絵日記ブロガーのアマミモヨリさんの本です。
毎月、発売される単行本を調べて一覧を作っているのですが、タイトルを見た時ドキッとしました。
個人の体験談もありますが、日常の行動を具体的に書いている、ノウハウ集のような1冊。自閉症スペクトラム障害を持つ息子さんに関する本ではありますが、定型発達の子を育てる上でも役に立つと思います。
版の大きさはB6版なので他の育児漫画単行本より小さめ。105ページ、1088円です。
(レビュー)
amazon ★★★★(4.4) ※レビュー14件
楽天 ★★★★★(4.88) ※レビュー8件
【内容紹介】
月間64万PVの人気育児ブロガーで、自閉症スペクトラムの男の子ママのアマミモヨリさんが、生後から現在まで6年間の葛藤の日々でつかんだ、親子が笑顔でいられる習慣&子育てのコツを書き下ろしたエッセイ。
「TVを消して静かに暮らす」「小さな頼みごとをしてありがとうと伝える」など、実体験を通してみつけた、すぐマネできる子育てのコツとヒントが満載。
「あるある~と共感できて、じんわり心が温かくなれる! 」という感動の声続々。
発達障害、グレーのお子さまを持つママはもちろん、すべてのママに読んで役立つ、「明日から育児を頑張ろう」と元気が出るエッセイ
【感想と解説】
作者のプロフィール
作者のアマミモヨリさんは、育児絵日記ブロガー。アメブロの公式トップブロガーです。
ブログ「甘味生活*育児絵日記」を更新しています。
(検査は受けてないようですが)アマミさん自身もADHD(注意欠陥・多動性障害)気質だと感じているようです。
ブログ開設は2009年1月。「小さなたのしみ」という記事が1番最初の投稿のようです。
最初は普通に育児の記録として、絵日記ブログを始めたようで。
ブログにはヒルマくんの成長の様子や他の子どもとのギャップについて、素直な気持ちが綴られています。
家族は夫と息子・ヒルマくんの3人。
現在、小学3年生の息子・ヒルマくんは自閉スペクトラムと診断されていますが、小学校では通常級に通っています。
不安感がつよい慎重派。
体験談が少ないこともあり、夫(父親)は本の中にほぼ登場しませんが、他と比べて存在感が強い気がします。
(プロフィール情報はブログの「自己紹介」から)
本の構成
育児漫画の一つとして紹介しますが、文章が多い本です。
大きく3章に分かれています。
1.うちの子は育てにくい子(ヒルマくんが0~6歳までの様子)
2.育てにくい子を穏やかに育てる「親の習慣」
3.育てにくい子を穏やかに育てる「暮らしの工夫」
この本の特徴
・体験を元にしたノウハウ集であること
・バランスが良い
今まで紹介してきた発達障害の子を描いた作品は、自身の体験談のみでした。
この本は「子育てのノウハウ」の方を中心に書かれています。
「バランス」については表現が難しいのですが、ノウハウ集なのに、子育ての苦労が感じられて。
紹介される方法論は分かりやすく真似しやすいと思いますが、作者さんが一歩引いた感じなので、押さえつけられている感じがないと言いますか、自分の子育てを否定されている気持ちにならない。
育児書ではたまに、読者の現在の子育てを否定したり、作者自身の主張が強すぎて気持ちが萎えるのもあります。
今作はそういった負の側面が薄く、作者自身の体験や失敗談をノウハウとして伝えているので、読みやすく受け入れやすいと感じました。
うちの子は育てにくい子
1章はブログ記事を元にした体験談です。
ヒルマくんの成長の様子は、ブログに丁寧にまとめてありまして。1章の内容は「0~6歳までの成育歴・療育歴」を元に書かれているようです。
●発達障がいに気づくまでの道のり:目次
●0~6歳までの成育歴・療育歴
2歳で発達の検査を受けた際の医師の言葉。「じつは子育てはもっと楽なんです」には衝撃を覚えました。
息子・ヒルマくんの発達障害の症状
2歳で初めて検査を受け、3歳で「自閉症スペクトラム」と診断されます。
プロフィール欄に書いてあることは「不安感がつよい慎重派」。症状を書くと1章の項目を全て明かすことになるので、特徴的な部分を。
睡眠障害についての記述は多めに感じますし、ブログの睡眠障害に関する体験談は読みごたえがあり参考になります。
同じ悩みを抱える方は読むと良いかも知れません。
***
1歳2カ月で初めての発語(しんかんせん)
●しゃべりました!
クレーン現象
●ベビーサイン?
睡眠障害
●睡眠障がい(カテゴリ)
それ以外の特徴は「0~6歳までの成育歴・療育歴」を読むと分かりやすいと思います。
育てにくい子を穏やかに育てる「親の習慣」
2章、3章は子どもを育てる上でのノウハウ集となっています。
内容としては、一般に「ペアレントトレーニング」と呼ばれる方法を平易な言葉で紹介しているようでした。
●ペアレントトレーニングとは?(リタリコ 発達ナビ)
「親の習慣」は5つの項目に分かれています。
・考えてから話す
・整える
・ほめる
・じっくり観察する
・根気よく待つ
私も色々な育児書を読んでいますが、親が参考にして行動を起こしやすいのが良いですね。
「育てにくい子」向けに書かれてますが、普段、子どもと接するときに参考になると思います。
また、「考えて話す」「じっくり観察する」「根気よく待つ」あたりのノウハウは、ビジネスというか部下育成にも当てはまる内容だと感じました。
実は部下育成やマネジメントをテーマに書かれた本でも見かける内容です。
一例ですが、
・シンプルに話しかける
・曖昧な表現を避ける
…といった心がけは、コミュニケーションをとる上で非常に大切で。
また、ちょっとしたことですが、「指さしの位置違う」といった、ちょっとした思い違い・すれ違いは普通に起きます。
注意深く相手を観察することも、コミュニケーションをとる上では大切なことです。
育てにくい子を穏やかに育てる「暮らしの工夫」
着替え、食事、朝のしたくなど、生活に関連して工夫していることが書かれています。
こちらも定型発達の子を育てる時のも役立つと思います。
着替えの目印の話などは、そのままこういう服を作ったら売れそうな気もします(無印良品は比較的工夫した商品を開発している感もありますが)。
1日のタイムスケジュールを決める話に関連して。
ブログ「ナコとムスメらあとダンナ」のナコさんが時計などの素材を作って、データ配布しています。
●『こどものタイムスケジュール表』【イラスト・写真】
●『こどものタイムスケジュール表』【ダウンロード配布】
2章・3章については、目安となる年齢が書いてあったり、巻末にまとめがあったりと使いやすい、親切な作りになっています。
間に挿入される詩のようなページ
このページが間として良いというか、子育てをする上での苦労やちょっとした笑いが描かれていて好きです。
まとめ
体験談を描いたというより、体験談を元にしたノウハウ集なので、感想・解説もあっさりとしたものとなりました。
丁寧に書かれていると感じるので、育児書の一つとして手にとっても良い気がします。
本を読んで、もっと体験談を読みたいと思った方は、ブログを読むと良いと思います。
私もすべてを読んではいませんが、上で紹介したように、発達段階に合わせて書いてあるので、参考にしやすいとも感じました。
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この感想は「発達障害特集」の一環です。今まで書いた「発達障害特集」の記事はこちら。
●発達障害に関する育児漫画