【書評】おすすめの育児書

【書評】『「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」に悩んだら読む本』(若松亜紀、佐々木正美)感想~大事なのは正論より共感

投稿日:2013年6月27日 更新日:

まるまる漫画の本ではありませんが、読みやすく漫画部分もとても良かったのでご紹介。

本を読むことで目から鱗が落ちる…というより、自分の思い込みや勘違い・世間体や常識?などといった「子育てには必要ない垢」が、ボロボロとこそげ落とされるような気持ちになります。
さくさくっと読めるのに「人を育てる」場面で重要な要素が詰まっており、何度も何度も読み返したくなる良書です。

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【内容紹介】

小さな子どもを育てる親なら、誰もが悩むテーマである「ほめる」「叱る」「しつけ」。
雑誌や育児書に書いてあるとおりに試してみたけれどうまくいかない、頭ではわかっているけどその通りにするのはむずかしい……。
そんなふうに感じたことのある方に向けて、『こどもへのまなざし』の著者である児童精神科医の佐々木正美が、「子育てのおおもとの考え方」を踏まえた「ほめ方」「叱り方」「しつけ方」をやさしく紹介。さらに、「おおもとの考え方」とあわせて、毎日の育児ですぐに使える子育てのノウハウを、子育てサロン主宰の若松亜紀が具体的に紹介する。
子どもが言うことをきかなくてイライラするとき、子どもがちゃんと育っているのか不安に感じるとき、子育てに疲れてしまったときなど、育児に行き詰まるさまざまな場面で、お母さんの助けになるヒントが満載の一冊。子育て中の忙しい時期にもさっと読めて、ほっこり和める育児マンガ入り。

【感想】

全て読むのに1時間~1時間半くらい。
文字は大きく、文章も簡潔。
読みやすいけれど、読んでいると胸にグサグサっときて、自分(親)に問いかけるような文章が多いです。

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P32

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P32

象徴的なのが間にはさまれる今井久恵さんの漫画。
各章の内容が要約されており、2ページの漫画を読むだけで、色々考えさせられます。

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P4

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P4

漫画に描かれる子供の姿や反応がかわいく、上手いなあ、かわいいなあ、と目と心の保養をしつつ、

あー、たしかにこういうことやっちゃうなあ。
ついつい、良かれと思って子供に言っちゃうなあ…。

自分自身の行動を思い返して反省し、漫画の中のお母さんの行動を見て、

ああ、こういう対応でいいのか。
頑張りすぎなくても大丈夫なのか。

未来の自分の行動を想像し、安心することができる。

佐々木先生と若松さんのコラムも、家々のやり方の違いを感じられておもしろいです。1Pづつなのによくまとまっています。
「賞状をお風呂の火の焚き付けに使った」お母さんの話は、一瞬ぎょっとしたけれど、冷静に考えるとそうだなあ、と思えるものでした。

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P5

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P5

自分として一番心に残ったのは、77Pに描かれた「叱る」「起こる」から「伝える」への部分。

1)叱る前に「見る」
2)先にいいところを伝える
3)正論より共感
4)「あなたが悪い」ではなく「ここが悪い」
5)原因追及より次の行動

特に、「正論より共感」という言葉に触れることができてよかったです。

作中の例にありましたが、ビールを飲みたがる子供がいたときに「ダメ!20歳になってないでしょ!」と叱るのが正論。「お前も泡が好きか~」と答えるのが共感。
子供は「ビールを口に出来るかどうか」が問題なのではなくて、共感してもらいたいだけかもしれないし、そもそも、正論を振りかざして叱るような話ではないかもしれない。
うちの親はビールを口にさせて「苦いだろ~?」と笑っていましたが、そんな対応でも良いはずで。

私は、旦那さんとの話し合いでも正論を持ち出しやすいのですが、旦那さんから「貴方が正しいのはわかる。けれど、正しいことを突きつけられると苦しい」と言われます。
正論を口にするのは簡単。けれど相手を突き放した言い方になるので、距離がうまれます。

正論を持ち出すのはダメなのか?
じゃあどうすれば私の気持ちを伝えることができて、相手の気持ちを楽にすることができるのだろう?

ひとまず「正論を言うのを控える」ことを意識していました。
相手の言葉を聞くだけに集中し、自分の意見は言わない。もやっとするけど。

今回、この本を読んで、自分に足りなかったのは共感か!…と発見することができました。
相手に共感してから、正しいことも伝えられるように心がけようと思います。

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P138

「ほめ方」「しかり方」「しつけ方」に悩んだら読む本P138

他に、心に残った言葉として

「過剰にほめる」と「過剰に叱る」は同じこと(25P)
自分の望む方向にわが子を見ようとすると、「ほめる」か「叱る」かの基準は、自分が望むような子になっているか、なっていないかに置き換わります(29P)

1番怖かった部分。
「親が望む方向」に伸ばすためにほめる。「親の望まない方向」に進んだから叱る。
非常に危ない勘違い。

具体的な行動について書かれているので、過去の自分を振り返って反省するだけでなく、未来の自分をどうするか、子育てをどう変化させるか?ヒントやアドバイスがたくさん詰まっている良書です。

旦那さんにも読んでもらったところ、「部下育成にも使えそう」「色々反省しちゃうね」と話していました。
子育ての本としてだけでなく、部下とのコミュニケーションを考える本としてもおススメしたい一冊です。

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