連載中に読んで興味深かったので単行本も購入しました。
表紙デザインがブルーナ調でかわいらしいです。
マタニティブルーというか、妊娠・出産・新生児育児中に作者が感じた戸惑いや苦痛を描いている作品なので、まとめて読むとちょっと重いというか、読みながら一人目を生んだ時の大変さが思い出されてぐっときました。
全124ページ、864円です。紙の単行本のみで電子書籍はまだ発売されていません。
れもん、うむもん! ――そして、ママになる――
はるな檸檬 新潮社 2016-03-28
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【内容紹介】
幸せブルーな新米ママを描くエッセイ漫画
つわり、胎動、分娩、母乳……
思うようにならない自分の体と、命を預かることへの緊張。
ママとして最善のことをしたいのに、できない。
贅沢な悩みだと分かっていても、のみこめない気持ちを抱えて
身も心もズタボロになった日々。
シアワセだけじゃ、産めません……。
「しんどい」気持ちにそっと寄り添う、ママたちの味方の一冊
【感想】
作者のプロフィール
作者のはるな檸檬さんは1983年生まれ。代表作は『ZUCCAXZUCCA』。
育児漫画『ママはテンパリスト』でお馴染みの東村アキコさんの元アシスタントでもあり、帯にコメントが寄せられています。
漫画の構成
妊娠編、出産編、育児編の3部構成で、それぞれ40ページ程度の漫画で構成されています。
描き下ろしは文章の前書き2ページと、あとがき漫画2ページ、漫画の間に描かれたカットが数点です。
この漫画の特徴
「まえがき」の一文目に「出産は、しんどかったです」と書かれています。
帯にも”育児漫画業界初のマタニティーブルー漫画”とありますが、妊娠から出産、その後の育児に関してネガティブな側面も描いている作品です。
経験者としては「そうそう、そうなのよね~」と思う反面、共感して当時を思い出し暗くなってしまいます。
漫画を読んで幸せな気分に浸りたい方にはお勧めしません。
つらいことだけを描いているのではなく、幸せに感じる部分についても詳細に描いてあるのですが、分量としてはつらいことの方が多いです。
「妊娠編」ではつわり、体型の変化、ホルモンバランスの変化、妊娠糖尿病などについて描かれます。
”「大丈夫」と「もう無理」の境界を判断するのが苦手”な作者だからなのか、つらさの描写が丁寧で共感しました。
出産は帝王切開だったのですが、帝王切開の手術の様子や手術後の痛みについて、今まで読んだ本の中で一番詳しかったように思います。
「育児編」はおっぱい拒否、胸の痛み、頭痛などの身体のトラブル、母親との喧嘩、眠る間もない育児の日々について描かれています。
好きなところ
出産直後、手伝いに来てくれたお母さんと大喧嘩をしてしまった、というエピソード。
私も産後、母と喧嘩したのを思い出しました。あれは何だろう。ホルモンバランスのせいだとも思いますが、慣れていない子育てにいっぱいいっぱいで、冗談もすべて本気で受け取ってしまうんですよね。
その後、夫と二人で子育てをするわけですが…。うん、ぐっすり寝たいと渇望しますよね…。
子どもが大きくなった今は朝までぐっすり眠っていますが、子どもが生まれて1年くらいはゆっくり眠れなかったな…。
ブルーな表現だけでなく、子どもがいることで幸せに感じる部分の描写が丁寧で。
”宇宙からやってきた未知の、でもものっそいかわいい生物が家にいる幸せ”というのは秀逸な例えだと思います。
自分の子どもだからかわいいというより、ちょっと前までいなかったのに今目の前にいて、笑ってくれたりすると本当にかわいい。
そして、そのかわいい人との毎日がふと、幸せだと感じる。
まとめ
現在妊娠中の方が読むと、逆に不安になってしまいそうなのでお勧めしにくいのですが、出産後、不安や孤独感を抱いている方には是非読んでほしい一冊です。
私にとってはもう4年近く前の出来事で、その辛さも孤独感もだいぶ忘れておりますが、読んで思い出し、あの頃の自分、よくがんばってたな~と褒めてやりたい気持ちになりました。
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2017/4/17追記:
WEBで息子さんとの日常を描いた育児漫画を連載しているようです。
●『はるな檸檬の「わたしの場合」』