【発達障害】に関する育児漫画情報

『うちの子は字が書けない』(千葉リョウコ)感想~ディスレクシアと合理的配慮について学ぶきっかけとなる漫画

投稿日:2017年7月14日 更新日:

WEB連載していた漫画が描き下ろしを加えて単行本になりました。

発達性読み書き障害(ディスレクシア)の息子・フユくんが未就学児の頃から高校2年生までが描かれます。
私はこの作品と出会うまで、ディスレクシアという障害を知りませんでした。

たくさんの人に読んで欲しいと思える1冊です。

175ページ、1296円(税込)です。
Cakesでリバイバル連載中です(1~6話を公開中)

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【内容紹介】

小学2年生になってもなかなか字が書けるようにならなかった息子・フユ。
ノート1ページの漢字練習に1時間かかる、板書が追いつかない、テストの点がとれない。
まわりからはただ“勉強ができない子”と見えてしまっていた。
たまたま参加した講演会をきっかけに知った「発達性読み書き障害」。
専門機関に相談し、フユの苦手の正体がやっとわかった。
母子二人三脚で、また賑やかな家族のサポートを受け、フユはトレーニングに励む。
学校での“特別扱い”、受験・進級、職業選択…さまざまな難局に、フユと家族は―?

30P以上の描きおろし漫画、監修の宇野彰先生(筑波大教授、LD・Dyslexiaセンター理事長)との対談を加え書籍化。

amazonの内容紹介に一部手を加えて引用

【解説と感想】

作者のプロフィール

千葉リョウコさん。普段はBL系作品を手掛ける漫画家。千葉県在住(…だからPNが千葉らしい)。
家族は夫と高校生の長男・フユくん(今作の主人公)、中学生の長女・ナツちゃん、小学生の次男・アキくんとトイプードルの5人+1匹。

余談ですが『つっこみが止まらない育児日記』を描いた御手洗直子さんが連載開始当初「作中の保活の場面に登場したのは千葉リョウコさんです」(意訳)とツイートしていましたので、↓この人は千葉リョウコさんです。

漫画の構成

目次はこんな感じ。
WEB連載で公開されていた12話に、描き下ろしの2話が加えられ、全14話です。1話は10P~16Pで構成されています。

構成

6章に分けられています。

1)発達性読み書き障害と診断されるまで(幼稚園~小6)
2)発達性読み書き障害と診断されてから(小6~中1)
3)フユの中学生活
4)フユ、高校受験
5)フユの高校生活
6)フユの今までとこれから(描き下ろし)

単行本独自の部分

読みごたえがあったのは監修の宇野彰先生との対談(23ページ)。
千葉リョウコさんが質問し、宇野先生が答えるような形式です。ディスレクシアについての知識が深まりますし、現状の課題も語られます。

このほかに、

・フユくんが書いた文字(写真/1ページ)
・トレーニングカード(写真/2ページ)
・9話でフユくんが書いた作文(2ページ)
・発達性ディスレクシアの特徴(1ページ)

…が収録されています。
単行本独自の収録物が多いと感じましたし、単行本だと作品の印象が変わります。
漫画だけではイマイチ実感が湧かなかったのですが、実物を見せられると現実が見えてくるといいますか。

Web astaの作品紹介ページのイラスト、背景にあるのはフユくんが書いた文字だろうとは思っていました。

しかしこの文字は私にも読めるので「字が汚いとの違いが分からないなあ…」みたいな気持ちがありました。

フユくんが書いた文字(写真)は小1、小3、小5、中3の4枚ありましたが、「いやこれ…字が汚いとは別物や…」と気付かされました。「字が書けないって、本当だ…!本当に書けてない…!」と腑に落ちました。

一方でディスレクシアが「字が汚い」「漢字が書けない(学習・練習が足りない)」で終わる人が多いことにも納得でした。
障害の存在を知らないと気付けないと思う。

イラスト・漫画の描き下ろし

絵の部分の描き下ろしは30ページ以上あります。

・上述した描き下ろし漫画2話分(27ページ)。
・フユくんについての描き下ろし漫画(カラーで1ページ)
・登場人物(主に家族)に関する1コマ?漫画(6ページ)
・章ごとの扉(6ページ)
・インタビューに挿入されるカット

絵の描き下ろしはかなり多いと思います。
自分が好きなのは章ごとの扉で、中学・高校のタイミングは入学式を思わせる絵なのですが、作者の衣装を見るのが楽しかったです。
また(描き下ろしではありませんが)内表紙の絵は漫画でも良い場面ですが、このように配置することに意味を感じられて好きです。

この漫画の特徴

発達障害児を描いた漫画としても、育児漫画としても、珍しいタイプだと思います。

・ディスレクシアの息子について描いていること
・就学前~就職あたりまで長いスパンで描かれている

ディスレクシアの息子について描いていること

発達障害児を描いた育児漫画は増えていますが、ディスレクシア(学習障害)を描いているのは現時点で今作だけです。
漢字にはふりがながフラれているので、小学校中学年くらいからなら読めるのではないかしら。

就学前~就職あたりまで長いスパンで描かれている

これも珍しいです。

小学校時点で親や教師が陥りがちな勘違い。

「書けないこと」の具体例。「6年生になっても住所と名前が書けない」はなかなか起こらないと思います。

中学では定期テストでつまずく。

高校受験、学校選び、高校生活(定期テストや単位取得)。
成長の段階に合わせた誤解やつまづき、学校の対応、感じたことや交渉した内容、フユくん自身の反応や意見について、丁寧に描かれています。

「ディスレクシアという障害の存在を知ってもらう」ことは今作のメインテーマだと思いますが、関連して2016年4月に施行された「障害者差別解消法」の存在、「合理的配慮」という言葉についても知って欲しいのかな、と思いました。
ちなみに私も今作を読んで知りました。

合理的配慮については「リタリコ」の記事がわかりやすいです。
合理的配慮とは?考え方と具体例、障害者・事業者の権利・義務関係、合意形成プロセスについて
まだ知らない人も多い「合理的配慮」を社会の当たり前にするには

WEB連載を読んだときは「合理的配慮」=障害を持つ人に必要なもの、という考えでした。

単行本でフユくんの文字を見て「これは採点する先生の負担も大きいのではなかろうか…」と思いました。1人ではなく30-40人をみるのですから。
「合理的配慮」は学校・教師側の負担も減らす配慮なのではないかと。

手で書くことにこだわらず、パソコンやタブレットで入力された文字を読む方が楽だと思うんですよね…。誤字脱字があったとしても。
お互いの負担が少ない形で導入できれば、Win-Winではないのだろうか。

一方で、フユくんが強く「合理的配慮」を拒否していた気持ちもわかります。

私は約30年前、小学校2年生で眼鏡をかけ始めたのですが、かけた当初はからかわれました。同級生たちは珍しい、見慣れないからそこを指摘しているだけで、いじめているつもりはなかったとも思いますが、傷つきました。
当時、小学校で眼鏡をかけてたのは私だけでしたし、大人でも眼鏡をかけている人は少なかったと記憶しています。

しかしこの問題、難しいなあ…。
「合理的配慮」を受ける人数(例)を増やして当たり前のものにしていく必要を感じる反面、求める個人が注目を集める(いじめやからかいを受けるかも知れない)。
そもそも教員が「合理的配慮」の知識があるのか?知らないこと前提で相談に行く必要を感じる。
教育現場はいっぱいいっぱいな感じもあり、配慮に対してリソース(人)や予算が配分されるのかも気になる…。

ちなみに発達障害児を描いた育児漫画で就学前から高校生あたりまで描いているのは『はざまのコドモ』(知的障害ボーダー・発達障害)と『自閉症って知ってる?』(自閉症)の2冊がありますが、中学・高校での経験を中心に描いているのは今作だけです。

参考:なないおさんのブログ

『うちの子は字が書けない』と合わせて読むと理解が深まると感じたので、参考になりそうな記事を個別に紹介させて頂きます。
なないおさんのブログは、WEBにある発達障害の情報の中でも、群を抜いてわかりやすいと思います。

なないおさんは「うちの子流~発達障害と生きる」というブログを運営している、発達障害の2人の子を持つお母さんです。赤すぐNetでも連載を持っています。

ディスレクシアについて

ディスレクシア・学習障害支援 勉強嫌いは見え方の違いかも?実践的なサポート例をご紹介します!

ディスレクシアの人が文字がどう見えるか?の例と、宿題などのサポート例について。
「字の見え方」については人によって様々なので鏡文字に見える・動いて見える等は知っていましたが、「田」の字の例はびっくりしました。
サポート例も具体的でわかりやすいです。

ディスレクシア・学習障害支援 学びの楽しさを伝えるために

単純に読めない以外に、ノートの白が眩しいとか、縦書きと横書きで読みやすさが違うとかももあるのか…。
こちらでは学習に役立つアプリも紹介されています。

「合理的配慮」について

単行本を読んだときは悶々としたのですが、なないおさんのブログに実体験が書かれていました。
学校側に「合理的配慮」を求めたい方は参考にするとよいかも知れません。

合理的配慮が学校を変える!
合理的配慮を具体的にお願いするためのステップ

なないおさんはこれ以外にも「合理的配慮」に関連していくつも記事を書いているので、読むと参考になります。

まとめ

WEB連載を追っていた時は「そういう障害があるのかあ」「大変そうだなあ」といった、ある意味で他人事な感想しか出なかったのですが、単行本でまとめて読むと「大変さ」「難しさ」が重みを帯びるというか現実とぐっと近づいてきました。WEB連載で読んだときとは印象が違います。

私は何も知らなかったので、描いて発表して頂けたことに感謝しています。子どもが就学前に知れて良かったです。

出来れば書店でも、普通の育児漫画の棚(育児書コーナーです)にも置いて欲しいし、定型発達の子を持つ方にも読んで欲しいと思いました。

Cakesでリバイバル連載中です(1~6話を公開中)

関連サイト

WEB asta

試読にはCakesがお勧めですが、元々はWEB astaで連載されていました。
現在は7-12話を掲載。Cakesの話が進むと消えます。
●WEB asta「うちの子は字が書けない

はるな檸檬×千葉リョウコ『うちの子は字が書けない』出版記念対談

Cakesでは『れもん、うむもん!』のはるな檸檬さんと千葉リョウコさんとの対談が連載されています。
全4回で、今は1回のみ掲載。毎週火曜日に更新するようです。

はるな檸檬×千葉リョウコ『うちの子は字が書けない』出版記念対談

感想まとめ

Twitterで拾った感想をTogetterでまとめました。
直筆色紙を置いたせいか書店のツイートが多かったです(他の育児漫画ではほぼ見ないのです。ユータヌキさんの時ヴィレヴァンが応援してたくらいで。)

『うちの子は字が書けない』(千葉リョウコ)感想まとめ

この中で読みごたえがあるのは、自身も書字障害を持っている梨屋アリエさんの感想。
『ぼくの素晴らしい人生』は私も読んでいるので別に感想を書く予定です。

個人的にはヤマモト喜怒さんが感想をツイートしていたのが嬉しかったですね。
この件に限らず、ヤマモトさんは育児漫画のカバー範囲が広いです。

長くなりましたがそれでは~。

この感想は「発達障害特集」の一環です。
今まで書いた「発達障害特集」の記事はこちら。
発達障害に関する育児漫画

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