清水悦子さん・著の安眠ガイドのムック本。
「2013年・ブログ経由で売れた本ベスト5」を調べたらこのムック本が2位だったので、手に入れて書評を書くことにしました。
赤ちゃんは個人差も大きい為絶対に効果があるとは思いませんが、知っておくと便利な赤ちゃんの眠りに関する情報がまとめてあると思います。
妊娠中~産後間もない時期に予習として読んでおくといいんじゃないかな、と思う本。
amazon ★★★(3.3)
楽天 ★★★★(4.5) ※レビュー2件
注意点として。
安眠ガイドとありますが、著者・清水悦子さんの「赤ちゃん寝かしつけ」方法論は、この2点を押さえることだと思います。
1)光のリズムをコントロールし、体内時計を整える
2)赤ちゃんの生活スケジュールを整える
前作同様、赤ちゃんの寝かしつけがうまくいかず、悩んでいる方にはお勧めしません。
※前作のamazonレビュー参照。
本には「寝かしつけ方法」についても書かれています。
しかし、他の本でも読んだことのあるような当たり前の方法に感じ、今まさに寝つきが悪くて悩んでいる方のヒントにはならない気がしました。
とはいえ、水野さんが推奨する方法に従い赤ちゃんの生活スケジュールを整えることで寝つきがよくなる可能性もあると思います。
「寝つきが悪いのは生活リズムが狂っているのが原因かも…?」と感じるなら試す価値はあると思います。
本誌監修の神山潤先生がコメントしていますが、赤ちゃん(乳幼児)の睡眠については、まだわかっていないことが多いようです。
赤ちゃんは個人差も大きいので、自分の子を観察しながらこの本をヒントにしてベターな方法を探るのが良いかと思います。
【内容紹介】
ありがとう! の声続々
たった3ステップで改善!
すでに12万人以上のママが実践ずみ!
ベストセラー『赤ママ』待望のムック版登場!
前作『赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド』へのさまざまな反響、 ご質問にお応えするかたちで、第2弾がついに完成です。
【感想】
章立てを書き起こしますと、以下の5章にまとめられています。
流れは前作とほぼ同じです。
1)赤ちゃんはなぜ夜泣きするの?
2)安眠スケジュールを組み立てよう
3)寝かしつけについて
4)おっぱいと眠りの関係
5)ママ悩まないで!
間にコラムや対談記事が挟まれます。
目次はamazonの「なか見!検索」でも参照できます。
ムック本の方がイラストや写真が多く、カラーページも多いので読みやすく感じます。
しかし、追加された内容があるものの、要点はほぼ同じなので前作を持っている人は前作で十分かと思います。
これから買うのであれば見やすいし安いのでムック本の方がいいと思いますが、全体的な印象は変わりませんでした。
追加された情報も「これは!」…と思うものは特になく、蛇足気味。
(前作と内容に変わりないことは著者自身も言っていることです。)
前作の感想はこちらを参照ください。
●「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」(清水悦子)~1日のスケジュールを見直す~
この本の良いところ
前作とほとんど変わらない内容だったので不満が目立つ感想になっていますが、清水悦子さんが推奨する安眠方法は一定の効果があると思っています。
この本の良いところは3点。前作と同じです。
(前作の感想に細かく書いていますのでご参照ください。)
1)赤ちゃんの眠りの特性がわかる
2)体内時計の整え方がわかる
3)月齢ごとに1日の平均スケジュールが書かれている
赤ちゃんの眠りについて、睡眠のリズムや夜起きる原因が複数書かれているのは便利だと思います。
自分の子供の様子を見ながら「夜起きる原因」を1つ1つ潰していけますし、知ることで「赤ちゃんはこういうものなのか」と安心することも出来ます。
月齢ごとに平均的なスケジュールが書かれているのも便利。
前作と同じく、0~1カ月・2~4か月・5~6か月・7~8か月・9~11か月・1歳~1歳半・1歳7ヶ月~3歳・4~5歳の、8種類がついています。
月齢が小さい時期は朝寝も昼寝もして夜も寝るので、どの程度眠るのが平均的かを知ることで自分の子のスケジュールを組み立てることもできます。
個人差があるとは思いますが、目安としては十分だと思います。
ちょっとしたことだけど、知っていると悩まなくて済むことが読みやすく書かれていると思います。
ムック本と前作の違い
前作と比較して変わったと思うのは1点。
・版が大きくなりイラストが増え、読みやすくなった
本をあまり読まない人ならムック本の方がとっつきやすい気がします。
一方で新しく追加された情報は蛇足気味で、全体に間延びしたとも感じます(後で詳しく述べます)。
比較すると
【ムック本(この本)】
・価格が安い
・カラーが多くイラストや写真豊富で読みやすい
・サイズが大きい(見やすいが、邪魔でもある)
・追加された記事が微妙…。蛇足気味。
【前作】
・ムック本より値段が高い
・要点がコンパクトにまとまっている
・サイズが小さい(読みやすい、携帯しやすい)
寝かしつけについて
前作よりわかりやすくなった気もしますが、方法論はごくごく一般的に感じました。
4つのタイプに分け、それぞれに合った寝かしつけ方法を提案。
従来の寝かしつけから変更するためのタイミングや伝え方、寝かしつけに関するQ&Aなどもあります。
寝かしつけについての内容は薄いと思いますし、この部分だけ実践的な気がしません。
上にも書きましたが、「赤ちゃんを寝かしつける」ことができなくて悩んでいる方にはお勧めできません。
神山潤医師のコラム
3ページほどのコラムなのですが、色々な情報が詰まっていて面白かったです。
乳幼児の眠りにまつわる症状として、これだけの症例(名称)が出てました。
・睡眠時遊行症(夢遊病)
・睡眠時驚愕症(夜驚症)
・コリック(夕暮れ泣き/生後2週間~3か月)
・夜泣き(生後7か月~10か月がピーク)
・レストレスレッグズ症候群(むずむず脚症候群)
・睡眠呼吸障害
・睡眠関連律動性運動異常症(通称ヘッドバンギング)
色々あるものですね…。
Yahoo!知恵袋などを読んでいると、子供が夜中に起きる原因は色々あるように思います。
例えば風邪をひいて鼻水や痰が気持ち悪いとか、実は中耳炎にかかっていて痛がっているとか。
赤ちゃんが眠らない原因を特定するのは簡単ではないのだなあ…。
世界の夜泣き事情
アメリカ、フランス、ポーランドやインドネシアでの「赤ちゃんの寝かしつけ」について。
夜泣きは普通のことだから気にしない、日本と逆で添い寝は悪いと言われている…といった文化の違いが語られています。
私は異国の子育てに興味があるので、面白い記事だと思いました。
子育てに対する情熱、心配や不安は異国であっても変わらないのですね。
人によっては「ちょっと考え過ぎだったな~」と肩の力が抜けるかも知れません。
世界各国で「赤ちゃんは夜泣きするもの」と泣きっぱなしにさせていると書かれていても、首都圏でアパートやマンションを借りて暮らしている家庭では泣かせっぱなしには出来ないので、その辺は考えようですね。
気になった部分
全体には良い本だと思いますが、追加された記事が蛇足に感じ不満も増えた気がします。
持ち上げ過ぎ・褒め称え過ぎ
amazonのレビューに「健康食品の宣伝みたい」と書いた方がいましたが、私も同じ意見です。
良い本であるとは思いますが、作り手が過剰に良いことを煽る雰囲気は苦手です。
おぐらなおみさんの漫画
この漫画に限りませんが、ムック本で新たに追加された記事は本文(赤ちゃんの安眠マニュアル部分)と一体感がなく、ちぐはぐな感じがします。
おぐらなおみさんの子供はもう大きいから清水さんの方法を試すことは出来ないと思います。それは仕方ありません。
しかし、清水さんの本を読んでから描いた方がよかったような…(漫画の内容から察するに読んでないと思う…)。
第1章を読んだ後、唐突に「とりあえず漫画いれとけ!」…て感じで収録されていて微妙。
おぐらなおみさんの育児漫画はおもしろいのに、このムック本では浮いている感じがします。
坂下千里子さんと著者の対談記事
私は坂下千里子さんが「王様のブランチ」に出ている頃から好きなので「千里ちゃんはおおらかな子育てでいいね~!」…と楽しく読みました。
引っかかったのは、千里ちゃんは夜泣きに悩んだ経験はないそうで。
内容的にはベビー系雑誌のインタビュー記事と変わりませんでした。
何故、安眠ガイドの対談相手に千里ちゃんを選んだのだろう…?
夜泣きに悩んでいた人の経験談や苦労話を聞きながら方法論を絡めていく方が本に沿った内容になったと思います。
自分が前作を読んだ時期(疲れがとれずちゃんと寝たくて、娘の夜間授乳を止めるかどうか、もんもんと悩んでいました)にこの対談を読んだらイラッとしたように思います。
悩んでいない時期に読めばそれなりに楽しめる内容とも思うのですが、この本は「安眠ガイド」です。
普通の記事はベビー雑誌を買えば読めます。そうでない記事を収録しないと意味がないような…。
参考文献が挙げられていない、働くお母さんの役に立つのか疑問なスケジュールである、といった不満点も前回と変わりません。
読者からの感謝の言葉を並べるのであれば、その読者に協力してもらって取材したりアンケートを実施すればよかったのに。
赤ちゃんの月齢や性別と共に、悩みが解消したお母さんたちが実践したの安眠スケジュールや工夫したポイントを掲載してあれば参考にできたでしょうし。
スケジュールには「遅くとも21時までに寝かしつけましょう」と書いてあります。
例えば19時に保育園から帰ってきたら、2時間で食事と風呂と着替えと寝かしつけ。寝る前のいちゃいちゃタイムは30分…。
書いてある内容を実現するのが難しくて悩んでいる人もいるんじゃないかなあ。
せっかくムック本にするのであればもう少し手を加えて、より実践的な内容にしても良かったような気がします。
読むなら早い時期がいい
上にも書いたことですし前作もそうでしたが、現在、本気で赤ちゃんが眠らないことに悩んでいる人が読むとイラッとしそうな雰囲気がある本です。
この本は「夜泣き」の対策書ではあるけれど、「寝かしつけ」の対策は弱い。
夜泣きは生後7か月~10か月がピークと言われるようです。
1歳を過ぎたら「夜泣き」ではないようなので、この本以外を試した方がいいような気がします。
個人的に、妊娠中や産後6か月以内で読んで実践した方が効果を発揮しやすい気がします。
落ち着いて読めるときに目を通しておくと良いかと思いました。