった。
早速注文、そして…
藁にもすがる思いでその日のうちに注文し、ドイツから届くのを待った。
届いてからは毎日5杯くらい飲んだ。早くおっぱいが出るよう、祈りながら。
飲み始めると、数日でおっぱいが張るようになってきたように感じた。助かった…と安堵し、苦しい局面を救ってくれたハーブティに感謝した。
その後も、乳腺炎を予防する為に飲み続けた。1度も乳腺炎にはならなかったので、再びハーブティに感謝した。
子どもが1歳になった頃
子どもが1歳を過ぎたころ、このブログ「育児漫画目録」を始めた。
妊娠時に読んでいた漫画の感想を書きながら、一緒にマリエン薬局のハーブティを薦めた。効果があると思ってた。
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『ヒゲの妊婦(43)』(ひうらさとる)感想~43歳のゆるすぎる妊娠生活~
タイトルに「43歳のゆるすぎる妊娠生活」と書きましたが、43歳・高齢出産!…と思って読み始めると、拍子抜けするくらい、ゆるっゆるの妊娠生活が描かれています。 amazon ★★★★(3.7) 楽天 ★ ...
その後、小児科医・森戸やすみ(@jasminjoy)先生のブログと出会い、「ハーブティが母乳分泌を促進する効果は実証されていない」 、つまり科学的な根拠はなく、例えば同じ量の水を飲んでも変わらないことを知った。
しかし、「私には効いたし、根拠がなくてもまあいいか」と思っていた。
アフィリエイト報酬は1点400円
最近、アフィリエイト商材を確認していたら、マリエン薬局ではないが「母乳がでるハーブティ」があることに気付いた。アフィリエイト報酬の金額を見て驚いた。
私はブログで漫画を紹介しており、1冊1000円の育児漫画が1冊売れると、商品単価の1~8%(10~80円)が手に入る。
ハーブティは1点1796円(税込)で、誰かが購入すると、商品単価の24%、約400円が得られる。非常に割が良い。
ふと思った。
「私が飲んだマリエン薬局のものではないけれど、ハーブティは母乳に良いと聞くし、ブログで紹介しようかな…?」
魔が差した。でもその瞬間、はたと構造が理解できた。
ハーブティ販売の構造
ハーブティを飲んだ人が「自分が試した上で、効果があった」と他人に薦める。
1点売れたら、400円が手に入る。
母乳が出なくて不安な誰かの為になり、自分の利益になる。だから、広めようとする。
それが積み重なって「ハーブティを飲めば母乳が出る」という、科学的・数値的な根拠も、検証結果もない情報が「さも事実であるかのように」扱われるのではないか。
「母乳神話」が生み出された原因の一端は、アフィリエイト広告が握っている。
Googleの検索上位はハーブティのアフィリエイトばかり
Googleで「母乳 でない」で検索すると、結果にハーブティの広告が表示される。
母乳がでなかった体験や自分の苦しみを書くと共に、ほぼ全てのサイトで、ハーブティを売っている。
例えば検索結果の1位として「母乳がでない・母乳不足の人へ」というサイトが表示される。
※記事を書いた時点で見えていた画面はこちらです→Web魚拓
一見、情報サイトに見えるが、左上に商品リンクがでかでかと存在している。
運営者情報は企業ではなく個人で、名字は書かれているがフルネームではない。住所も詳細はない。
これは個人が作ったアフィリエイトサイトである。
母乳育児を強調した上で「ハーブティが効果的だった」と書いている。買うしかないような気分になる。
検索して表示されたサイト、ほぼ全てで「母乳には(乳腺炎には)ハーブティ」と勧められる。これは信じてしまうだろう。
ハーブティが効くことの根拠は"個人の感想"
リンクをたどってハーブティの販売元に行ってみた。
「試して良かった今は完母です!」と書いている。
※※記事を書いた時点で見えていた画面はこちらです→Web archive
効果的とする根拠は製造・販売している会社自身が実施した「ハーブティを飲んだ人の感想アンケート」。”効果効能には個人差がある”との警告表示もある。
恣意的な数字の読み方
例えば ↓ の文章、アンケート結果の数字の読み方がおかしい。
問1では”少しはでているが十分な量ではなかった”という当たり前のことを「悩み」としてアピールしている。
問2では、母乳がでない時に実践した内容が書いてある。
強調されている66.8%は「水分補給」「食べ物・飲み物に気をつける」「ハーブティの」の合計である。ただの水分補給が26.2%であり、ハーブティ単体では17.6%である。
不適切な数字の読み方によって、「食べ物に気を付けるという新常識の刷り込み」と「母乳が出ない時はハーブティを対策とする人が多い」といった印象操作を行っている。
問3では飲み始めて実感できるまでの日数。「実感」=個人の感想でしかない。
母乳がでるまでには時間がかかる
産後の身体は疲れている。ホルモンバランスも激変する。
私は出産後、興奮もあり、ほぼ寝ないまま72時間(3日)近くを過ごした。出産した時の年齢は34才で若いとも言えない。身体が、おっぱいの製造より身体の疲労回復を優先したのではないか。
また、赤ちゃんだって初めておっぱいを飲むのだ。慣れるまでには時間がかかるだろう。口の大きさだって乳首の大きさだって、個人差がある。
上手くいかないのは当然なのだ。
母乳外来でのはなし
母乳がほぼ出なかった産後の1カ月間、「母乳外来」にも通った。助産師さんには、
・娘の口の大きさに対して私の乳首が大きくて吸いにくいかも
・体重が少なく(生後1カ月で4200g)体力不足かも
…といった原因も伝えられ、「一般に母乳が安定するまで1~2カ月はかかるし、赤ちゃんが大きくなるとともに解決していく」と言われたのだけど、何故かハーブティを妄信していた。
子育てがひと段落したいま、当時を振り返ると最初の1カ月、まともに寝てないからだと思う…。
ハーブティ飲まずに寝ろよと、過去の自分に言いたい…。
おっぱいが出るようになるには?
周りの人のサポートを得てちゃんと寝て、美味しくごはんを食べる。テレビだって見ても良い。粉ミルクに頼っても完全母乳に戻すことは可能だ。
リラックスして待っていれば、母乳はでるようになる。
出来るだけおっぱいを吸わせて、赤ちゃんが慣れるのを、おっぱいがでるのを、ただひたすら待つ。
待つのはつらい。でも子育ては待つことの連続だ。これから先の予行練習。子どもの成長を待つ方法を模索しても良いだろう。
結局自分は、母乳が安定して出るまで2カ月かかったけど、ちゃんと休んでいれば違っていたのではないかな…。
何故、根拠(エビデンス)がないのに信じるのか?
ハーブティは多数のメディアで紹介し、芸能人も飲んでる。効果を感じた。だから信頼できる。果たしてそうなのか。
雑誌にとっては「広告主(スポンサー)である」事実
2012年12月に発生したアメブロのステマ事件を覚えているだろうか?芸能人も仕事。報酬面で合意できれば広告に協力するだろう。
お金を出して買った広告記事であっても、地方放送のCM枠でも、メーカーは「雑誌・テレビで紹介した」と言える。嘘は言っていない。TV局や出版社にとって、メーカー(広告主)はお客様だ。わざわざ否定することはない。
”霊験あらたかなツボ”を売るのと同じでは?
アンケートの問4は「友人・知人への紹介したいと思いますか?」
回答者の96%が「紹介したい」と答えている。
ハーブティについて、1人目の育児の時に「効果がある」と錯覚したら、人に薦めるのは自然なことだ。
自分と同じように、苦しむ人に光を与えることが出来る喜び。アフィリエイトを利用すれば、お金というわかりやすい”御利益”もある。それはとても幸せな事実だ。
しかし、壺や水晶で母乳がでるようになるという根拠がないように、「ハーブティを飲めば母乳が出るようになる」も科学的な根拠は全くない。
”みんなが儲かる”という不自然
メーカーとしては笑いが止まらないだろう。効果に保証がなくても売れる。検査もいらない。効果を調べる必要も示す必要もない。
薬効成分も調べない、ただの草なので原価も安いだろう。アフィリエイト手数料として商品の24%もの金額を支払えるのであれば、メーカー側の利益はいくらだろう?ホメオパシーで砂糖玉を売るのと同じ話である。
クレームも無く、感謝され、時間が経てば自動的に顧客が変わり、また売れるようになる。
結論
母乳ビジネスは商売の構造がカルト宗教と同じです。詐欺です。
ハーブティを飲まなくても、きちんと寝て、いつもより多めに水分補給し、ごはんを食べていれば、母乳は出るようになる。
別に最初から完全ミルクにしても問題ない。義母の話だと私の夫は最初だけ母乳、途中から完全ミルクで育ったようです。昭和40~50年代生まれはミルク育児が多かった。一時的にミルクで補った後、完全母乳に移行することもできます。
しかし、自分の希望通りには進まないかも知れない。ミルクにしたいのに母乳がですぎて乳腺炎になるから吸ってもらわざるを得ないこともあれば、母乳にしたいのに全然出なくてミルクにせざるを得ない時もある。
どういう方法であれ、お母さんと赤ちゃんが笑顔で過ごせれば、それで良いのではないでしょうか。
デマが「事実」に変わる時
数値的な根拠がない「母乳が出る自然なハーブティ」という不自然な存在に頼る。紹介する。それが続く。
冒頭で紹介した「江戸しぐさ」と同じで、今現在、「おっぱいが出ない時にハーブティを飲んでいた」というデマが事実(史実)に変えられようとしている。
最近は「妊活に効果があるハーブティ」も登場している。
そのうち、「就活」に効果があるハーブティも登場するに違いない。
※そのくらい馬鹿らしい話です…。
真っ当な情報源を選ぼう
上述したように、アフィリエイトによって、インターネットの情報の多くは「あてにならないもの」「騙して売る構造」になっています。
もしかしたら検索をきっかけにこの記事を読んでいるかも知れませんが、妊娠・出産・育児に関しては、検索での情報収集は悪手です。辞めた方がいい。
例えばカンジダ膣炎は”専用のソープで洗って直そう”とか(これは逆効果で悪化します…)、脳機能の問題である「子どもの発達障害」を”サプリメントで直そう”とか、エビデンス=科学的根拠がない、アフィリエイトで商品を売る為に作られたデマが沢山あります…。
まずは”真っ当な”情報源を選びましょう。
その後の情報を追加
2017/8/27追記:
バズった?みたいで沢山読んで頂き、ありがとうございます。頂いた感想はTogetterでまとめました。
●母乳が不足するときはハーブティが効果的?根拠のない助産師監修のハーブティ販売について
この中から気になった情報を取り上げます。
2017年時点の怪しい話
現在、上で取り上げた「AMOMA」は、全国の産婦人科や助産院でサンプル配布が行われています。現場の助産師に勧められたといった声もありますが、効果を示すエビデンス(研究結果など)はありません。単なる口コミ、デマですのでご注意ください。
産科施設に無料でサンプルを提供していますね。産婦さんにとって医師のお墨付きとなると絶大な宣伝効果になりますね。(実際は医師も効果があるからと採用はしていないでしょう)
アフィリエイト報酬も多いのは初めて知りました。かなり宣伝にお金をかけているのですね。情報ありがとうございます。— はちみつ (@honeyhoneymam) 2017年8月25日
ハーブティーやベルトのように産科施設で貰えるサンプルやパンフレットは産婦さんには医師からのお薦めのように見えますから、配慮が欲しいものです。他にもウォーターサーバー、紙オムツ、人工乳、消毒タブレットなど、枚挙にいとまがないです。
— はちみつ (@honeyhoneymam) 2017年8月26日
助産師がデマ??
でもなぜ助産師がデマを言うのだろう?と思う方もいると思いますが、「日本助産師協会」という団体がそもそも、信頼できない部分がありまして…(汗)。
過去にホメオパシー(これも、「レメディ」と呼ばれる砂糖粒を飲むと治るといった根拠のない効果を謳ったデマですが)を推奨したり、それが元で2010年頃に赤ちゃんが亡くなったのに、謝罪や撤回がなかったりしています。
※詳細はこの記事参照
●助産師提訴に関しての日本助産師会の非常にお粗末な対応(Not so open-minded that our brains drop out.)
結果、個人で開業している助産師がいまだにレメディを販売してたりと。詐欺に近い行為を行い続けている状態です。
母乳のレメディを訪問や開業の助産師が販売してて、月数万円という事例もあります。
助産師会や保健所に連絡してみてと助言。— 堀 成美 (@narumita) 2017年8月26日
助産師のデマは労働問題が原因では…
産婦人科の現場は忙しく過酷で、お産に関わる方たちの労働問題(余暇がない為、新しく学ぶ時間が取れない)もあるとは思います。
労働問題の解決は難しく、現場にいてハーブティを勧める助産師の多くは、単純に勘違いしている・知らないだけだと思います。
真面目に行動した結果、ハーブティを売って利益を得たい企業やアフィリエイターに利用されている感もあり、お気の毒だとも思います…。
相談先・通報先を知ろう
とはいえ、「忙しいから」「知らないから」で済む話とは思いません。
上述したように、自分の利益の為に高額な商品を売りつける悪質な助産師やブロガー(アフィリエイター)もいます。
何かあった場合は、消費者センターなどに通報しましょう。
どこに通報がいいのかが難しいんですが、効能を謳っているわけなので東京ならこことか東京都福祉保健局健康安全部 (薬事監視担当) 《電話》03-5320-4539 都庁内線 34-430、消費者センターとかhttps://t.co/YpKLTR9N0R
— 森戸やすみ☆祖父母手帳発売中 (@jasminjoy) 2017年8月26日
また、20178月24日に厚生労働省は「医療機関ネットパトロール」を開始しました。母乳促進、妊活も以外にも、例えば癌など難病に効果があるといった「医療的な根拠がない表示によって販売される商品」は告発の対象となります。
●「うそや大げさな表示」の医療機関ウェブサイトは、誰でも通報できる
医療機関ネットパトロールはこちらです。どんどん告発しましょう。https://t.co/vjswJeBx5j
— 勝俣範之 (@Katsumata_Nori) 2017年9月2日
ネット上には頼れる医師アカウントがあります。こんな一覧を作ってみました。
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【医療】妊娠中、産後の情報収集に!医師アカウントのご案内~Twitter&Instagram
※2019/1/22リライトしました。 うちのブログに来ている方は妊娠中、産後の方も多いかなと思います。 検索でうちにたどり着いているので、日常的にGoogleやYahoo!での検索に頼りがちな気もし ...
株式会社ボーダレス・ジャパン
母乳が出るハーブティ「AMOMA」を製造・販売するボーダレス・ジャパンは、フェアトレードを行うなど、割と本気で「お母さんたちを楽にするために!」「世の中をよくするために!」ハーブティを製造・販売しているっぽいです。
どれほど信念があり、正しいことをやろうとしたとしてもデマはデマですし、結果的に不安な人を陥れている構造となっている事実に気が付いて欲しいと思います。
昨晩はハーブティについてリプライたくさんありがとうございます。
まとめ作ってるんだけど、「AMOMA」作成・販売元のボーダレスジャパンはヤバイな。割と本気で「良いことをやってる」と思ってる感が。
フェアトレードと繋げるとか。https://t.co/j7tQPB2kz0— 末尾 (@matu_bi_) 2017年8月25日
わざわざ読み物サイト(検索対策だな、これは)作ってデマを飛ばして売りつけるとか…。
でもこれ”母乳が出ないお母さんの為!”て善意な感がある。酷い。
↓
【助産師監修】母乳の味は食べ物で変わる?おすすめの食事や控えた方がよい食べ物https://t.co/YIcCOewODG— 末尾 (@matu_bi_) 2017年8月25日
そもそもで言うと、助産師監修=正しい!といった「錯覚」「信じ込み」はあるよねえ…。
※母乳の味は食べ物では変わりません。チョコ・アイス・ケーキを食べても詰まらない。バランスよく食べましょう。https://t.co/0YqyDGiE0o
— 末尾 (@matu_bi_) 2017年8月25日
乳腺炎と食べ物
私の悩みは「おっぱいが出ないこと」でしたが、乳腺炎になりやすくて困る方もいるでしょう。
現在、食べるものと乳腺炎の因果関係は否定されています。
主に、授乳姿勢や、授乳回数が原因と言われています。
森戸やすみ医師のこの記事は大変分かりやすいので、ご一読いただきたいです。
●その母乳情報、大丈夫ですか? ママサイトにはご用心
※その他、根拠となる記事はこちら
●授乳中の乳腺炎を食事でコントロールできると思う人はまだ多いようです
●授乳中の乳腺炎はググってはいけない!
多分、産後に助産師から「食事は和食で」「乳製品はNG」等の指導を受けると思うのですが、実は食べ物でおっぱいが詰まるとか言ってるのは日本だけの話です。
海外の体験談
私の友人はアメリカで子どもを産み育ててますが、「アメリカでは食事の指導はない」と話していました。
一例として、イギリスとフランスで子育てした方のブログから引用します。
●乳腺炎の嘘とホント?(★★ イギリス子育て AtoZ ★★)より引用
フランスでは授乳に際しこのような指導があります。
「野菜や果物、お肉をバランスよく食べて、一日2リットルのお水を飲む事。お酒とカフェインの摂取は控える様にね」以上。
授乳してなくてもごもっともな事ですよね。私もこのフランスの意見に同意です。
●食事と乳腺炎の因果関係がないフランス(ちょっとだけ!)おしゃれなフランス生活)
冷静に考えると、例えば「乳製品はNG」と言われますが、インドやトルコではヨーグルトは毎食食べるくらいです。チーズについても、ヨーロッパでは常食されています。
「乳腺炎と食事が関係する」を主張するには、例えば母親に限らず「日本人は乳製品の消化機能が他の民族と違う」といったエビデンス(科学的根拠)が必要に感じますが、そういった研究・論文はありません。
日本の母乳信仰は、ちょっとおかしいとろこまで来ています。商売(利益)が絡んだせいで余計に。
ハーブティと漢方薬の違い
私が書いた記事を読んだ方から、こういった声が寄せられました。
アフィ業者が混じって効能のないものが売られてるなら、漢方薬局でちゃんとしたのを買うのがオススメです。
私がお世話になった総合病院の産科で出されていたものです。
ただのお茶や水を2リットル飲んでも乳は張らなかったのに、たんぽぽ茶だと張ったり溢れるほど出たので、
出過ぎる時はたんぽぽ茶減らすとかしてました。
ネット通販でも正規の漢方薬局の通販であればまともなものが手に入るかも?
連絡くださった方が購入したのはこちらの商品とのこと。
●たんぽぽコーヒー【栃本天海堂】(150g)
ツイートにあるように病院で処方された漢方薬で、詳しくお話を伺うと「出過ぎる時は量を減らしなさい」といった指導もあったそうです。
この話を伺って「成分がしっかりしたタンポポ茶(漢方薬とされるもの)であれば、効果があるのだな」と思いました。
私が大学の時、担当教官が「東洋医学研究の権威(真柳誠、でググって下さい)」だったので、漢方薬には詳しいです。
漢方薬の薬効
漢方薬は歴史が古いですが、近年、中国や日本の製薬会社が西洋科学のアプローチで薬効成分を調査、研究し、科学的根拠やデータを踏まえて、使われています。
私が子どもだった30年前には見かけませんでいたが、現在は薬効成分を閉じ込めたエキス剤が主流となり、病院で処方されますし、ドラッグストアでも販売しています。
※漢方薬の効果の根拠について知りたい方は、例えばWikipediaの「葛根湯」の項目を読んでみて下さい
タンポポ茶/タンポポコーヒー≒「蒲公英の根を煎じた漢方薬」です。
WEBサイトを調べてみた
タンポポ茶について調べたところ、根拠を説明して間違いを示しているサイトと、曖昧な根拠でただ不安を煽るものとがありました。
例えば ↓ の漢方薬局さんは正しいことを書いています。
★蒲公英(たんぽぽ・ダンデライオン)と漢方薬(高木漢方)
サイトから文章を引用しますと
サプリメントとして、摂られていると聞いて、たいへん驚きました。
(中略)
蒲公英は、何に使われるのかというと、「おでき、にきび、ノドの腫れ、扁桃腺炎、結膜炎や、急性乳腺炎、乳汁欠乏症、胃炎、肺炎、感染症、腫れ物、広く炎症の改善」に、使われる薬草です。
乳汁欠乏症の改善にも使われる「蒲公英湯」には、蒲公英根、当帰、香附子、牡丹皮、山薬が配合されており、乳腺の発育が不十分な方の乳腺炎の改善にももちいられます。
(中略)
但し、お乳が出ないのは、お母さんが、とても疲れて、これ以上、お乳を出して、体力を消耗させないようにしていることが原因のこともあり、その場合は、補血補気作用のある《 婦宝当帰膠 》を使用して、血を増やして、血を元気にすることで、お乳の出をよくします。
なぜなら、お乳の原料は、お母さんの血液だからです。
「不妊症に効く・体を温める」といった間違った効能は否定していますし、”お乳が出ないのはお母さんの疲れである”と、基本的なことも書いています。
商品を売りたいというより、知識をもとに改善する方法を提案しているように思います。
漢方の効能は「本草書」という中国の百科事典が根拠になる場合が多いのですが、『新修本草』(659年成立)を当たると「【主治】妇人乳痈肿」とあります。
意味は「おっぱいのしこりや腫れを治す≒乳腺炎に効果がある」かな。
母乳促進とは書いてないものの、母乳への効果は期待できそうです。 pic.twitter.com/61zKhY5Q3N— 末尾 (@matu_bi_) 2017年9月2日
「蒲公英」は本草書に「【気味】平」とあるので、体を温めることも冷やすこともありません
「【主治】妇人乳痈肿」→「主に乳腺炎を治す」とあるので、おっぱい(乳腺)への作用はあるようです。
ただ、コメントを下さった方も書いていますが、タンポポ茶を買うなら「漢方薬局」で購入した方が良いでしょう。成分が足りてないと、効果はありません。
多くのサイトでは「身体を温める」「不妊にも効果あり」「助産師監修」といった言葉が躍っています。アフィリエイトや利益目的が多いので他のハーブティと同じ構造だと思います。
イヤな思いをする人が、少しでも減るよう、願っています。