2013年に発売された妊娠・出産漫画の単行本と連載漫画についてのまとめ記事です。
2013年に発売された単行本
2013年に発売された妊娠・出産漫画は6作、「妊活」をテーマにした漫画が1作、計7冊でした。
自分が作った妊娠・出産漫画まとめを眺めると、2009年頃から平均して年に3~4冊が発売されているので、2013年は発売数が多かったようです。
育児漫画と近い流れがあって、2011年頃から名のある漫画家さんが描く機会が増える反面、ブログ発の作品が減っている印象です。
2013年に開始された連載
私が見つけたのは2作。
『妊娠17ヵ月!』坂井理恵(講談社BE LOVEサイトにてWEB連載)
『アラフォー漫画家・花津ハナヨのへたれニンプライフ』花津ハナヨ(ベネッセたまごクラブ)
坂井理恵さんは39歳、花津ハナヨさんは37歳で妊娠。
出産されたのも最近(2013年)だったと記憶しています。
花津さんは漫画の題名にも「アラフォー」とつけていますが、アラフォーな漫画家さんによる妊娠・出産漫画が「たまごクラブ」で連載開始したのには驚きました。
平均出産年齢も上がっているし花津さんは人工授精で妊娠された経験を持つので、読者のニーズを考えると自然な流れと思うのですが、それでも。
※たまごクラブで連載1回目を読んだら、婦人科でタイミング法をすっとばして先に進んだという話が書かれていた
坂井理恵さんの『妊娠17ヵ月!』。
現時点では4話まで公開されていますが、これも妊娠・出産漫画としては異色の雰囲気を醸しだしてます。
一般的な妊娠・出産漫画の流れだと、妊娠発覚したら産婦人科に通い始めます。
…で、産婦人科の診察内容で豆粒のような子どもと対面して喜んだり、初期のトラブルで焦ったり、親が暴走して困ったり…といったエピソードを、「嬉しい」「楽しみ」「不安」「心配」といった感情を添えつつ描かれることが多いように思います。
でも、坂井さんは診察室の外、妊娠した赤子ではなく自分の周囲のことや、自身の経験や考えを掘り下げるような話を描いています。
電車に乗った時の話(3話)とか、父親の話(4話)とか。
4話目の冒頭のモノローグは「子どもいらない」。
こういう始まり方自体、妊娠・出産漫画では珍しいと思います。
2話目を読んだ時点では、絵は綺麗だけどふつーだな、と思っていました。
3話目、4話目と読み進めてきて、何となく作者の個性が見えてきた感じ。
従来の「妊娠・出産漫画」に比べると、冷静で客観的。そして社会的。
「従来のような」「普通の」妊娠・出産漫画を求めて読んだら社会への不満が描かれていて鼻につく人もいると思いますが、従来作品と違う部分がいいと思います。
私も作者の気持ちに共感しつつ読んでいますが(3-4話のように)怒りや苛立ちが絡む話が続くと読んでて暗くなりますね…。
多分、WEB連載でこれ1本しか読んでないから、ある一方に気持ちが流れやすいのだと思います。
雑誌で他の連載作品と一緒に読んだり、単行本でまとめて読んだら気にならないのかも。さじ加減が難しいですね。
妊娠してシアワセ~!!…という感情が描かれた漫画は他に沢山あるから、このくらい雰囲気が違うと「これから」をどう描いていくのか、先が気になりますね。
2014年には出産に向けて物語が動き出すと思うので、期待して読もうと思います。
読んだ後で「作者が年齢を重ねたからこそ描けた作品だったなあ」と思えるような妊娠・出産漫画になるといいな。
matsubi的2013年の妊娠・出産漫画ベスト2!
全部で4冊しか購入していないので、特におすすめのものを2作選びました。
1位 おかあさんまであとすこし!(和田フミ江)
妊娠・出産に関する情報の掲載量がとても多いのに読みやすい。1人目だけでなく2人目の妊娠・出産の経験も描かれています。
本屋で手にした時には薄いので買うのを躊躇しましたが、読んでみたら中身が詰まった良書でした。
2位 妊婦な日々。(梅川和実)
妊娠中の身体に起きるトラブルについての解説が分かりやすいと思います。
作者が妊娠したことに喜びながらも仕事を失う恐怖に悩む姿が描かれており、35歳以上で妊娠して「仕事をする自分」が好きな人にはお勧めしたい一冊。
全体を振り返っての印象
「妊活」漫画の誕生
2013年11月にあらいきよこさんの『妊カツ!』が発売されました。
2014年1月には花津ハナヨさんの「妊活・出産漫画(題名未定)」が発売されます。
今までは「不妊治療漫画」と「妊娠・出産漫画」は別ジャンルとして扱われていた印象ですが、2013年後半を契機に変わってきそう。
「妊活」という新語が生まれた影響もあるのでしょうが、今後は「妊娠するまでの挑戦」を描いた「妊活漫画」が新たに増えるように思います。
また、先に紹介した『妊娠17ヵ月!』のような、単純に「妊娠・出産のシアワセ」だけを描いたのではない、個性的な作品も増えてくる気がします。
無名の新人が妊娠・出産漫画を描くのではなく、フィクション漫画を描いた経験がある漫画家が描く機会が増えたことで、新しい風が吹くとよいなあ、と期待しています。
悩みどころは、個性が強いものが増える(ジャンルが細分化される)と大ヒットが生まれにくいってところでしょうか。
読み手としては楽しいんだけど、知っている人が少なくて共通の話題になりにくいのも寂しい。
購入した妊娠・出産漫画は4冊でした
2014年は何冊買うのだろう…。
節約一家 森川さんちのくすくす子育て(森川弘子)竹書房
●すくパラぷらすで試読できます ※単行本は全文カラーです
●matsubiの感想文
妊娠と産後がラクになる 5タイプ別 ハッピーママ道(うだひろえ)東京書籍
※amazonで試読できます
※作者の経験に基づいていますが、エッセイというより参考書かな…
9人産んじゃいました!(こばやしひさこ・著, すぎやまえみこ・漫画) 幻冬舎
おかあさんまであとすこし!(和田フミ江)ベネッセコーポレーション
双子の親になりました(三豊ちぇり)実業之日本社
※amazonで試読できます
妊婦な日々。(梅川和実)一迅社
妊カツ!(あらいきよこ)小学館
※不妊治療漫画です。妊娠~出産までの描写はありません。
●matsubiの感想文