うちの旦那は鬱病で3回会社を休職(その後退職)しています。
旦那が2回目に休職している頃、『ツレがうつになりまして。』を読みました。
失礼ながら作中に描かれたツレさんの病状に比べれば旦那はマシだと感じられ「そこまで深刻にならなくてもいいか」と思えました。
読んだことで気持ちが楽になり、とてもありがたかった。
この本で2人に子供ができたことを知り、よかったな~と思いながら読みました。
2008年10月に単行本発行。
2013年6月に文庫版発行。
amazon ★★★★(3.8)
楽天 ★★★★(4.32)
※2013年4月22日の点数です
【内容紹介】
「結婚12年 38歳高齢出産 ツレのうつ 逆子 帝王切開」この次から次への荒波を乗り越え、貂々さんは産みました!!
逃げることなく、逆境に前向きに向かっていった高齢ママの感動・爆笑コミックです。
【感想】
一番長く読んでいる妊娠・出産漫画かも知れません。
そのせいか、読む時期によって全く感想が変わってびっくりします。
作者のプロフィール
細川貂々さんは代表作『ツレが鬱になりまして。』。
結婚12年目、38歳の時に息子・ちーと(千歳)くんを出産。
現在は貂々さん、ツレさん、ちーとくんの3人家族。
続編として育児漫画『ツレと私の「たいへんだ!」育児』や『ツレはパパ1~3年生』があります。
この漫画の好きなところ
最初読んだのは旦那さんと同棲していた時期。発売直後に『ツレうつ』の続編として読みました。
ツレさんの鬱病や金銭的な事情により、子供を諦めていた2人に子供が出来たのが嬉しくて、うちも出来るといいな~…と希望が持てました。
2回目に読んだのは妊娠した時。
その時気付いたのは「高齢出産の厳しさ」のようなもの。
病院選びにしろ帝王切開での出産にしろ、とにかく「安全に産むこと」を最優先に考えないといけない。
作者が考えたり調べたり迷ったり、時にわがままを言ったりしながら、選んだり諦めたりする様子が印象に残りました。
3回目に読んだのは2013年の4月頃。娘を生んで約1年。
この時は、夫・ツレさんの行動が引っかかって仕方なかった。
1年前は面白かった漫画が面白く感じられないこと、1年前は作者に感情移入できたのに今は出来ないことにびっくりしました。
自分が産後クライシス期で旦那さんとぎくしゃくしていたこと、作者が描いた育児漫画を読んだ直後だったことも影響しているかもしれません。
4回目に読んだのは最近です。娘1歳9か月。
今回は面白く読みました。
他の妊娠・出産本を沢山読んだこともあり、以前読んだ時には気付かなかった作者・細川貂々さんの作風に気付くことも出来ました。
今回、このコマに衝撃を覚えました。
こういう疑問をストレートに描けるのところが好きです。「妊婦だからこうしなきゃ」「いい年した大人なんだから」という概念に縛られない感じ。
妊娠して幸せだと感じる部分も描いているけれど、不便だ、嫌だ、…と思ったことも描いている。
私も「妊娠したのだし、仕方ない」と思うのですが、一方で「みんな大人だなー。よく我慢してるなー」とも思うんですよね。
「自分の体じゃないみたいでめんどうくさい」と正直な気持ちを描けちゃうのはすごいし、それを読むことで自分の不満が解消されます。
すごく素直に描かれているせいか、あまり引っかからないんですよね…。
今回読み直して、貂々さんもつわりが酷かったことに気付かされました。
食べないと気持ち悪いのに、食べられない食べ物が多く、食べられるのは柿の種とチーかまだけ…。
匂いにも敏感で、ちょっとした匂いにも気持ち悪くなる。
ツレさんが作ってくれた料理も匂いで吐き気をもよおすのでイラッとされてしまったり…。
作ったツレさんが怒る気持ちもよく分かるんです。
旦那さんが色々やってくれるとまた違った問題が出るものですね。
酷いつわりは1カ月以上続き、減る体重、そして気力。
「この吐き気はずっと続くのではないか…」絶望しながらも、床に臥せるになるしかない日々。
その時ふと、「鬱病のときのツレはこういう気持ちだったのかも?」と気付く。
そして「これはツライなあ…」と鬱病だった時のツレさんに想いを馳せる。
この場面はとても好きです。
今回読み直して、そういえば自分が細川貂々さんの作品の好きなところって、作者の素直な気持ちを描けるところだったなあ…と気付きました。
場面によっては「…いや、大人なんだから…ちゃんとやろうよ…」とも思ってしまうんですが、常識に縛られずに描かれている部分がピッタリなときはすごいと感じます。
気になるところ
最後に、気になる点を。
私は産後に読み直した際、気になる部分が増えて面白く感じられなくなったので。
とりあえず気になったのはこの3点
1)ボリューム不足
2)母親学級に登場するおかあさんの発言
3)ツレさんの言動…
1)ボリューム不足
さくさくと読める反面、マンガを読み慣れている人には物足りなく感じると思います。
逆に、漫画を読みなれていない人でも読めるとも思います。
私は漫画を読むほうなので『ツレうつ』を読んでなかったら物足りないと感じてたと思う…。
(最近は情報量が多い妊娠・出産漫画が増えているので余計にそう感じてしまうのかも知れません。)
2)母親学級に登場するおかあさんの発言
お金がかかるから妊娠6か月まで診察しなかったって…??
実際にそういう人がいたのでしょうから作中で描くのは構わないのですが、注釈が入っていないのが気になりました。
読んで誤解する人もいるんじゃないかなあ…?
多くの自治体では、妊娠中の診察・検査費の補助券を発行しています。
補助券をもらえるのは母子手帳発行後です。私は妊娠9週目に手続きを行いました。
私の場合、全額負担したのは妊娠がわかった時と母子手帳発行前2回の診察でした。
初診料もとられたので、トータルで13000円払いました。
私の住む自治体では診察費5000円と検査費全額を補助してもらえました。
診察費の自己負担は1回500円でした(これは病院によりますが、選べば自己負担は1回0~2000円程度で済むはず)。
診察は最初は4週に1回、7ヶ月(24週)から2週に1回のペースです。
自治体によって補助内容は異なりますが、補助はあるので市役所などに確認した方がいいと思います。
働きながら6か月も受診しないとか…。
確かにお金はかからないけれど、赤ちゃんや自分の身体に何か起きたらどうするつもりだったんだろう…。
3)ツレさんの言動…
産後に読み直した時、出産方法についてツレ(旦那)さんが色々と意見を言っているのにひっかかってイライラしました…。
この辺は夫婦の関係性もあるので、妻である貂々さんが気にしないなら良いとも思うのですが、私は言われたくないなあ…。
赤ちゃんと母体の安全を考えると帝王切開という選択を薦めるのはわかるんです。気持ちとしては。
でも産むのも、痛い思いをするのは貂々さん。作中でも「経験してみたかった」と描いています。
ツレさんの気持ちは分かるけれど、産む人の気持ちが固まるのを待ってあげてもいいんじゃない?…と思えて仕方なかった。
(妻の初めての妊娠に、夫であるツレさんも不安で揺れていたとは思います。)
ただ、貂々さんの場合は結果的に、帝王切開がベストだったみたいで。
事前に帝王切開を選択したことで無事に産むことが出来た。(ツレさんから色々言われた)経験も良い方向に変わる気もしました。
一方で、ツレさんは育児に積極的な優しい夫だとも思います。
買い物袋一つ持たさないとか…。偉いよな…。
冷静に読み直すと、「育児に協力的で」「あまり小言を言わない」旦那って、無いものねだりかもしれないなあ…と気付かされました。
まとめ
高齢出産で直面する不安は色々書いてありましたが、作者自身がこのタイミングでの妊娠・出産を喜んでいるので、そこはとてもよかったと感じます。
出産後、3人で退院する場面の描き方がステキだと思いました。