楽しみにしていた育児漫画が発売されました。
『ユンタのゆっくり成長記』の2巻です。
WEB連載が終了したのは昨年12月。
単行本に収録された話は全て読んでいたのですが、まとめて読み直すと時の流れが感じられてより感慨深かったです。
139ページ、1080円(税込)です。
※amazon、楽天ともにレビューなし
【内容紹介】
漫画家たちばなかおるには、ダウン症の長男・ユンタを筆頭に男の子が3人。
余裕はまったくないけれど、爆笑&号泣だらけな日々を満喫してます!
双葉社Webマガジン「カラフル」発!ハイテンション育児コミック第2弾!!
【感想】
ダウン症という障がいを持つ子どもとの生活を描いているけれど、良い意味で”子どもに障がいがあること”を感じません。
暗さはなく、3兄弟がドタバタして、お母さん(作者)がギャースと叫ぶ様子が面白い。読むとエネルギーをもらえます。
作者のプロフィール
作者のタチバナカオルさんは1970年生まれ。
2006年11月、35歳でユンタ(純太)を出産。
その後、ダイダイ(純大)、いっちゃん(純一)を出産し、3人の子供のお母さんです。
3人兄弟とお父さん(パパ純)、お母さん(作者)の5人家族。
漫画の構成
WEBマガジン「カラフル」で連載されていた漫画、1話8ページ×全19話を収録しています(21話~39話)
単行本用の描き下ろしは、家族紹介ページ(まえがき)4ページ、あとがき2ページ、文章コラム3本、口絵カット3点。
描き下ろしは少なかったのですが、個人的に3人兄弟が食べ物愛を語っている口絵カットが気に入ってます。
3ページある文章コラムは、3人の息子それぞれについて。1人につき1ページ書かれています。
後程くわしく述べますが、1巻が「ユンタの物語」だったならば、2巻は「たちばな家の3兄弟の物語」であるように感じました。
2巻の特徴
1巻の題名は『ユンタのゆっくり成長記』。
ユンタが生まれてから4歳5か月までの成長の様子を描いていました。
2巻の題名は『たちばなさんちの長男坊』。
今回は、2つの軸があると思います。
1つは、ユンタが6歳目前~7歳(小1の終わり)くらいまで、保育所に通いながら入学準備をし、小学校に入学し、学校を生活を送っていく約2年間の日々のこと。
自分1人で何かをやろうとしたり、女の子をエスコートしたり(笑)。色々な面で成長を感じます。
もう1つは、ユンタと一緒に過ごす弟2人の様子や、ユンタとの関わり合い。
特に存在感が増したと感じるのが次男のダイダイ(4~5歳)。
三男のイっちゃん(1歳半~2歳)はネタ要員なのだろうか…。
まだ小さいのもあるでしょうが、作中で「ごはん!!!」(意訳)としか言ってない気がするよ?(笑)
保育所卒園~小学校入学~学校生活
学校関連のイベントは、ユンタを見守る両親の様子を見るのが楽しかった。
卒園式でユンタの成長を見てホロリとしつつも、失敗しないように2人で願っていたり…。
小学校の入学式に行こうとしたら、中々着替えてくれず、我慢しきれず怒鳴ってしまう様子が描かれていたり。
いや、実際には笑いごとではなかったと思うのですが、漫画としては面白くて。
作者・たちばなかおるさんの熱い肝っ玉母さんぶりも好きですが、私はパパ純のファンなので、パパ純が多く登場してくれて嬉しかったなあ…。
パパ純は私の旦那さん及び男友達とは全く違うタイプなので、発言が新鮮に感じるんですよね…笑える…。
”きょうだい児”である2人の弟
次男・ダイダイ。
1巻の後半からユンタとの関わりが描かれていた彼が4歳になって、兄であるユンタが”普通とは違う”と気付き、質問する様子などが描かれています。
ダイダイの表情がふてぶてしくて、とても良い。
そりゃ納得できないよな~とも思うし、納得できないことを遠慮なく表に出せる家庭なのだろうなあ。
ダイダイの「ユンタはそういうデザイン」という言葉は名言だと思います。
2歳にならない三男・イっちゃん。
なんだろう…。1巻では小さくて存在感がなかったのに、2巻ではすごい存在感。
彼の絵が描かれた部分だけ空気が違う気がするよ…?
イっちゃんに圧倒され、ブチ切れて仕返しにオムツのシールを剥がしまくるユンタの様子がおかしかった。
しかも別に仕返しになってないんだよね…(困るのはオムツを替えた親が捨てる時だと思う)。
今の自分の子育てと重ねて思うこと
作者がユンタを育てる様子を見ていて「子どもが言葉を扱うことの難しさ」に気付かされました。
ユンタはしゃべることが苦手で、発音するのは言葉の語尾だけ…ということが多いようです。
「ぜんぶ」は「んぶっ」、「やる」は「る!」…というように、始めの言葉が発音できない。
作者によるエッセイ『ダウン症児を育てています』には、ユンタが「イス」というので「アイス?」と思って対応したら、実は「カレーライス」だったとか、「うどん」と言うから作ったら食べたいのは「牛丼」だった…といったことが書かれていました。
この言葉に関する話は、今の自分には目からウロコでした。
うちの娘は現在2歳4か月。
片言の言葉を話しますが、突然、よく分からないことを言いだしたり、かんしゃくを起こしたりします。
娘が怒る理由はどうやら「言葉が通じない苛立ち」によるようです。
彼女の欲求と、私に伝えたいと思って発した言葉と、その言葉を聞き取った私の解釈とが一致しない。
私の対応が違っていて、彼女の欲求が満たされないから怒るのだ。
…という当たり前のことを、ユンタと作者のやりとりを見て気付きました。
そして、問題は「彼女の意図するところが分からない」ことではなく、彼女の真意を理解すべく、質問や確認をしていないこと、彼女の言葉以外の動きを見ていないことでは?と思いました。
気付きを元に自分自身の対応を少し変えたら、前より意思疎通が図れるようになり、不機嫌になることが減りました。
2人目の育児がスタートしたばかりな上に赤ちゃん返りとイヤイヤ期で余裕がなかったので、この気付きは非常にありがたい…。
それにしても、作者には分からない言葉も、弟であるダイダイには分かるっていうのは不思議…。
子ども同士だから、感性が近いのでしょうか?
より楽しむ為に
長男・次男・三男・夫よ 早く大人になってくれ!!(震え声)
双葉社「Jourすてきな主婦たち」9月号(2014年8月2日発売)から始まった新連載。
家族をネタにした4コマ漫画のようです。
WEB連載が突然終了したこともあり、2巻は発売されないのでは?などと思っていたので、2巻発売に合わせて新連載も始まったのは嬉しいです。
ユンタを主人公にした成長記録から、ユンタを中心とした兄弟3人の育児漫画になり、今度は家族漫画になるようですね。
早く単行本にな~れ!
●Jourすてきな主婦たち
ダウン症児の母親です! 毎日の生活と支援、こうなってる
8月に発売された、たちばなかおるさんの文章エッセイ本です。
エッセイ本を読むと、たちばな家の子育ての別の側面が見えてきます。
作者がユンタを育てる上で経験してきたことや、障がい児の母親としての葛藤や苦悩が率直な言葉で語られています。
専門家へのインタビューや、障がい児を持つ母親との対談もあり、読みやすくて充実した内容です。
全体にカラッとして明るい雰囲気で、テンポよくサクサク読めます。
読んでいると自分の偏見や思い込みに気付かされる一方で、エネルギーをチャージしてもらえる熱い本です。
まとめ
育児漫画では2巻に当たる作品に「2巻」とつけずに新しい題名をつけることは多いので、今回もそういうものだと思っていましたが、よく考えられた題名だと思いました。
私はパパ純のファンなので、新連載の家族漫画での活躍を期待しております。