さてさて。先日発売されたカラスヤサトシさんの『エレガンスパパ』。
大変おもしろかったのですが、中でも「ダミーチチー」のエピソードが最高にクールでした(褒めてます)。
今回は、『エレガンスパパ』だけでなく、育児漫画に描かれる「父親が赤ちゃんにおっぱいを与える」エピソードをまとめてみました。
…はい。父親が赤ちゃんにおっぱいを与える漫画、カラスヤさんの作品だけではなかったんですよ…。
しかも何故か、私がそれらの作品を読んだのは全て2014年10月なのです。
こういうのを「引き寄せの法則」とかいうのでしょうか?できればそういう運は他のことで使いたい…。
それではどうぞー!
育児漫画に描かれる「父親のおっぱい」
くう・ねる・そだつ(>村上 たかし,村上 佳代)
一番最初はこれかな?村上たかしさんと妻・佳代さんによる妊娠・出産漫画です。2003年発売。
裏表紙でおっぱいを拒否される?村上さんが描かれています。
この漫画、絶版していますがとても良い作品。村上たかしさんが結婚して妊活を始め、妊娠した妻・佳代さんを見守り、立ち会い出産に立ち会い、産後の家事育児を切り盛りする…。
娘・いゆちゃんが1歳になるくらいまでの父としての成長が描かれます。…この15年後が『ムスメが悪くて困ってます』なのか…笑。
パパは鈍感様(関根尚)
2012年4月発売ですが、連載している時期を考えると2番目に古いです。
父が抱っこしていたら、娘・なのはちゃんが母親のおっぱいと勘違いして父のおっぱい(の近く)に吸い付いた、というエピソード。
『パパは鈍感様』は、パパが本気で鈍感と言うか疲れているというか、ちょっと笑えないレベルで鈍感なのですが、隠れた名作だと思います。
たまご絵日記(ナナイロペリカン)
2012年3月発売。単行本は描き下ろしですが、ブログに似たようなネタがあったかは調べていません。
11月に2巻が発売されると知って、1巻を読み直したら父ちゃんがおっぱいについて語っていたことに気付きました。とーちゃんはどのくらい本気だったんだろう…?
エレガンスパパ(カラスヤサトシ)
2014年10月発売。雑誌掲載は2012年4月。
上の3つは母親視点で描かれた育児漫画で、父親目線で描かれているのはこの作品だけです。
妻が仕事でいない時、娘が泣いたので試しに自分のおっぱいを差し出してみたら吸いだした。おっぱいを与えることで感じる子どもとの一体感に驚いた、という話。
なんというか。純文学で描かれたなら、価値が上がるような気がする(我ながら変なフォローだ)。
この漫画は感想を書いているので、興味あれば読んでみてください。
●『エレガンスパパ』(カラスヤサトシ)感想
ハロー姉妹(南国ばなな)
2014年9月発売。雑誌掲載は2013年かな。
こちらも2巻が発売されたので1巻を読み直したら、とーちゃんが次女・おもちちゃんをあやす為におっぱいを出してました…。
父のおっぱいは長女・たんたんのもの。そういう使い方もあるのか!(いや、ない)
『子育てたんたん』ではまともそうに見えたお父さんが、『ハロー姉妹』で見せるネタキャラっぷりは素晴らしいですね…。いや、たんたんの頃も変わってたけど笑。
●『ハロー姉妹』1巻(南国ばなな)感想
【番外】男が育休を取ってわかったこと(池田大志)
皮膚科の医師が育休をとった体験談を書いた本。2014年5月発売。
この本では泣き叫ぶ娘に自分のおっぱいを差し出した、と書かれています。
池田医師が、娘におっぱいを差し出したのは、何をやっても娘が泣き止まない、切羽詰った状況だったから。
そんな状況に直面したのは、池田医師が育児休暇をとって、娘さんの面倒を1人でみているから。
育児漫画に「おっぱいを出す男性」が増えたことが不思議でしたが、この本を読んで「男性におっぱいが必要になるのは、子育てをしてるからでは?」ということに気付かされました。
※この本、見た目と題名で手にとりにくいですが、赤ちゃんのスキンケア解説が丁寧でおすすめ。
余談・男性と授乳の研究
男性の授乳描写について、誰か調べてないかな~…とか思ってGoogle先生に聞いてみたところ、ちょっとおもしろい話が見つかったのでついでにご紹介。
男性の乳首も“授乳”のために存在する?(なんでも評点)
どうも「男性が授乳するのは不自然」な気がするのですが、理由の一つとして文化的な背景もあるのかも知れません。
生物的な観点では「父親のおっぱい」が残った理由は別な気もしますが、ずーーーっと昔は使えるものを使って子育てをしてたのかも…?
The Times紙に掲載された記事によると、父親と赤ん坊の接触時間が最も長いのは、コンゴ北部で暮らしている狩猟採集部族アカ・ピグミーだという。(中略)
アカ・ピグミーの父親が育児に参加する比率は、おそらく世界一。特筆すべきは、赤ん坊のそばに母親がいないときに、父親が赤ん坊に自分の乳首を吸わせることである。
英国王立助産学校の前校長であるキャロライン・フリント女史によると、他人にあまり話したがらない傾向があるが、英国でも赤ん坊に自分の乳首を吸われた経験のある父親は多いという。(中略)
ロンドンのウィッティントン病院に勤務している児童精神科医のセバスチャン・クレーマー医師によると、有史以前には、父親が自分の乳首を赤ん坊に吸わせることが普通だったかもしれないという。
男性にも母性本能が!? イクメンほど母乳ホルモンが増えると判明(メンジョイ!)
これは授乳するからではありませんが、男性も育児していると母乳ホルモン(プロラクチン)が多く分泌されるそうです。
米ノートルダム大学のゲトラー博士が行った研究では、女性の出産後にパパの男性ホルモンが低下することで、セックスへの興味も落ちるというオドロキの調査結果が出ました。
とりわけ“子育て”に力を入れる男性ほど、男性ホルモンは低下し、さらに女性が母乳を出すときのホルモン=プロラクチンの増加が見られました。
これは子どもの要求に対して、ホルモンが応答している可能性があるとのことです。ゲトラー博士は調査報告で、「男性も子どもに“良いケア”をしようとする生理機能があると思う」としたうえで、「父親の性欲の低下は(子育てにとっては)自然なこと」と述べました。
ただしホルモンバランスは1~2年以内に戻るそうなので、二人目の子どもの子作りには影響しないと思われます。
マウスを使った実験で、妊娠しているメスと一緒に生活をしたオスは普通のオスの3倍以上のプロラクチンが分泌されたんだっけな…(すみません、これが書いてあった記事を探したけど見つからなかった)。
女性だけでなく男性も育児する世の中では、1-2年のセックスレスは自然なことと捉えた方が良いのかもしれません。
パパが授乳!? 世界に広がる"パパ達の子育て革命"の真相に迫る(うれぴあ)
(女性の)授乳に対する男性の偏見や苦手意識をなくそう!…ということで始められたキャンペーン。おもしろい。
●「Project Breast Feeding」HP
※PC用表示の為、スマホだと見づらいです。
まとめ
カラスヤさんの『エレガンスパパ』を読んだ時点では「すごい発想!でも旦那がやったら困る(笑)!」…と思ったのですが、男性が育児に参加するのが当たり前になってきたからこそ描かれるようになった姿かもしれません。
ちなみに、うちの旦那さんに『エレガンスパパ』を読んでもらった後、「娘ちゃんにおっぱいあげたいとか思ったことある?」と聞いたら「ない。」「おっぱい飲みたい娘の気持ちを考えた場合、代替品として吸わせるなら指でも同じだろ」とぶった切られました。
子育てする父親でも、みんながおっぱいを与えたくなるわけではないんですね。
そんなうちの旦那さんも、2人目を産む前の産後クライシス反省会のときに「おっぱいがないことに引け目を感じていた」と話していました。
「おっぱいを与えたい」とは思わないけれど、おっぱいを持っていない自分が赤ちゃんの面倒をみることに戸惑いを感じたようです。
(そして私は、その発言を聞いて「はあ?言い訳してんじゃね~(怒)」と思っていました…)
どうして「引け目を感じるのか?」というと、近くで子どもを見て、自分も子どもと関わって、母子の関わりを見ているから。
「父子」の関係を作ろうと思うからこそ、「母子」の関係と比較して、かなわないと落ち込んでしまう。
うーん。母親が他のお母さんと自分を比較して、ダメだと落ち込むのと近い構図かも知れません。
カラスヤさんはダミーチチーを楽しんでいるから良いのですが、池田医師のように深刻に捉える人もいる。
「育児=おっぱい」「おっぱい=育児」という思い込みというか、反射的に思ってしまう思考パターンがあるような…。
生物としては一理ある考え方ですが、本当に自然なのは男性が「おっぱいのある・なし」を気にせず、子どもを育てること。
おっぱいを持っている女性の方が子育てに有利とか、母乳じゃなきゃとかミルクはダメだとか帝王切開だと(以下略)。
そういう一切がっさいの誤解や差別意識がなくなって、夫婦でも、父親だけでも、母親だけでも、子育て出来るようになれば良いのですが。
そういう意味では過渡期なのかも知れませんね。
それでは!
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追記:こんなブログを発見。文章系です。
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父親がおっぱいに感じる気持ちを書いたブログ3つ
先週、本ブログ(育児漫画目録)の方にこんな記事を書きました。 <a href="https://manga-mokuroku.net/list/7721/" data-mce-href= ...
更に追記:第2弾まとめました。
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【目録】父親がおっぱいを与える姿を描いた育児漫画5作(まとめとしては第2弾)
今日は父親のおっぱいについて。 正直、このネタで2回めを書くとは思いませんでした…。