※【注】映画に対して批判的な意見を書いています。映画に感動している方は違和感を覚えるかも知れませんので、閲覧前にご留意くださいませ
先週、夫に子どもたちを任せて、久しぶりに映画観賞会に参加してきました。
知らない方々と語り合う時間は、とても楽しかった…!
日本橋映画祭 featuring コルクラボ主催!映画『みんなの学校』上映会 in サイボウズbar
サイボウズ(企業)の社内にある「サイボウズbar」を会場に、「サイボウズ映画部」と「コルクラボ」(勉強会のようなもの)の共同で開催されました。
開催日時は11月4日(日)18時~21時半。
発起人はコルクラボに通う、竹本さん。プロフィールによると、5歳と2歳の二児の子をもつお母さんです。
「#みんなの学校」自主上映会の当日の公開に笑。観た人と感想シェアできる時間がとても楽しみ。 一人ひとりが、”自分の居場所”を感じるコミュニティづくりとは?映画『みんなの学校』を一緒に観たいと思う理由|竹本 有希(ゆっきー) @yukineko15|note(ノート) https://t.co/G3oz57aEUT
— 竹本有希 (@yukineko15) 2018年11月3日
『みんなの学校』とは?
大阪にある大空小学校運営の様子を1年間撮影したものを1時間46分のドキュメンタリー映画として編集した作品です。
大空小学校は新設校で、映画は設立6年目の様子を映しています。
作品紹介
ここでは、特別支援教育の対象となる子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。
ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力をふるってしまう子も、みんなで見守ります。
あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの? そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。
(中略)
映画は、日々生まれかわるように育っていく子供たちの奇跡の瞬間、ともに歩む教職員や保護者たちの苦悩、戸惑い、よろこび・・・。そのすべてを絶妙な近さから、ありのままに映していきます。
そもそも学びとは何でしょう? そして、あるべき公教育の姿とは? 大空小学校には、そのヒントが溢れています。みなさんも、映画館で「学校参観」してみませんか?
●『みんなの学校』公式サイトより引用
『みんなの学校』感想
上映から一週間。色々考えた結果、30年前に島根県の過疎化・高齢化が進んだ地域で生まれ育った自分が通っていた「公立小学校」は、多分、人口が多い都会の公立小学校とは全く違っているのだと気付きました。
障害を抱える子たちと一緒に成長してきた自分
大空小学校ほど数は多くありませんが、障害を持つ子も、普通に一緒に通ってました。
授業も一緒の教室で(たまに特別学級に行く)、全校集会など、イベントも一緒です。
ちなみに小学校は全校児童77人、1学年1クラスです。中学は180人くらいで、1学年2クラス。その中に、1~2人、自閉症の子や、知的障害を持つ子がいました。ちなみに、保育所~小学校卒業まで、ほぼメンバーが変わりません。中学はそういった町内の学校が統合しますので、保育所~中学校卒業まで一緒の子も多いです。
もう30年前ですが、不登校の子は、いなかったと記憶しています。
地域で学校を支えるのは当たり前といいますか。親戚が通っていたり、古い友人の孫が通っていたり…。町民の人が関わりを持つことは多かったです。
貧乏というか、子だくさんで家にお金がないらしい(そういうことが普通に知られている…)同級生もいましたが、一緒に遊んでいましたし、学校では楽しそうに過ごしていました。
虐待については、敢えて言うなら我が家では親の暴力は、普通にありました。父は酒乱だったので、酔って母を殴るとか、私たちを怒鳴りつけるとか…。身体的な暴力は体罰程度だったと思いますし、虐待という程かは怪しいですが。
※田舎で近所の人の目が気になるから、暴力行為も抑制されていたと思います…
***
また、大学卒業後、入社したチェーンストアでは、1店舗に1人、必ず支援が必要な(障害者)スタッフがいました。障害者スタッフは店舗の戦力で、精力的に働いてくれましたし、店長やスタッフが落ち込んでいる時に声をかけてくれるなど、店舗の雰囲気作りにも一役買ってくれました。
そして今現在、私は、統合失調症のリハビリの為、障害者向けの職業訓練所に通っています。てんかん発作や自閉症など、精神性の障害・疾病を持つ方が20名くらいが通うB型作業場です。手帳は申請していませんが、私自身が障害者だと言っても間違いではありません。
***
そんなこんなで、保育所に入るまでの3年間、高校~大学の7年間、主婦アルバイトとして働いた3年の約13年を除けば、今まで生きてきたコミュニティの多くに、何らかの障害を持つ方は、いました。そんな方たちと一緒に育ってきた・働いてきた感があります。
なので大空小学校に関しては、「支援を必要とする(≒障害を持つ)児童の人数が多いこと」以外は特別に感じませんし、支援が必要な(≒障害を持つ)子どもを忌避する感覚もよく分かりません。
障害を持つ子、支援が必要な子と一緒に過ごすと、学ぶことがとても多いし、彼らに助けてもらえる機会もとても多いです。
教師と生徒も、対等だったというか。同じ町内会だったり、隣に住んでたり、遠い親戚だったりするので、ただの上下関係ではない場合の方が多くて。色々な先生のお世話になりましたが、話しやすい、なんでも相談できる先生が多かった。
ある意味で私は、恵まれた環境で育って来たのだと思います。
校長先生の姿
私が映画を見て引っかかったのが、木村校長先生のやり方です。
木村先生は多分、自己流で編み出した指導方法を用いて、トップダウン型でスピード感ある改革を実践していたのだろう、と思います。それは中々出来ない。すごいことだと思います。
分かりやすいところでは、先生方が着ていたユニフォーム風の「大空」と書いたポロシャツやTシャツ。「Teacher」ではなく「STAFF」と表記していました。個人的に「教師は学校のスタッフ。生徒と対等な関係である」「上から目線になるな」というメッセージだと感じました。
また、校務員さん(学校の諸作業を担当する方)は茶髪+ピアスといった外見の若い男性。公立小学校のルールの中で、なんとか多様性を生み出そうとしているのかな?と思いました。
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一方で私はチェーンストアの店長になる為、スタッフの指導方法や育成方法について、研修を受けたり本を読んで勉強したりしてきました。実際に店長・店長代行として、約7年間、店舗を運営した経験があります。
※店長とスタッフは対等で、店長は「店舗責任者」という役割。最終決定し指示も出すが、それは役割。役割に合わせて高給取る。スタッフは実務を担当するが店舗の一員。指示待ちはNG、自分で考えて主体的に動こう…といった姿勢(考え)の会社でした。
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店舗責任者としての経験を元に言うと、「1人の生徒を全校集会の場で晒す」(※言い方…)…みたいなのは、どうかなと。
その児童自身を、全校児童を、教師達を、信じてとった行動だとは思いますが、私は「人前で叱って恥をかかせる(自尊心を傷つける)こと」は、極力避けるべき、と考えています。これは経験(失敗)から導き出した、私の流儀です。
また、「暴力を振るう」って、その裏に色々あるんじゃないか?とか。
暴力を振るう、その児童自身が親から殴られているかも知れない。目の前で両親が殴り合いのけんかをしているかも知れない(暴力を振るう閾値が低い)。ただ「暴力はしない。我慢する」と約束すれば解決するのか。
傷ついている(かも知れない)彼の心のケアや、虐待からの救出が先ではないのか。
「良い映画だ」と聞いて足を運んだこともあり、余計に木村校長のやり方が乱暴で一方的に感じてしまいました。
だから、本当に申し訳ないのですが、感動した方が何に感動したのか、この映画のどこが良いのか?は、よく分かりませんでした。すみません。
「たったひとつだけの約束」の筈が「2つの行動を約束している?」掲示板の問題
気になる部分があるものの、木村先生の頑張りは認めるとしても、この、掲示板の違和感が強くて。細かい指摘とは自覚しているのですが。
矛盾に気付いた人が木村先生に指摘して、直せばいいんですよ。こんなの。1分で終わる。
でも、1分で終わる何かが、終わってない。矛盾を抱えたまま掲示されている。その原因は何なのか。
木村先生が自分のこと、児童のこと、日々のことでいっぱいいっぱいで冷静さを欠いているのかも知れない。
他の先生方は、木村先生を信じすぎているのかも知れない。先生たちもいっぱいいっぱいで気付かないかも知れない。
しかし最悪の場合、こういった簡単な指摘ですら出来ない壁があるのかも知れない。
生徒ですら指摘しないのは、不思議だなあと。私だったら普通に校長先生に伝えて、直してもらうのですが。対等を旨としながら、風通しが悪いのではないか。
そういった想像を巡らせると、木村校長が倒れたら、ガクッといきそうな組織に思え、怖いなあ、危険だなあ、と。
誰が木村校長を支えるのだろうか?1人の人の能力に頼った改革でよいのか?様々な疑問が浮かびました。
…まあ、実際がどうだったかは、映画を見ただけでは分かりませんが。そんなことを考えました。
後任は?ほかの学校は?浮かぶ疑問
木村校長の活動は素晴らしいと感じる反面、私は、彼女の後任として校長を担いたいとは思えませんでした。
また、大空小学校の取組を、隣の学校へ、町内・市内の学校にどうやって拡大していくのか?木村校長が現場に立つことなく、それを達成することが出来るのか?疑問に感じました。
もう一つ考えるのが、「公立小学校の在り方」についてです。
私の父は公務員(郵便局員)だったのですが、「公的サービス」は何処かが突出している状態を好まないと話していて。「どこでも・誰でも均等(平等)なサービスが受けられる」ことを良しとしていました。
「大空小学校だけ特別」は、公立小学校として、どうかなと。
不登校のこと
そもそも、「不登校」って駄目なんですかね。私は人生の中で、そういう時期があっても悪くないと思うのですが。
「不登校」って、通わない子が悪いのでしょうか。学校の在り方や教師の接し方に問題があるのかも知れない。
公立小学校に求められる役割とは何か。学校は常に通うべきものなのか。不登校ゼロはすごいのか。評価されるべき勲章なのか。
丁度、作者自身の不登校体験を描いた漫画『学校へ行けない僕と9人の先生』を読み直した直後だったこともあり、棚橋くんと大空小学校を重ねて読んだ部分もあります。学校って何だろう?
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【WEB漫画】『学校へ行けない僕と9人の先生』が最終回を迎えました~作者の不登校体験を描いた漫画
今年5月に紹介した『学校へ行けない僕と9人の先生』。 11月21日の更新で、最終回を迎えました。 Twitterでは更新の度に感想をつぶやいていましたが、半年の間に新規のブログ読者さんも増えたと思うの ...
個人的には不登校も良しと思いますが、一般に「不登校ゼロ」は成功談とされるでしょう。
「みんな一緒で横並び」という公立小学校に常識に縛られることなく、特別な一つの学校を「成功事例(≒不登校ゼロ、障害を持つ子と一緒に学習)」を作り上げないと、学校の現場を変えることが出来ないのかも知れません。学校、難しい。
可能なら、私がチェーンストアで受けた研修を先生方にも…などとも思います。民間企業のメソッドを取り入れることで問題が解決しやすくなるとも思いました。
まとめ
…うん、毎回だけれどまとまらないですね。
『みんなの学校』の本が出版されているのですが、これを読んだら少しは違うのかな…?どうだろう…?
我が家では、来年春に上の娘が小学校に入学します。
1学年に特別支援学級と普通学級が1クラスづつという、これまた中々ない小学校です。
選んだわけではないので、どうやらそういう星の元に生まれているらしい…(^^;)
批判的な感想ばかりを並べましたが、小学校に通う前にこの映画を見て、学校について考える機会が得られて良かったです。
また、映画鑑賞後に同じテーブルの方たちと感想を話し合ったりしたのが楽しかった。久しぶりに色々な属性の方とお話できて新鮮な気持ちになりました。
他の方の感想ツイートはTogetterにまとめてあります。
●『みんなの学校』上映会 in 日本橋映画祭 感想ツイートまとめ
『みんなの学校』上映会
この映画は、全国各地で行われる自主的な上映会で鑑賞できます。
●上映スケジュール(『みんなの学校』公式サイト)
東京都練馬区を拠点とした、現役パパたちによる育児支援団体「ねりパパ」さんも自主上映を行うみたい。
二代目校長の講演会もあるようなので、お話を聞いてみたかったなあ…(既に予定が入ってるから行けない)。
※校長先生が外部で講演出来る≒いなくても現場がうまく動いているから…だとは思います。
【11/23(金・祝)開催】映画「みんなの学校」上映会&講演会@練馬区立生涯学習センター。参加申込みの受付を開始しました!詳細は以下のHPをご覧ください。https://t.co/oIsWs2EdGP #ねりパパ #みんなの学校 #練馬区 pic.twitter.com/jKrleJ1qPD
— ねりパパ自主上映会プロジェクト (@neripapa_movie) 2018年10月1日
次回の日本橋映画祭
今回の映画上映会を主催した日本橋映画祭、次回は「日本橋パパ会」との共同開催、クリスマス会のようです。
「ねりパパ」さんもだけれど、パパ会ってあるんですね…。初めて見かけました。
お父さん向けだと「ファザーリングジャパン」くらいしか知らなかったなあ。子育てするお父さんが増えた証拠だと思います。
こういう情報、どこかにまとまってると便利そうですが…。保育所にパパ会があるところもあるみたいです。
ざっと調べたらちょっとだけ見つかったのでリンク。
まとめ
この上映会は、子育てサイト「コノビー」副編集長の、みたむらさやかさんのRTで知りました。
みたむらさんはが私のブログを知ったのは、2015年のサイボウズのCM炎上がきっかけだと伺っております…(^^;)
2015年当時に書いた記事。我ながら拙い。
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【イクメンパパ特集】サイボウズのCM第2弾「パパにしかできないこと」を見て考えたこと
長いので先に自分の考えを書くと。 働き方や「家のこと(育児・家事)」に関する議論が起きる時、「男女」を切り口にすることが多いですが、実際には、性別は関係なくて、経験の差が意見の差となっています。 現在 ...
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サイボウズのCM第2弾「パパにしか出来ないこと」に対する感想を書いたブログ記事まとめ
まとめてCMへの感想・言及記事を読むことで見えてくることもあると思うのですが、どうでしょう。 各記事に対するブコメも興味深かったです。 話題の元になったサイボウズのCM もうホワイト企業でなければ生き ...
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サイボウズのCM第2弾「パパにしか出来ないこと」関連記事の中で、特に興味深かった記事を抜出しました
今回は読んだ中で、自分が印象深かった記事について言及します。 作り手の意図に対する考察 現在、育児休業中のお父さん・陶山さんの考察記事。 こちらを読んでからムービーを見直すと、違う感想が浮かぶのでは ...
余談1・サイボウズさんの求人
私、企業のサイトを見るとき、「採用」欄を必ず見てしまうのですが。
今回、久しぶりにコーポレートサイトを読んでいて、サイボウズさんに「感動課」なる部署があることに気付きました。設立6年目だそう。おもしろい!
サイボウズさんに「感動課」なるものがあり、キャリア採用(中途採用)募集していることを知る。
必須スキルはある気がするけれど、歓迎スキルが…。私の文章で感動…。それはないな…。シモキタクエスト運営はイベントプロデュースに入るかな…?https://t.co/pEpH10tC81 pic.twitter.com/OkiW9p82d6— 末尾 (@matu_bi_) 2018年11月8日
サイボウズさんでは「複業採用」という、一風変わった働き方もあると知ってびっくり。多様な働き方を提案する会社だな~https://t.co/kh4l8YvBao
こないだ参加した映画祭で「部活がある」とも聞いたし、オフィスもちょっと変わって、新しい風を吹かせてくれそうな会社だと思いました。 pic.twitter.com/R5aVNKe7Hi
— 末尾 (@matu_bi_) 2018年11月8日
上映会の会場、サイボウズbarもかわいくて良かったです~
コーヒーも美味しかったです。ありがとうございました。
余談2・日本橋でのお買い物
この上映会に参加するため、ものすごく久しぶりに、夫に子ども2人を任せての、日曜夜の外出でした。とても楽しかったです(><)
高島屋の新館がすごく楽しかった…。久しぶりに「これ買いたい!」と思って買い物が出来ました。百貨店はイオンとは違いますね…。価格帯も客層も違う気がするけど…。(写真は戦利品)
サイボウズさんが取り持ってくださった様々な御縁に感謝を。
興味が湧く上映会があれば、また参加したいと思います。
それでは~長文にお付き合い下さり、ありがとうございました(^^)