私の場合、作者の坂井恵理さんを知ったのは『妊娠17ヶ月!』でした。
WEB連載から読んでいますが「この漫画は好き嫌いがはっきり分かれるだろうな」と思っていました。
私もWEB連載の時は「うーん…」て思いながら読んでましたし(^^;
発売直後にレビューを書きました。
自分としては「買って損した」「思っていたのと違う」を防ぎたいと思って書いたのですが、感想なのかな…これ…。参考になっていると良いのですが。
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『妊娠17ヵ月!』(坂井恵理)を買いました~一口感想…といいつつ長い…
2014年にWEB連載していた、坂井恵理さんによる妊娠・出産の経験を描いた漫画です。 私としては、作者の考え方や姿勢は好きだけど、表現方法や台詞回しが分かりにくいと感じる作品。 その一方で、他の妊娠・ ...
作品の好きなところについて↑の感想から抜粋しますと
・意図しなかった予定外の妊娠・出産、そして死産の体験を淡々と描いていること
・甘さや甘えがないところ。
「40歳で母になる!」のサブタイトルがついていますが、出産年齢が40歳であることに喜んだり、老眼だから息子の顔を見づらいと感じたり。加齢による身体の衰えや、ちょっとしたことで年齢が気になる…といった部分もありのまま描いているところは好きです。
その後、創作漫画の方もいくつか読みましたが、ご自身の経験や体験を活かして描かれていて、当事者意識と言うか実感を感じさせる描写が多いです。
絵もきれいだし、漫画としてうまい、面白いと感じます。
現在連載している『ひだまり保育園おとな組』も面白いです。2巻まで出ています。
保育園を舞台にした、1話完結のオムニバスです。
保護者、保育士 、社会科学習で訪れた中学生など、保育園を舞台に様々な大人たちが描かれます。
1巻単体だと物足りないというか、人に勧めにくいと感じていて。
2巻を読んだら色々とうまくて感心させられました。
作者自身がお子さんを育てつつ、ママ友の意見を取材しつつ描いていることもあり、小さい子を持つ方のが共感出来る気がします。
新生児期を描いたこのページのわかりやすさといったら。素晴らしいの一言です。
「時間が経つにつれて変化していく母親」がよく描けていると思います。1ヶ月が経つのも、本当に早い。
ページ半分で新生児期あるあると心境や表情の変化をぎっちり詰め込んであるのすごい。 pic.twitter.com/MSEZLbORbl
— matsubi. (@matu_bi_) 2017年8月18日
1巻は高齢出産をした編集長の話が好きです。
子どもの姿を見ながら母のことを思い涙する場面があるのですが、とても共感しました。
2巻は冒頭1話目に収録された、不倫の話が一番面白かったです。
こわいこわい(^^;
他の話の主人公が、他のエピソードに登場するのを見つけるのも楽しい。
1巻で登場した「保育園に入れたけれど、両立できなくて仕事を辞めた」母親が、2巻の「保活に失敗した」母親の客として登場したり、1巻の編集長が同じく客としてセレブ保育園を紹介したり。
3巻では1巻に登場した専業主夫な男性が登場するのかな、と期待しています。
子育てしながらの体験を、すぐに創作漫画にフィードバック出来るのはすごいと思います。
坂井さんは柴門ふみさんのアシスタントを長年勤めていたらしいのですが、流石といいますか、絵がうまいです。
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私が読んだ坂井恵理さんの作品で、お勧め作品を。
『ヒヤマケンタロウの妊娠』は男性が妊娠する世界を描いた近未来SFですが、立場や視点を変えることで「世間の”妊娠の常識”への疑問」がよく描かれていると思います。
『鏡の前で会いましょう』は女性の嫉妬心?あるあるが豊富で面白かったです。
今作は小説・映画『おれがあいつであいつがおれで』(古いので伝わるか不安)みたいな、人間の中身が入れ替わるというSF設定なのですが、「羨ましい」と思う気持ちは自分が持たないものから生じるのかな、と考えさせられます。
私はみょーこちゃんとタイプが近いこともあり、みょーこちゃんに共感しながら読みました。
みょーこちゃん、色々頑張ってて偉いと思うわ…。本当に…。
全3巻で、スッキリとよくまとまっていると思います。