ちょっと前からまとめたかった「作家さんに出来る販促策」をまとめようとして書いた序文が大変長くなりました…。
また、時間がなくてソースへのリンクが貼れてませんが、売上数はamazonの商品説明欄や、検索で出てきた情報と、単行本の帯や雑誌で見た情報を元にしています。
売上分析なので、興味のない方や本の売上数なんて知りたくない人は、そっ閉じしてくださいね~!
売れなくなったコミックエッセイ
2014年頃から、「育児漫画の単行本って売れないねえ…。どうしたら売れるのかなあ…。」と思い続けています。
育児漫画に限らず、コミックエッセイが売れなくなったと思います。
『うつヌケ』と『ペンと箸』
田中圭一さんの『うつヌケ』は久しぶりのヒット作だと思います。2017年7月時点で電子書籍版合わせて33万部売れました。
田中圭一さんは、発売後にトークイベントを開いていて、そこで『うつヌケ』と、食レポ漫画である『ペンと箸』のWEBでの反響と販売部数の違いを話していました。
(夫がトークイベントを聞きに行きました。)
●東京開催「黒川塾49」GTMF2017東京前夜祭 「『うつヌケ』というあなたの生き方」
『ペンと箸』はたしかに、私も好きでWEB連載は毎回読んでました。『うつヌケ』は有料だったので1話だけ買って発売を待ちました。
田中圭一さんがイベント内で話した2作の売上の差についての分析は、
・『ペンと箸』はWEBで反響が大きく、PVも多かった
・でも、単行本の売上は期待を大きく下回っている(7月開催のイベント当時で1万部)
・カバーデザインが良くなかった
(何も知らずに書店で見た人には食レポ漫画であることも、二世漫画であることも、イタコ絵であることも伝わらない)
・増刷分は、帯で食に関する漫画だとアピールし、売上が少し良くなった
夫からイベントの話を聞いて、『ペンと箸』ですら売れないとは…!と衝撃を覚えました。
はてブも沢山ついたし、TwitterでもRTされてたし、漫画としても面白かったし。PVは良かったと思うのです。
私は『うつヌケ』『ペンと箸』、両方購入していますが、実は『ペンと箸』の方が好きだったりします。
食漫画としても、漫画家の二世漫画としても面白いし、イタコ絵の出来も素晴らしい。誰にでも勧めやすい読み応えのある良作です。
WEBで話題になったといえば『ど根性ガエルの娘』もありますが、WEBでの評判やPVほど、売れている感はないです。書店でも見かけない。
(こちらも私は単行本を持っています。)
結論
田中圭一さんらの話を元に言いたいことは、
WEBで人気・話題=単行本が売れる ではない、ということです。
育児漫画の過去のヒット作
育児漫画の単行本、過去には人気作も多かったですね。
内田春菊さんの『私たちは繁殖している』(1999年~/シリーズ累計160万部)
青村貴子さんの『ママはぽよぽよザウルスがお好き』(1999年~/シリーズ累計300万部)
西原理恵子さんの『毎日かあさん』(2002年~/シリーズ累計230万部)
松本ぷりっつさんの『うちの3姉妹』(2005年~/シリーズ累計400万部突破)
※最新の『うちはおっぺけ』5巻には累計430万部とありました…。
東村アキコさんの『ママはテンパリスト』(2007年~/累計100万部)
妊娠漫画だと、まついなつきさんの『笑う出産』(1994年/累計70万部)などもあります。
東村アキコさん以外は単行本の巻数が多い・文庫版が出ていること、アニメ化・映画化化等の影響もあるとは思います。
2005年までは作品数が少なく、ブログもなかったこともあるでしょう。
しかし近年、そういった景気の良い話は減りました。
最近の育児漫画単行本
※この辺からは、数字も見てますが2013年から複数の書店を見て来た感覚頼みの話が増えます。すみません。
一番売れている作品
現在、一番売れている育児漫画は伊藤理沙さんの『おかあさんの扉』だと思います。
3巻まではamazonの商品紹介に累計部数を書いてましたが、4巻あたりで消えました。
帯を付けてアピールするほどの売上にはなってないようだし、「6巻までの累計で50万部」といった大台は突破してないんじゃないかな…?
ブログ発で好調な作品
ブログ発だと、まきりえこさんの『小学生男子のトリセツ』シリーズ(累計7万部)や、ナナイロペリカンさんの『たまご絵日記』が売れている感があります(書店でも見かけることが多かったです)。
モンズースーさんの『生きづらいと思ったら、親子で発達障害でした』も、発売からずっと書店に置いてあると思います。私が購入したのは半年くらい前ですが、6刷目でした。
ブログ発と紹介していますが、『たまご絵日記』も『生きづらいと思ったら、親子で発達障害でした』もほぼ描き下ろしです…。ブログ4コマの再録ではないので、手間が掛かっています。
最近好調なのはInstagram発の作品
Instagram発の単行本は増刷報告をよく聞きます。
カフカヤマモトさんさんの『家族ほど笑えるものはない』は増刷御礼的なキャンペーンも実施してましたし、発売以来書店でも長いこと、平積みしていました。
※2巻発売時に累計5万部とありました
hibi_yuuさん、こつばんさんは、1巻発売から1年以内で2巻が出ています。
一定の売上結果を出しているから、2巻が出るのも早いのでしょうし、個人的にこのスピード感は大切だと思います。(子育てしながらなんでコンスタントに続刊を出すのは難しい部分もありますが。)
ヤマダモモコさんの『色気は分娩台に置いてきました。』は、書店で並んでいるものを確認したら6刷目でした。すごい。
Instagram発の単行本は好調ですが、いずれも帯替えして部数を示すほどではないので、例えば「3万部」といった売上数にはなってないかと思います。
(KADOKAWAだと2万部超えたらで広告に部数を書いたりしています。)
参考書的なお役立ちの1冊
珍しい売れ方をしていると感じるのが、フクチマミさんの『マンガで読む育児のお悩み解決BOOK』。
2013年発売だけど、じわじわと8増刷目。
この漫画に関しては、オンリーワンというか、他と差別化出来ています。私以外でもブログでお勧めしている方が複数います。
たしかに良い本なのです。エッセイではなく、色々なお母さんの意見を集めたような、参考書になる本です。実用書。
『うつヌケ』も、うつ病を改善していく経過を描いたある種のメソッド集です。単なる体験談、コミックエッセイではありません。
●『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』(フクチマミ)感想
※ちなみに、2010年に出た『マンガで読む 妊娠・出産の予習BOOK』は15刷目で、今でも書店に並んでいます
フクチさんのこの本、芸能人の方(双子タレントのまなかな、の三倉佳奈さん)がブログで紹介してるのを見ました。芸能人の影響力、発信力は大きいよね…!
ちなみに、出版社の仕込みとか献本ではありません。作者のフクチさんが驚きつつ喜んでましたから…。
●おすすめ本たち(三倉佳奈オフィシャルブログ)
お父さんクエスト
個人的に嬉しいだけで紹介するのですが、小山健さんの『お父さんクエスト』の3刷目は良かった…!
おかげさまでお父さんクエストが3刷決定しました!
(実は発売前に重版かかったので今回で3刷目)
記念に、本当はそんなのないのですが今描いた初期設定画をアップします pic.twitter.com/mbgW0ynCgR— 小山健 (@koyapu) 2017年11月7日
小山さん個人は元々人気があったけど、TwtterやInstagramでも人気でフォロワー数を伸ばしています。
Twitter検索すると、書店で在庫が切れてたと聞くし、この勢いで売り上げが伸びると良いなあ…!
カバーデザインは目を惹くし、厚みもあって良いと思います。
帯に糸井重里さんのコメントを書いているのも良かったかも知れません。
単行本が売れない理由
育児漫画に限りませんが、単行本が売れない理由はいくつもあると思います。主に書店。
基本的に作者さんの責任は「ほぼない」と思っているのですが、何故か作者のせいにされるますね。
でも編集者もいっぱいいっぱいだとは思っていますし、書店もいっぱいいっぱいなので、この構造ってどうすれば是正されるんだろう…。
漫画の流通については、完全にシステムが破綻してると思うから、構造改革しないと終わるという認識です。
具体的に書くと
1)作品が増えすぎた
2)ネットで無料でいくらでも読める
3)印刷部数が少なく、書店に置いてない
4)書店のどこに置いてあるか分からない
5)作品の発売を知ってる人しか買わない
6)そもそも書店に足を運ばない
7)単行本にお金を使わない
1)作品が増えすぎた
育児漫画の単行本の作品数は増えています。
2017年は減ってますが(45冊くらいかな?)、2000年代に比べると、倍近く増えたんじゃないかな…?
※この表はKindleのセルフパブリッシングも含んでいます。
「育児漫画の総売上金額」はそこまで落ちてないかも知れませんが、選択肢が増えた分、1冊あたりの売上数は下がっていても不思議ではありません。
また、ネットで推しの作者・作品が選べる・探せるようになった現在。
わざわざ知らない作家の作品を買うのかな?といった疑問もあります。
2)ネットで無料でいくらでも読める
SNSで育児漫画を描いている人の数なのですが、これは感覚的に
ブログとTwitter500人 + Instagram 1000人 =1500人 …くらいは、いるような気がしています。それ以上でも、私は驚きません。
これに加えて、WEB連載があります。
きちんと調べてませんが、現在、雑誌・新聞に連載しているのは『おひとりさま出産』(七尾ゆず)だけです。
(単行本にならなそうな細々とした連載は他にもありますが除外させてください)
単行本のWEB媒体比率を出すと8割以上はあると思います。
ネット環境にありスマホがあれば、いくらでも育児漫画が読める環境です。
田中圭一さんの例で言うと、「WEBで話題になっても、単行本は売れない」。更に育児漫画は「ネット環境があれば好きなだけ読める」のです。
3)印刷部数が少なく、書店に置いてない
育児漫画単行本の告知をした時、作者さんに「発売後に書店に行ったが無かった」とリプライを送る人、ツイートする人を多く見かけます。
私は家のごく近くに書店が無い為(自転車で20分くらいの場所になる)、amazonや楽天を利用していますが、主婦の方にはクレジットカードを持ってないとか、ネットでカード情報入力するのは怖くて通販はしてないという人もいまだにいますし、書店で買う人の比率は高いと感じています。
育児漫画単行本に限らず、一般に、現在の書籍の初版は3000~5000部くらいだと言われます。
(ヒットしている作品やベテラン作家の作品は別です。)
部数が少ない為、発注しても1冊だけとか0冊とか。書店での販売機会ロスは多い気がします。
同様に、発売前にamazonや楽天で予約注文受付がストップしているのこともあります。
4)書店のどこに置いてあるか分からない
育児漫画で言うと
・コミック新刊
・レーベルの棚(集英社ジャンプの棚とか)
・作者名の棚
・コミックエッセイ
・4コマ漫画
・育児書
・Twitter(Instagram)で話題!みたいな特設コーナー
・発達障害や福祉(発達障害児に関するもの)
…に置いてあるんですが。これ、買いにくくて仕方ないと思っています。
書店で探しても見つからないし、書店員は売り場にいません。レジにしかいない。質問しにくい。
5)作品の発売を知ってる人しか買わない
これは作者さんの努力でも出来る余地はあるかな、と思います。
ネットを使って告知を強化する。詳しくは後編で。
6)そもそも書店に足を運ばない
私は本が好きなので、機会や時間があれば書店に足を運びます。東京に勤務してた時は、会社の最寄りの書店と、家の駅前の書店に毎日行ってたくらいです(暇なのか)。
でも、普通の人は用もないのにわざわざ行かない気がします。
個人的に、西松屋と赤ちゃん本舗、ベビザラス(トイザらス)に営業したらよいのにと思っています。
たまひよと絵本、幼児向け付録付き雑誌だけ置いているのはもったいない。
育児漫画に限らず、主婦向けのコミックエッセイは、スーパーの書籍コーナーも良いと思います。
作者の生還が描かれる闘病漫画なら(例えば『さよならたまちゃん』や『元気になるシカ』)、病院の売店に置いても良いと思いますし、書店の「医療」コーナーに置いた方が売れる筈です。
7)単行本にお金を使わない
現在の娯楽作品は、お金と時間の競争です。
漫画については「WEBで一度読んでいる」。新鮮な体験は既に終わっています。
単行本を求めるメリットは?
例えば「1000円あれば引けるガチャの回数や興奮」と比較した時、魅力的に映るでしょうか。
個人的には「漫画に使う時間」は年々減っていると思います。
音楽や映像作品と違い、漫画は「ながら」で利用できない。
消費時間は、消費金額と比例するとも思っています。
書店の客数や客単価(お客様が出すお金)が下がることは、書店の売上が下がることです。
現在の書店は、面積が広い比較的良い位置に展開しています。利幅が大きいわけでもなく、人件費も削れるだけ削っている。
このまま売上が下がったら、家賃が維持できるわけがないから、店舗閉鎖が相次ぎます。
自分の中では、この5年で書店は半減すると思っています。
他にはこんな理由も
時代に合わない「書店」の売場
上で上げた在庫切れ、置き場が一定じゃなく分かりにくい、店員がいない、などもですが、書店は売場がダメです。売場が「買い場」になってない。
現在の人はコンビニに慣れていて、スーパーでもホームセンターでも「(店員に聞くことなく)何も考えず買える」状態を目指しています。
書店はその文法から外れている。とても買いにくいです。
足を運んでも目的のものが買えなかったら、お店に足を運ぶ人は減ります。
私がチェーンストアで店長として働いていたのは10年近く前ですが、10年前に店長会議で話し合っていた「未来の売場」を現在、着々と実現しています。
技術の進歩もあるし、それによって単価が下がって実現したこともある。予測に顧客ニーズが追い付いて来たこともある。
グローバルに展開するチェーンストアは、こんな感じで先読みして行動しているから、倒産しないし売り上げを維持出来る。
販売していたのは娯楽作品ではなく生活必需品でしたが、競争は激しい分野です。
読者(ユーザー)対応が適当
SNSで交流するのが普通の現在、出版系のSNSアカウントやメール対応は、意見したのが馬鹿馬鹿しくなるような酷いものです。
Twitterだと、応援する感想はRTするくせに、都合が悪いリプライを送ったら無視。メールしても無視。
先日書いた竹書房の対応はたしかに酷かったけど、他の出版社もそう、変わりません。
作者ではなく、出版社や編集がファンを減らしているし、売上を下げていると思います。
リプライしない・返信しない方針であるなら、最低でもbioにその旨を記載して欲しい。
また、コミックエッセイについては、事実を元にしないといけないと考えています。
線引きをしないまま販売するから、信頼が失われていきます。
メルカリ対策が打ててない
Instagram発の本は確かに売れているけれど、メルカリでの転売も激しいです。メルカリにはブックオフも、服飾業界も苦しんでいます。
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育児漫画単行本が抱える問題と未来~メルカリでの中古本転売について
この記事は、育児漫画を読みたい方ではなく、編集や出版に関わる方、描き手さんに読んで欲しいと思っています。 「そんなこと知ってるよ」って話だろうとも思うんですが、私が気づいたのが最近で。とりあえず、伝え ...
電子書籍も未来がない
電子書籍はお金の構造がおかしい。早晩、潰れます。
現在は「紙の本のおまけ」だから成立してますけど、こんなの損益構造では、利益なんて出せません。
ちゃんと考えろ、調べろ、行動しろ、と思います。
まとめ
漫画の単行本については、作者の努力だけでは売れないところまで来ています。
出版社はトップダウンでスピーディに動かないと、本当に保たないと思うんですが…?倒産しますよ。
音楽業界はリストラなどで会社の規模を小さくしていってます。
ゲーム業界は常に不安定なので、あまり関係ないです(むしろ今は良い状況です)。
冒頭にも書きましたが、この記事、序文のつもりで書き始めたもので、今回のテーマは「作家さんに出来る単行本の販促活動」なんです…orz
作家さんの努力で出来る販促活動については、後半でお送りしますのでよろしくお願いします。
それでは!
***
いつの間にか1年経っちゃいましたが、後半書きました…。
***
追記
この記事を公開後、色々感想を頂いたのでTogetter でまとめました。
●【セルフまとめ】育児漫画やコミックエッセイが売れない原因を分析してみた
一部をご紹介。
【メモ】育児漫画やコミックエッセイが売れない原因を分析してみた https://t.co/ZOtlHBxqyz @matu_bi_から
育児漫画に共感して買ってみようと思っても、書店でぱっと見てどこにあるか分からない時は諦めて帰ります…子供連れてじっくり探すのは無理(^◇^;)— まくまく (@maku2makuri) 2017年11月17日
ネットが発達する前は、出版予告の広告だけで書店に行ってたけど、今はWeb版はタダだし、立ち読みもできてレビューもあって買う買わないまでじっくり考えられるんだもの。作家さんには厳しい環境だよね〰(^^; https://t.co/0BcFiqoYiq
— hiyori (@pitapita217) 2017年11月17日
集英社は知らないけど、白泉社はヨーロッパ事業部ではなくヨーロッパの出版社に委託契約してて価格も単行本一冊が8〜10ユーロくらいするので小学生には手が出ません。日本の出版社がとってきた「子どもに安くたくさん売る」が出来ないのがネックになってますね。親たちの理解もまだ足りないし。
— さとえみ@ニガオエ描く人 (@satoemi) 2017年11月17日
ただ、誰とは言わないけどウェブサイトにオリジナルの漫画のせてコミケとかで本売ってサインの列作ってる「全く出版社に依存してないプロの漫画家」はアメリカにゴロゴロいるし、日本も多分そうなっていく気がする…。ってかそうなって行くしか中間層は這い上がれなくなってるって言った方がいいのかな
— さとえみ@ニガオエ描く人 (@satoemi) 2017年11月17日
「本が売れない」について言うと、経営者の責任で、作家さんや編集さんの責任ではないと思います。
そして、売上が落ちて利益が確保できないなら、経費を削ります。普通は。
漫画家さんとか小説家さんに気付いて欲しいんですが。
普通の、下請けが個人でない企業は、売れない責任は、経営者が負います。
経営者が負います。
下請けが負うわけないでしょ。
ゲームでも、それはない。— 末尾 (@matu_bi_) 2017年11月17日
なんで、下請けな立場である、漫画家さんが、売上の責任を負う必要があるんですか?
経営者が能力がないのは、経営者の責任ですよ。結果が出せないなら、やめてください。それだけ。
— 末尾 (@matu_bi_) 2017年11月17日
例えば、ファッションブランドで、デザイナーが社長で、自分でテナント借りて出店して、店内レイアウトやディスプレイも決めて販売していて。
服が売れないのであれば、それはデザイナーの責任でしょう。デザイナー=社長=経営者だから。
本が売れない、漫画で利益を出せないのは、出版社の経営者、書店の経営者の責任です。
色々と事情はあるのでしょうが、みんなで生き残ろうとしすぎるあまり、全滅する道を選ぶのは愚策だと思っています。
本に限りませんが、売りたい商品は店頭にズラリと並べないと売れません。
だから「売れない」というリスクを経営者が負って、多く印刷することを決め、一番良い位置に置く必要がある。
今は「売れてる作家が新刊出したから並べよう」「売れたから増刷しよう」「話題だから店頭に置こう」
「売る意志」「リスクを負う覚悟」はありません。
とはいえ、経営者にカルロス・ゴーンさんや原田泳幸さんを迎え入れることも出来ないでしょうから、現場で個人で出来る努力をコツコツ積み重ね、書店や出版社の倒産に巻き込まれないよう、自衛する他ありません。
***
偉そうに語ってすみません。
10年前に勤めていた会社。
当時の執行役員は、「20年後の売場について、社長とディスカッションしてた」とか話してました。
執行役員がその辺にいて一緒にランチするし、社長とエレベーターで一緒になることもありました。
私はサラリーマン店長でしたが、「経営者としての視点」を求められて来ました。
その企業は、今も店舗を増やし、売り上げを伸ばしています。