育児漫画描く人向けの記事

【論文】実録系育児漫画の誕生からの流れ(1)~世の中や雑誌の移り変わり

投稿日:2019年2月1日 更新日:

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※今回の記事で使う名称「育児漫画」には妊娠・出産漫画も含んでいます。

「育児漫画目録」の末尾としての活動の締めとして、育児漫画の歴史や最近までの流れをまとめてみます。
書いている本人が引くくらい、超長いのでお時間あるときに…。

今回が1回目で、5回くらいのシリーズとなる予定です。

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2013年から今まで、色々と育児漫画について調べて来た結果。
最初に実録系育児漫画を発表したのは手塚治虫さん(『マコとルミとチイ』1981年刊、3分の2はフィクションとされる)のようです。

現在に至るまでの「育児漫画」の歴史は、こんな感じだったのかな?と考えています。

1)新聞・漫画雑誌では創作(フィクション)家族漫画が多かった
2)ベビー雑誌発で実録系育児漫画ブーム到来
3)漫画雑誌でも実録系が箸休め的連載になる
4)「コミックエッセイ」ブーム到来
5)ブログブーム→「絵日記ブログ」の誕生・増加
6)雑誌主体からSNS/WEB連載主体に変化

ここから話が細かくなっていきます。
作品のタイトルだけでは把握できないとも思うのですが、雰囲気を楽しんで頂ければと思います。

世の中の変化

まずは、日本国内の「結婚・妊娠・出産・育児」のイメージがどう変わってきたか?を紐解きます。
ジャパンアーカイブス1850-2100」というサイトの情報と、自分が見聞きした情報や記憶をミックスした考察となります。

ジャンルで見る検索結果:女性の記憶396件

近代女性の生き方の転換点は明治期までさかのぼります。

1869年~実施された、明治政府による「女性解放政策」。
1880年に、ようやく認められた女性の参政権。
1900年代に興った、平塚らいてう、与謝野晶子らによる「女性解放運動」や「母性保護論争」。
(年度末になって、駆け足で教え終わるんですが、明治時代も面白いですよね…。)

そういった流れの中から、昭和初期にいわゆる「職業婦人」が産まれます。
今のワーキングマザー、リーマムのはしりですが、実態としては未婚の若い女性が短い期間やるだけ、だったようです。


※写真は「江戸東京博物館」の展示物です

その後、第二次世界大戦後からは経済の発展などと合わせて、変化してきました。
細かく紐解きましょう。

1950年代

1950年代後半、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が”三種の神器”として喧伝されました。

1956年、「経済白書」に”もはや戦後ではない”と書かれるなど、経済的な余裕が出てきました。
1958年の、東京タワー竣工とご成婚(皇太子殿下と美智子妃殿下)ブームをきっかけに、”三種の神器”は爆発的に販売されました。

1960年代

1960年代の「アンネナプキン」が登場、一大ムーブメントを起こしました。
※それまでは市販の生理用品はほぼありませんでした。詳細は田中ひかる『生理用品の世界史』

ファッションも、和装から洋装へと変化し、自作からオーダーメイドを経て既製服に。ブランドを選ぶスタイルへと変化しました。
※特にスーツについては昭和50年代頃までは、町に服屋があり、採寸して作っていました。1980年代に既製服の価格が下がってきて、2000年代のユニクロブームにより都市部にもファストファッションが登場。現在に至ります。

雑誌も主婦向けの「婦人誌」から、ライフスタイルやファッションを提案する「JUNON」「クロワッサン」などが創刊され、その流れが、マタニティ雑誌や子育て雑誌の創刊へと繋がります。

1970年代以降

1970年代後半からは、女子教育や働き方に対する意識も少しづつ変化し、1985年の男女雇用機会均等法が成立しました

これ以降は、TV(芸能人・有名人が与えた印象)が大きいと思います。記憶にも残りやすく感じます。

山口百恵さんの結婚、引退

1979~1980年の人気歌手・山口百恵さんの結婚、引退。

松田聖子さんの結婚・出産

1985年の松田聖子さんの結婚、翌1986年の出産と、産後も子育てをしながらアイドルを継続(人気も継続)。
「ママドル」という言葉を生み出した流れは、女性の結婚・出産・子育て観の転換点として重要だと思います。

私は1978年生まれですが、松田聖子さんが結婚した当時、(記憶では)小学館「小学〇年生」といった学童向け漫画雑誌で、『松田聖子物語』が読み切りとして掲載されていました。

アイドルとして活動する日々と、映画の競演をきっかけに神田正輝さんと恋人関係になり、結婚するに至った経緯が描かれていました。

※これだったか記憶は定かではありません…。「松田聖子「水色聖子の世界」」より画像を引用

KONICA MINOLTA DIGITAL CAMERA

皇室の御成婚

その後の1990年、秋篠宮文仁親王・紀子妃殿下のご成婚、1993年の皇太子・徳仁親王と雅子妃殿下の結婚や皇室ブームが起きました。この辺の描写は育児漫画『わたしがママよ』(森本梢子)にも描かれています。

その他の流れ

1997年の安室奈美恵さん結婚・離婚あたりから、芸能人の結婚後の仕事継続も、離婚も、当たり前のものとして受け入れられるようになってきたように思います。

2005年頃のブログブームを経て、現在はママタレントもたくさんいて、ワーキングマザーもたくさんいます。
専業主婦から料理研究家に転職したり、「夜泣き専門家」という新しい職業を生み出したり。

母親になってから独立・起業するといった、結婚後の女性の生き方・働きに変化が起きました。

女性向けの雑誌の変遷

皇室、芸能人と言った有名人の結婚事情はそんな感じでした。
今度は「女性向けの雑誌」いわゆる「婦人誌」に目を向けてみましょう。

まずは日本の識字率や、本を読む習慣がどうであったか。実は世界でも珍しい歴史があります。

江戸時代の日本

日本は、江戸時代の識字率が7割以上とも言われ、世界でも稀な「庶民が本を読む習慣のある」国でした。
江戸の町では老若男女が日常的に本を楽しんでいました。庶民が本を借りる貸本屋があったようです。

江戸時代には曲亭馬琴‎(滝沢馬琴)、井原西鶴、十返舎一九といった人気作家もいましたし、松尾芭蕉‎や小林一茶といった人気の俳人もいました。
●Wikipedia:Category:江戸時代の作家

福沢諭吉の『學問ノスヽメ』は明治初期の大ベストセラーですが(当時で300万部売れたと言われる)、それだけ文字を読める人が多かった。現代とあまり変わらない、文字を読むことが日常であったという証左でもあります。

新聞の発行部数

日本は新聞の発行部数も群を抜いていると言われます(世界の新聞発行部数ランキングで上位を独占しています)が、これも江戸時代、既に「瓦版」「読売」という新聞の前身ともいえるものが出回っていた影響が大きいでしょう。

【1891年】本を読む人(明治24年)▷あん摩をしながら本を読む

雑誌の歴史

日本の雑誌の歴史は、講談社「キング」の創刊から始まります。
日本出版史上初めて発行部数100万部を突破した国民的雑誌で、1924年11月創刊、1957年廃刊。

●Wikipedia:キング(雑誌)

婦人向け雑誌

さて、女性(婦人)向け雑誌はどうだったでしょうか?

調べてみると、色々と出ていたようです。
中でも、「婦人公論」「主婦之友」「婦人画報」「婦人倶楽部」の4誌は”戦後の四大婦人雑誌”と称され、発行部数も50万部を超えていました。(現在はほとんどが廃刊しています。)

【婦人向け雑誌の流れ】
1903年(明治36年)「婦人之友」の前身「家庭之友」創刊
1905年(明治38年)創刊「婦人画報
1910年(明治43年)創刊「婦女界
1916年(大正5年)創刊「婦人公論
1917年(大正6年)創刊「主婦の友
1920年(大正9年)創刊「婦人くらぶ(婦人倶楽部)
1946年(昭和21年)創刊 「主婦と生活
1958年(昭和33年)創刊「家庭画報

最初に創刊された「婦人之友」では、「家計簿」を発明、一般への普及をはかりました。実用書としての役割が強かった。
後続の「婦人画報」、「婦人倶楽部」も料理など家事を扱う実用書でした。
(今でいう「レタスクラブ」「オレンジページ」「Mart」みたいな感じでしょうか。)

その後創刊された「婦人公論」は「自由主義と女権の拡張を目ざす」がコンセプト。異彩を放っていました。
(今でいう「VERY」みたいな感じかな…「VERY」は働くお母さんにお勧めしたい雑誌です。記事が充実しています。)

この辺の婦人誌には、太宰治、芥川龍之介、川端康成、三島由紀夫といった有名作家が連載を持っていたみたいです。
それぞれの雑誌のWikipediaが面白いんで時間のある時にでも。

女性向けファッション誌

これとは別の流れとして、ファッション誌の流れがあります。
ファッション誌は、最初は服飾や「服を自作すること」を情報の中心とした紙面でしたが、昭和50年頃から「ライフスタイルを提案する雑誌」へと広がりを見せていきます。

1936年(昭和11年)日本初のファッション雑誌「スタイル」創刊
1936年(昭和11年)創刊「装苑」

1966年(昭和41年)創刊「エムシーシスター」
1969年(昭和44年)名称変更「流行通信」
1970年(昭和45年)創刊「an・an」
1971年(昭和46年)創刊「non-no」
1973年(昭和48年)創刊「JUNON」
1975年(昭和50年)創刊「JJ」
1977年(昭和52年)創刊「クロワッサン」
1982年(昭和57年)創刊「Olive」

こうして見ていくと雑誌は、明治~大正にかけての時期と、戦後20年経った昭和40年代に増えているようです。
昭和40年代の雑誌は名前が分かるものも多いですね。

マタニティ雑誌・ベビー誌

更に、「マタニティ雑誌」や「ベビー雑誌」の歴史はどうだったでしょうか?
第二次ベビーブームに合わせて、育児専門誌が発売されたようです。

1969年(昭和44年)婦人生活社が雑誌「ベビーエイジ」創刊。
1973年(昭和48年) 日本初の育児誌「わたしの赤ちゃん」創刊
※”日本初”は主婦の友社の説明から引用してますが、認識が間違ってる気が…

1981年(昭和56年)「ベビーエイジ」の別冊として別冊として雑誌「プチタンファン」創刊
1985年(昭和60年)小学館「ピーアンド」創刊
1985年(昭和60年)婦人生活社「マタニティ」創刊
1986年(昭和61年)主婦の友社「Balloon」創刊
1993年(平成5年)ベネッセ「たまごクラブ」「ひよこクラブ」創刊
1996年(平成8年)ベネッセ「たまひよ こっこクラブ」創刊
2002年(平成14年)主婦の友社「Pre-mo」「Baby-mo」創刊

簡単に言ってしまうと、上で紹介したように、ファッション誌を含め女性向けの雑誌が販売数を伸ばした。
ベビーブームもあり、「婦人向け雑誌」が育児に特化した雑誌(別冊)を出した、という流れのようです。

「プチタンファン」は育児漫画の歴史とは切り離せない雑誌です。
「公園デビュー」という名称を発明・発信したのは「プチタンファン」だとも言われます。

成人女性向け漫画雑誌の流れ

これとは別に、「成人女性向け漫画雑誌」の流れもあります。

1980年(昭和55年) 講談社「BE・LOVE」創刊(2019年隔週→月刊に変更し、継続中)
1980年(昭和55年) 集英社「YOU」創刊(2018年休刊)
1985年(昭和60年) 集英社「オフィスユー」創刊(継続中)
1985年(昭和60年) 小学館「Judy」創刊(2008年休刊)
1985年(昭和60年) 白泉社「Silky」創刊(2013年休刊)
1989年(昭和64年/平成元年) 祥伝社「FEEL YOUNG」創刊(継続中)
1994年(平成6年) 集英社「コーラス」創刊(現在は「Cocohana」に移行)

1980年頃から各出版社から、18歳~30歳くらいの女性をターゲットにした漫画雑誌が刊行されました。
1980~1990年代、成人女性向け雑誌は「レディースコミック」と呼ばれ、女性向けの18禁エロ漫画雑誌だった側面が強いです。

2000年くらいから18禁(エロ)要素が薄くなり、現在と近い雰囲気になりました。

創作・実録問わず、育児漫画も多数連載されて来ましたが、2019年現在だと七尾ゆずさんの『おひとりさま母さん』1作にまで減少しています。

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インターネット時代の到来

1996年あたりからのインターネット時代の到来。その後のHP(ホームページ)作成ブームが来ます。
「ブログ」が出来る前は、インターネットの主流はHP(ホームページ)でした。

育児に関する情報や育児漫画も、HP(ホームページ)で掲載されていました。

現在はブログで連載している、前川さなえさんの「ぷにんぷ妊婦」も初期(2005年~)はHPでの連載だったようです。

ぷにんぷ妊婦

他の方の記事やコメント欄を見ると、2000年代は携帯電話から閲覧したり、コメントを書き込む読者が多かったのがうかがえます。

ブログサービスの開始

ブログの歴史は「ブログの歴史を振り返る「ブログ年表」アルファ版公開します」(カイ士伝)に詳しいです。

育児漫画に関連深いものだけ抜き出しますと

2004年9月 「アメーバブログ」サービス開始
2005年 「ブログ」が流行語大賞に
2005年10月 「うちの3姉妹~マンガで見る今日の出来事~」(松本ぷりっつ)発信開始。瞬く間に人気ブログに。
2006年9月 育児漫画雑誌「すくすくパラダイス」創刊

2005年頃から始まった育児漫画ブログは多いのですが、意外と「うちの3姉妹」の影響は薄く、好きで始めた(自分勝手に始めた)作家さんが多いようです。

逆に、がっつり「3姉妹ファン」の作家さんは、絵柄を似せたり、同人誌を作ったりもしていました(私の記憶…)。

まとめ

世の中の流れはそんな感じでした。
その結果、実録系育児漫画の流れは大まかにこのようになっていると考えます。

【発祥】
1)新聞
2)女性向け漫画雑誌
3)4コマ漫画誌
4)ベビー雑誌、マタニティ雑誌
5)アニメ雑誌・同人誌
 ↓
【大きく拡大したきっかけ】
ベビー雑誌が中心となって仕掛けた、第一次育児漫画ブーム(90年代)
 ↓
携帯HPやブログブーム(インターネット時代到来)で色々な人が描く・読むようになった第二次育児漫画ブーム(05年~)
 ↓
ブログ、Twitter、Instagramで毎日のように投稿・閲覧するのが日常に
 ↓
「コノビー」の成功と、子育てサイトで育児漫画連載枠の増加
 ↓
現在に至る

次回以降は、それぞれの流れについて、深堀りしていきます。

長いからね!濃いからね!引かないでくださいね…!
***

続きを書きました。

【論文】実録系育児漫画の誕生からの流れ(2)~4コマ漫画の歴史を追う

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