「リラックマ」のキャラクターデザインでおなじみの、コンドウアキさんの育児漫画です。
今回はトリペちゃん、2歳~3歳の1年間が描かれています。
全173本+αのネタが掲載されていますが、ほとんどが描き下ろしです。
WEBサイトのdiaryに公開されたトリペちゃん2歳時のネタは12本ありますが、単行本に収録されたものは描きなおされているし、収録されてないネタもあります。
作者のコンドウさんは「ほぼほぼ描き下ろし」と書いていますが、全頁描き下ろしといっても問題ないレベルだと思います。
ページは177ページと厚め、1080円(税込)です。
●(内容は違いますが)作者のWEBサイトに育児漫画が掲載されています
amazon ★★★★★(5.0) ※レビュー1件
楽天 ★★★★★(5.0) ※レビュー2件
【内容紹介】
コンドウアキが贈る大人気育児エッセイ第4弾。
長女トリペが3歳になるまでをコミカル&キュートに描きました。
【感想】
1冊目(妊娠・出産編)の感想はこちら。
●『トリペと』(コンドウアキ)感想~妊婦の予習に最適の1冊~
絵の力は圧倒的に感じました。
さすがというか、娘・トリペちゃんの表情や仕草など、ちょっとした描写がかわいらしいです。
かわいいんだけど、甘すぎないししつこくもない。
毒っ気もないので独身の方から子育て真っ最中の方、育児が一段落した方まで、幅広く楽しめるかと思います。
作者のプロフィール
作者のコンドウアキさんは1977年生まれ。
代表作は『リラックマ』のキャラクーデザイン。映像化された『うさぎのモフィ』。雑誌「すてきな奥さん」に連載していた『おくたんとだんなちゃん』など。
旦那様はイラストレーターで育児漫画『お父チャンネル』を描いている相澤タロウイチさん。
28歳(2005年夏)の時に長女・トリペちゃんを出産。
トリペと4巻では、コンドウサさん、タロウイチさん、トリペちゃんの3人家族。
漫画の中で描かれているトリペちゃんは2歳ですが、現実世界のトリペちゃんは小学3年生くらいなのか…。びっくり…。
この漫画の特徴
内容の特徴としては、娘・トリペちゃんが2歳になってから3歳までの時期に絞って描いていること。
主に描かれるのは「イヤイヤ期」と「トイレトレーニング」です。
子どもがこの段階を終えている人は、懐かしく思い起こして楽しめるのではないでしょうか。
また、独身だったり、子どもが小さい人は「2歳児はそんな感じか~」…と、純粋に楽しめる気がします。
現在、娘が2歳1カ月でイヤイヤ期の片鱗が見える+トイレトレーニングを始めたばかりの自分は「うをおお…怖い…」と思いながら読みました(苦笑)。
1番最初に読んだ感想は「今よりひどくなるのか…。2人目が産まれたら赤ちゃん返りも起きるし、大丈夫か私…」でした。
コンドウさんとトリペちゃんの体験が具体的に描かれるので、1年でどれだけ成長するかが分かって希望が持てる反面、不安が増す部分もあります。
でも、感想を描くために再読したら、ま、なんとかなるか!…と逆に吹っ切れました。
作者の読んで未来を想像することで、娘が実際に「イヤだ!」と言っても「あ~これ、『トリペと』に描いてあったな…」で終わらせることもできる気がします。
漫画の構成
コマ割漫画ではなく、1ページを2つに割って、縦で読むようなスタイルです。
構成として1章~5章に分かれています。
トリペちゃんが成長に合わせてステップアップする様子が見えるかな…という程度。
第1章 お尻にふりまわされる トイレトレーニング★&魔の2歳児、はじまり、はじまり~!
特徴としても書きましたが、「魔の二歳児」「テリブル・ツー(terrible two)」とも言われる2歳児のイヤイヤ期=第一次反抗期の様子が描かれます。
成長の一段階であり、子どもの自主性や意志・意欲が高まる時期。
その一方で言葉など表現する能力が不足しており、本人が思ったこと(意志)を親に分かってもらえないことに苛立ちを感じたりもする。
親の言うことを何でも否定し「イヤだ!」「いらない!」…等の言葉を発することが増えるので、一般にはイヤイヤ期と言われるようです。
うちの娘にもその片鱗は見えています。
着替え拒否、オムツ拒否、トイレ拒否、食事拒否などなど。
最初は娘が苛立つ(不機嫌になる)原因が分かることも多かったのですが、最近は何が嫌なのか?が掴めなくなってきました。
漫画を読んで、そんな時期なんだな…とホッとしました。
あと、2歳児の体力って半端ないですよ…。
午前中も午後も外で遊ぶ。本人としては一日中お外で遊んでいてもいいようで、毎日走り回っております。
「疲れさせるためにサッカーをやらせた」お母さんの嘆きを読んで、男児はそれ以上か…とも思いました。
かわいいし遊びに付き合うのも楽しいんだけど、お願いだから昼寝してください…。ちょっとは自由な時間が欲しいんだよう…。
第2章 ウンとこしょん!まだまだ厳しいお尻事情&魔の2歳児、七変化!
夫・タロウイチさんが登場する機会が多かった2章。
トイレトレーニングネタも「お父ちゃんと一緒にお留守番中に起きた事件」が2つ描かれていました。
タロウイチさんはある意味で被害者なんだけど、トリペちゃんの仕打ちがキツイ。
2歳にして「お父ちゃんなんかキライ!」と言うのか…。2語文といえば2語文だけど、「なんか」が入ると意味が強まるせいか破壊力が半端ない…。
踏み台を置いたら、1人でトイレに行くように。うちも置いてみようかしら。
子ども扱いされたくない!大人と同じようにしたい!…て気持ちは強いのでしょうね。
公園でハトと戯れるトリペちゃん。
本人は可愛がっているつもりなのだろうけれど、ハトからすれば全力で追い回す2歳児って脅威ではなかろうか。
うちの娘も全力で追い回します。見ていて可愛らしくもあり、動物が可哀そうでもあり…。
第3章 かわる、かわる、かわる…。めまぐるしくかわる、トリペのまわり
3章は2つの変化を軸に描かれます。
一つはおじいちゃんの死と葬儀の様子。
不謹慎かも知れませんが、このエピソードで描かれた悲しみに共感しつつも「葬式ドタバタ話」には笑わせて頂きました。慣れないことでもあるし、親族一同バタバタしちゃって事件が起きるものですし…。
もう一つはコンドウ家の引っ越し。
保育所を転園することに決め、引っ越し先も決定。確かに、子どもがいると引っ越ししにくいですよね…。
第4章 感染症とひっこしと転園と…
引っ越し3週間前にトリペちゃんが水ぼうそうに…。
そして母・コンドウさんも腱鞘炎になり、水ぼうそうにもなり…。
夫・タイチロウさんに薬を塗られている場面に笑ってしまいましたが、実際にかかったら笑えないな…。
ストレスなのか?ピリピリした様子でよくわからない行動をとり始めたトリペちゃん。数えてみたら水ぼうそう発症から3週間、外遊びをしてなかった…!
うちも2人目産まれたら気をつけよう…。
第5章 今度は、O・TA・FU・KU!?&”お尻&2歳”からの卒業
今度はおたふく風邪にかかるトリペちゃん…。感染症は大変そうですね…。
好きなところ
ちょっと前にトイレトレーニングを始めたこともあり、1年間の成長が描かれていたのはありがたかったです。
だんだんパンツで過ごす時間が長くなり、外出するときの荷物も減り、オムツを買うかどうか悩むようになるのか…!いいな…!
転園のエピソードに絡めてトリペちゃんのトイレの失敗が増えたことも描かれていましたが、うちも2人目が産まれたらそうなるんだろうなあ…。
最初はおまる(補助便座)に座ることを嫌がっていた子が1年後にはこの発言ですから。子どもの成長はめまぐるしいなあ。
個人差もあるのでうちの娘が3歳になる前に外れるとは限りませんが、目安として分かりやすかったです。
3章~5章で描かれた転園の話は、コンドウさんの気持ちに共感して胸が痛かったです。
子どもが産まれた後で引っ越す場合、子どもの人間関係にも影響がありますものね…。夫婦2人でいた時は状況に応じて引っ越していましたが、今後は真剣に検討する必要があるなあ…。
↓のコマのあとのエピソード「103.がんばれがんばれ」がこの巻では1番好きでした。コンドウさんと一緒に泣きました。
トリペちゃんが新しい保育園に慣れて来て、コンドウさんが前向きに?絶叫できるようになったのでホッとしました。
子どもの適応力はすごいなあ。
より楽しむために
『トリペと』シリーズの関連書籍として。夫・相澤タロウイチさんも育児漫画を描いています。全3巻。
1巻では長女・トリペちゃん(作中ではペン子ちゃん)、2巻からは次女・モッチンちゃん(作中ではポン子ちゃん)も登場しています。
癖が強い絵なので好みが分かれるかな?(自分も持ってるけど、感想は書いてないですね…)
帯は辻村深月さんでした。
辻村深月さんは直木賞作家です(受賞作は『鍵のない夢を見る』)。
松坂桃李さん主演の映画『ツナグ』の原作者と言った方が伝わるかな?
私の中では「綾辻行人さんの大ファンという理由でメフィスト賞に応募した作家さん」という印象が強いですね…。綾辻さんの館シリーズはうちの旦那が好きで、私も読んでます。
辻村さんは2011年の年末くらいに出産されたようです。
『トリペと』についての発言に関して、ネットで拾えたのはこの記事。2巻にあたる『オカアチャン1年生』についてです。
まとめ
初読時はちょっと怯みましたが、何度か読み返すうちにおもしろく感じられるようになりました。
今回の感想はイヤイヤ期やトイレトレーニングを中心にしたので、怒っているトリペちゃんと困っているコンドウさんとタイチロウさんばかりですが、かわいらしいトリペちゃんを描いた漫画も収録されています。特に「11.2歳になった日」「144.なにでできてる?」「170.ヒラヒラ」の3本が好きでした。
また、「おわりに」の文章が良くて。待つことの難しさ・大切さについてと、おじいちゃんの葬儀でのお坊様の説法について書かれていますが、ぱっと読めるのに色々考えさせられました。
「おわりに」によると、5巻は次女・モッチンちゃんの妊娠・出産がメインになるようです。
5巻が発売されるのもそう遠くないように感じられるので、次巻を楽しみにしています。