『ままんちゅ!』は、『ARIA』や『あまんちゅ!』などの創作漫画で活躍中の天野こずえさんが描いた妊娠・出産・育児漫画です。
コマワリが独特で、台詞少なめで間を多くとり、自然の風景などを織り交ぜながら、バシッと心に響かせる…。
独特の空気感が持ち味の作家さん…なのですが。
結論から先に述べますと、読者の目的によって作品の評価が大きく変わる作品です。
<おススメしたい人>
・天野こずえが描いた4コマ漫画が読みたい
<買わない方がいい人>
・妊娠・出産・育児漫画が読みたい
・天野こずえが描いた妊娠・出産・育児漫画が読みたい
作家・天野こずえの大ファンで他の作品も読んでいる人が読んだら色々発見があるかもしれないけれど、妊娠・出産・育児マンガとしての評価しにくい作品でした。
【内容紹介】
はたして猫より愛せるのか…
「AIRA」「あまんちゅ!」の作者・天野こずえがほんわかまったりと贈る、初の妊娠・出産・子育てエッセイ本!
【感想】
表紙、題名は現在連載中の『あまんちゅ!』のパロディのようですね。
Wikipediaによると、天野さんは1974年生まれ。2011年頃に出産されたようなので、36~37歳?で女の子を出産されたようです。
娘さんの妊娠~出産~新生児~幼児(2歳くらいかな?)までを、4コマ漫画で描いています。
大田垣晴子さんが描いた『40歳!妊娠日記』と同じく、出版を意図しないで趣味で描きためていた漫画らしいです。
そのせいか、天野さん独特の節回しやテンポを強く感じて「4コマ漫画でも天野こずえらしいなんて…すごいな!」と思えます。
一方で
「表紙で買って後悔した人~!」
「………ハーイ…(。-_-。 )ノ」
…とも、思えてしまう作品です。
気になるのは、
・ネタ(笑いどころ)がわかりにくい
・(出版を意図してないせいで)絵が荒く感じる
何度か読み返すうちに、「あっ、これはこういうネタだったのか!」…と分かってきて評価が上がってきたのですが、初めて読んだときは「えっと…オチは…?」と思うこともしばしば。
初見で楽しめなかったこともあり、人には薦められない作品です。
「育児あるある」ネタは良いツボをついていると思うのです。でも、わかりにくくて。…いもいもいも…(※作中にでてくる擬音表現)。
作家を研究する上では、素晴らしい作品だと思うのです。
4コマ漫画という形式、妊娠・出産漫画というジャンル(ノンフィクション)にも関わらず、揺るぎない天野こずえの世界が表現されていて。
この点は本当にすごいと思いました。
4コマ漫画で、ほぼ同じコマを並べて、ちょっとした変化に気付かせて、笑わせたりといった技術的な部分も感心しました。
でも、「ほぼ同じコマを並べて」いることにより、その「ちょっとした差(オチ)」がわかりにくいのです。
絵はざっくりしているけれど、娘ちゃんと旦那さんがかわいいです。
義理の父・母や実の両親も味があっていい味だしてました。