【発達障害】に関する育児漫画情報

【目録】心的/知的/身体的・障害を持つ子どもを描いた育児漫画の、いままでとこれから

投稿日:2017年7月13日 更新日:

今日は「障害児」を描いた育児漫画について。
障害児を描いた育児漫画を絡めつつ、現在までこんな感じで変化してるよ~という流れをまとめてみたいと思います。
今まで書いた「発達障害特集」の記事はこちら。
発達障害に関する育児漫画

障害児を育てた体験を描いた漫画

ここ数日(特集組んでるので仕方ないんですが)「発達障害」とか「障害を持つ」とか書きまくっていますが、「障害」って言葉は扱いが難しいとは思っています。

一方で現在は検索で情報にたどり着く方も多いので、はっきり書かないとそういった作品を読みたい・探している人に届かないので余計に難しいと感じています。

現在までの育児漫画の流れ

育児漫画の現在までの流れは「育児漫画単行本一覧」を眺めるとつかめますが、要約しますと。

実録系育児漫画は少なかった1990年代。
育児雑誌連載の『ママはぽよぽよザウルスがお好き』(1巻は1993年刊行/青村貴子)、男性向け4コマ漫画誌発で『私たちは繁殖している』(1994年に1巻刊行/内田春菊)、妊娠漫画だけど『笑う出産』(1994年刊行/まついなつき)などがヒットしました。

『わたはん』は150万部、「笑う出産」は70万部、と記載されていました(たしか『プレジデント Family (ファミリー)プレジデントBaby 』に書いてありました)

2005年にブログ『うちの3姉妹』(松本ぷりっつ)がスタート。2006年に刊行された1巻からヒットします(累計300万部)。
2007年に『ママはテンパリスト』(東村アキコ)が雑誌での連載開始。2008年発売の1巻もヒットします(累計100万部)。

その後、コミックエッセイの人気と相まってタイトル数が増加。
ネット・ブログ発の育児漫画が増えていき、Twitter発やInstagram発の作品も増え、2016年、発行タイトル数が過去最高となりました。

障害児を育てた体験を描いた漫画

ママがんばって(みずの圭)

1995年発売。脳性まひの娘・りのちゃんを描いています。全4巻。

ちいさな来訪者5巻(浪花愛)

1998年発売のラポート社版。長男・光君(2人姉弟の弟)が軽度知的障害と診断された旨が書かれます。
光君は言葉の発達が遅く、こだわりが強い部分が見えるものの、内容としては普通の育児漫画です。

寝たきり天使―ふたごっ子真帆と真海(小橋 もと子)

2005年発売。2003年発売の有木真樹さんの『寝たきり天使・真帆―ゆっくり生きて、いいんだよ』を原作とした漫画です。
滑脳症で余命が半年~2年と宣告されたマホちゃんと、双子のマミちゃんの物語。

うちの子はADHD(かなしろにゃんこ。)

2009年発売。初の発達障害児を描いた育児漫画が発売されます。


※今作以外の発達障害児を描いた育児漫画は「こちら

ユンタのゆっくり成長記(たちばなかおる)

2013年発売。
2011年頃からWEB連載されていた作品。初めてダウン症児童の育児漫画が描かれました。全2巻。

世界は君のもの(金子エミ(作)小林裕美子(絵)

2016年発売。パーツモデルの作者・金子エミさんと、ダウン症児で水選手の長男・カイトくん。2作目のダウン症児育児漫画です。原作者と漫画担当は別の方です。

まとめ

見て頂ければわかる通り、障害を持つ子どもを描いた育児漫画は少ないのが現状です。
脳性まひ、滑脳症、ダウン症(2作)。発達障害以外だとこんなに少ないのが意外でした。

浪花愛さんの『来訪者』は息子・光君の軽度知的障害に触れていますが、この漫画は元々姉・ほしみちゃんの育児漫画として連載していたものなので、たまたま産まれた子どもがそうだったという感じです。

育児漫画における発達障害

発達障害児童を描いた育児漫画は別にまとめた通りです。

【目録】発達障害の子どもを描いたコミックエッセイ単行本まとめ

発達障害の児童を描いた漫画をまとめました。 読んだ作品はポイント(特徴)を書いています。所有している単行本については、1冊1冊感想を書いていく予定です。 ※今まで書いた感想の記事はこちらのリンクから見 ...

続きを見る

障害別にまとめているのでわかりにくいですが、2013年頃から増え始めました。

発達障害体験を描く漫画の変遷

調べたら「ダ・ヴィンチニュース」に記事が書かれていました。
「発達障害」の書籍が急増中 その理由は?(2012年8月19日の記事)

2012年頃に発達障害について書いた書籍が急増し、ベストセラーも生まれたようです。
個人的な認識としては2011~2013年頃に発売された漫画をきっかけに「発達障害」の存在を知った人は多いような気がします。

実録系ではないですが、育児がテーマの創作漫画『プロチチ』(逢坂みえこ)の主人公は発達障害でした。2011年4月に連載がスタート。連載が発表された当時や単行本発売の時、「主人公が発達障害か…」と驚く人も多かったと記憶しています。
全4巻で、現在は雑誌「GQ」で学童編を連載中。

野波ツナさんの『旦那(アキラ)さんはアスペルガー』(2011年刊行)が話題になりました。人気を得て、その後シリーズ化されます。

沖田×華さんのコミックエッセイ『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(2012年刊行)や『ニトロちゃん』(2013年刊行)が話題になりました。


ヒット作とまでいかなくても、話題になった作品は他にもあります。
発達障害の当事者が描いたコミックエッセイも別にまとめたいような…。

発達障害児を描く育児漫画の変遷

世の中のニーズに合わせて増えてきたという印象です。

2009年 かなしろにゃんこ。さんの漫画が刊行

ADHD(注意欠陥多動性障害)を抱える息子・リュウ太くん。
上述しましたが、この作品が初の発達障害児童を描いた実録系漫画(単行本)となります。

2012年 moroさんがすくパラブログ総選挙で大賞受賞

竹書房「2012年すくパラブログ総選挙秋冬」で大賞に。
その後同サイトで連載開始。ブログも連載も書籍化されます。

2015年 モンズースーさんの漫画がコミックエッセイプチ大賞に

KADOKAWA「第29回コミックエッセイプチ大賞」の【B賞】に選ばれました。

余談ですが受賞作は現在と雰囲気違っています。短くまとめられていて絵もうまい。これはこれで胸に迫るものがあります。
【B賞】生きづらいと思ってたら親子で発達障害でした/モンズースー

2016年 十子さんの漫画がネクスト大賞・期待賞受賞

宙出版「ネクスト大賞」で期待賞となり、2017年に単行本が発売されました。

他の育児漫画と比べると、賞をとったのをきっかけに単行本化する方が多いという印象です。
まだまだ作品数は少ないのですが、検査や療育までしっかり描くタイプと、普通の育児漫画とそう変わらないものとがあります。

まとめ

発達障害を持つ子どもを描いた育児漫画も、世の流れに合わせて2013年頃から増え始めたようです。
また、人気のブログや単行本が現れたことで発表する方が増えた側面もあるでしょう。

障害を持つ子どもを描いた育児漫画が少ないのは、

1)そもそも漫画を描ける人が少ない
2)描く暇がない
3)特徴がはっきり出るので身バレの危険が高い

…といった事情があるとも思います。

表現のスタンスは人それぞれですが、、ブログだと「育児あるある漫画」「子どもの様子を描いた漫画」が多く、メッセージ性はない漫画も多い気がします。
これからも増えるとは思っていまして、特に女の子を描いた作品がないので、出るのではないかと思っています。

個人のブログや「リタリコ」のような専門サイトだけでなく、一般のWebサイトでも連載が増えるのではないかと。
現在でもすくパラ、コミックエッセイ劇場、Webastaで連載してますが、ニュース系サイトでの連載が増えていくと予想しています。

ちょっとまとまりが悪いですが、結構変わってきたなあ、とは思いますし、漫画をキッカケに空気感が変わると良いなあ、と思っています。

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