※公開終了しました。
中村珍さんによる『いくもん!』問33-34で描かれた「同性愛者の育児」2話が無料公開されています。
『いくもん!』は週刊SPA!で連載していた、独身の中村珍さんが育児に対する疑問をぶつけるコミックエッセイ。
●こちらで 1話 ・2話 が試読できます。
『いくもん!』問答33-34「同性愛者の育児」
テーマは「同性愛者の育児」なのですが、育児の話半分、カップルとしての話半分、といった感じです。
作者のプロフィール
作者の中村珍さんは1985年生まれの漫画家。代表作は『羣青』『アヴァール戦記』など。
女性で、同性愛者(レズビアン)です。
問答33「同性愛者の育児」
レズビアンのシングルマザーである戸堂さんへのインタビューを掲載した33話。
テーマは「同性愛者の育児」なのですが、家族って何なのか?血縁って何なのか?…ということを深く考えさせる話です。
後半にある、お父さん100人に実施した"もしも子供が自分の子じゃなかったら!?"というアンケートの結果も興味深いです。
問答34「同性愛者の育児2」
こちらは「パートナーである中村珍さんが育児できているか?」…といった内容のインタビューです。
今回読み直して、「産後うつになりやすい戸堂さん」の行動や発言と、パートナーである中村珍さんの対応が素敵だと思いました。
(続編にあたる『お母さん二人いてもいいかな!?』を読んでいると「素敵」の一言では軽い気もするのですけど…)
私も「子どもがいない頃に帰りたい」と、思うことがあります。
子どもの存在って素敵だし可愛いし、出会えてよかったと思う。いて欲しい。いなくなることは考えられない。
けれど、「子どもがいなかった時に戻りたい」「親でない自分に戻りたい」と思います。
自分も親になってまだ3年で、自分の未熟さや弱さがほとほと嫌になって、ウワーン!となることはあります。
そんな時私は、夫にそのことを話します。夫に「俺も思う時あるよ。そう思うのは普通のことだと思う」などと気持ちを受け止めてもらうことで一息ついたりします。
子どもに限らず、家族や親族との付き合いが難しいと感じる時、その人がいない世界に行きたくなるのですが(一種の現実逃避)、子どもについては授かりものでありつつ、自分が望んで産み育てている存在なので、「子どもがいなかった頃に戻りたい」と思う自分に罪悪感のようなものも感じます。
でも無理な時は無理だし、親である自分は、聖人でも仙人でも超人でもなく(独身だった頃と変わらず)ただの人間なので、無理するのではなく弱音を吐きつつ頑張り過ぎないようにしたい。
パートナーである夫にも「超人然とした父親像」を求めないようにしたいなあ…。
続編的漫画『お母さん二人いてもいいかな!?』
現在、noteにて「お母さん二人いてもいいかな!? ~レズビアンのママ生活~」を連載中。
こちらは有料で、5話で800円(予約購入だと500円)です。5/12に5話が公開され、6話以降の予約も始まりました。
1人目出産後の産後うつバリバリの戸堂さんと、独身で家族と言う物にある種の期待感?夢?希望?常識?を抱いている中村珍さんのやりとりが、なんというかもうね。
「正しいことに疲れた」とか、「分かることと出来ることは違う」っていう、母・戸堂さんのコトバには共感できる。
一方で、子どもを産んで育てる前の自分だったら、中村珍さんに共感するだけだとも思う。戸堂さんの行動を「奇行」としてダメ親のレッテルを貼って、叱咤して終わっていそう。
育児中の現在はどちらの気持ちもわかるので、読んでいると胸にグサグサ来てツラい。
読んでいてツラいけど良い作品だなあ、と思いながら毎月の更新を楽しみにしています。
まとめ
男性が家事育児を主体とする「主夫」家庭を描いた育児漫画や、こういった同性愛者の育児についての話を読むと、どの家庭も似ているところ、違うところ、様々だなあと思います。
余談ですが「同性愛者の育児」と聞いてパッと思い浮かぶのは羅川真理茂さんの『ニューヨーク・ニューヨーク』の4巻と、秋里和国さんが描いた『B.B.B』のラストです。
他の話も読みたいので『いくもん!』の2巻が発売すると良いのですが。
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2018/11/19追記:
『お母さん二人いてもいいかな! ?』は単行本が出ています。note連載がきっかけですが、単行本用にすべて描き下ろしています。
note連載版の『お母さん二人いてもいいかな! ?』は、『ママ母手帳』と改題し、Kindleでセルフパブリッシングしています。上巻、中巻が発売中。