【WEB漫画】『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(宮川さとし)~母親が死ぬということ

おはようございます。
今日はWEBで連載中の「母親の死」を描いた漫画をご紹介。

母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。(宮川さとし)
毎週金曜更新、4/4(金)に第9話を公開。(掲載:くらげバンチ
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初めて目にしたとき、1話目を読むのに躊躇しました。
タイトルが衝撃的だったというのもありますが、これを読むには心の準備が必要だな…と思って、一旦、パソコンを閉じました。

昨晩、現在公開されている1話から9話まで、全部読みました。
良作でした。

妊娠している時、育児をしているとき。
子どもの成長と生を見守る中で、自分の親の存在、遠くない未来にある死の存在も感じます。

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【内容紹介】

作品のあらすじ

「自分の母親だけは絶対に死なないと思い込んでいた」
母の死後も淡々と続いていく日常の中で作者が発見したこと。
そして、現実と真摯に向き合っていく過程で見えてきた”母の死”の意味とは―――。
どこか勝手の違う”母親のいない世界の違和感”を新鋭が紡ぎだす自伝的エッセイ漫画。

作者のプロフィール

作者・宮川さとしさんは1978年6月生まれ(現在35歳)。
2012年に漫画家としてデビュー。コミック@バンチ(新潮社)にて『東京百鬼夜行』連載中。

母親が亡くなったのは2012年3月。33歳の時。
この漫画は、亡くなってから1年を過ぎた時期の自分と、母親が元気だった頃、母親の癌が発覚した時、亡くなった時、葬式をしている時など、過去の思い出を行き来するような構成で綴られています。

現在のちょっとした出来事から、元気だった時期の母親を思い出し、反省したり後悔したり笑ったり…。
今作では「親が死んだ時」の独特の雰囲気が表現されていると感じます。

私が亡くしたのは義理の父でしたが、親が死ぬ前に「想像していた感覚」と、現実は全然違っていて驚きました。
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以下の感想9話までのネタバレ満載なので、本編を読んでからお読み下さい。

※8/8追記
単行本化に合わせて公開は3話までになりました。

【ネタばれ感想】

作者が自分と同じ年齢で、お母さんが亡くなった時期が義父が亡くなった時期とほぼ同じ(2012年3月初旬)で驚きました。

自分がぐっと来たのは3話です。
亡くなった人がいてもお腹は空くしごはんは食べないといけない、という現実。でもなんだか喉を通らなかったり味を感じなかったり。
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死体に対する感覚が、想像とは全然違って驚く感じは、そうだなあ…と。

頭では死んだと分かっている。身体も冷たかったし、数日間横たわったままで起き上がりもしなかった。
火葬もした。骨は壺に収めた。

でも死んでいるとは納得しきれない。
ある日突然、家に帰ってきそうな、ふわふわした感覚がある。

作者が母の死体に対して「産まれたての赤ん坊と同じくらいに愛おしく感じられた」と描いていますが、この表現は上手いと思いました。
そうなんですよ。死体なのに。
死体だと分かっているのに、とても愛おしい。

私の場合は義父だったので「お義父さんと手を繋いだことなんてあったっけ?」…という感じなのですが、愛おしいと感じる。

大人になってから親の身体を触ることはありません。
結婚式でバージンロードを歩いた時に父と腕を組みましたが、そのくらいかな…。

実の両親は今も生きているので触れること自体は可能なのですけれど、元気に動き回っていると手を繋ぐことさえ恥ずかしいので出来る気がしない。
久々に、親の素肌に触れるのは、親が死体になってから。

そう思うと、なんだか切ない。
自分が現在子育ての真っ最中で、毎日毎日、娘とべたべた触れ合っているから余計に切なく感じます。

義父が亡くなった時、私たち家族は葬式で号泣しました。
何故こんなに悲しいのだろうと思ったけれど、あの時の悲しみは「義父の身体がこの世界から無くなること」の悲しみで。

精神が失せてしまった「ただの死体」にここまでの価値を感じるものなのか…と冷静に考えたりもしました。
それまでは聖人や王様の死体をミイラにしたり、蝋で固めたりして保存しようという気持ちが全く分からなかったのですが、今ならわかると思いました。

義父が亡くなって2年が過ぎましたが、実家に帰るとひょっこり現れそうな感覚は消えません。
ほんの5年の付き合いだったし、会いたいという衝動に駆られることはありませんが、今にも扉を開けて帰ってきそうな気がする。
不思議だなと思います。
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5話のエピソードも好き。
病室にカレーを持ち込むお母さん…。つええ…。

母親の自信に満ちた言葉は、根拠が無くてもパワーをもらえます。
その感じがよくわかる。
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ただ、子供である自分が親にその力を与えるのは難しくて。
6話に描かれた「母親が死に支度をする」様子は胸が痛い。

うちの母は病気と闘う為、生きる為に情報を集めて試すタイプなのですが、義母は淡々と死んだ後に問題が無いように支度するタイプ。
作者の母は、義母に似たタイプの人だったのかも知れません。

自分は癌に限らず「病気の告知をしない」という選択がよく分からず、「本人の事だしはっきり伝えた方がいいんじゃないかしら」と思っていたのですが、人によるよな…と考えさせられました。

余談・親が亡くなった時の手続きの話

義理の父は突然死でしたが、義父に予感があったのか、たまたまなのか、葬儀社からお墓、お寺、戒名などについては全て義母と話し合って決めていて。
最後に会ったのは亡くなる10日くらい前でしたが、その時に「お墓を決めて購入した」と話したのを覚えています。
お蔭で突然死だったにも関わらず、慌てることなく対応できました。

この漫画ではさらっとしか描かれていませんが、親族が亡くなると、やるべきこと・決めるべきことがのしかかってきます。

例えばご遺体を病院から家まで運ぶのに葬儀社を呼ばねばなりません
病院でも紹介してくれますし、「搬送だけお願いしたい(葬儀については改めて検討します)」と電話で伝えた上で依頼することも出来ます。

義父が亡くなってから半年くらい後、父が自分の経験を教えてくれました。

祖父が亡くなった時、父は30歳くらい。
気が動転していたこともあり、1人で霊安室からタンカで祖父を運び出し、車の後部座席に乗せて運んだそうです。
※許可なく死体を運ぶのは違法です…。棺に入っていれば自分でも運べるようですが。

遺体の搬送を葬儀社に依頼しなければならないことは知らなかったと語る父。
「警察に見つかったら掴まっていたね」と笑う母。

もう30年以上前の話なので時効ですし笑い話ですが、知らなければ自分も慌ててしまいそうだな…と思いました。

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葬儀以外にも遺産相続、公共料金や預金の名義変更、仏壇とかお墓を準備するとか四十九日法要とか、残された親の社会保険や遺族年金の手続き。
親族や相続人と相談した上で決め、しなければならないことが多いです。

1周忌の時に義母と義姉は「義父が亡くなってから1週間の記憶がない」と話していました。
2人とも亡くなって1週間はまともに眠れてませんでしたしね…。
義父が亡くなって数日間は車の鍵が無いとか、携帯が無いといったことも多かったです(何処に置いたか忘れてしまっているだけなのですが…)。

当然といえば当然ですが、出産届より、死亡届の方が届け先の数が多くて。
自分はExcelで「やることリスト」を作って一つ一つチェックしながら進めていました。

●【知識】親が亡くなった時に必要な名義変更などの手続きと、役に立つ本まとめ~自作のExcelシートつけました

手続きをすることで時間が過ぎていき亡くなった実感が沸く面もありますが、関係者の記憶があいまいになりやすいせいか、トラブルが起こりやすいとも思いました。

子どもを産んで育てながら「少しは大人になったかなあ…」とも思いますが、親が亡くなり葬儀などの手続きをする中でも、自分自身が大人になったと感じました。

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