一覧化も感想書きも難航しているので、25日に更新された『王子と赤ちゃん』16話の感想を書きます。
現在、お気に入りの育児漫画の一つで、毎月更新を楽しみにしております。
第1話と、最新4話(2014年1月末時点で13話~16話まで)が読めるので、1話目から読んでいない人でも筋が掴めると思います。
内容紹介
王子系男子がパパになると…?
出産を機に変化する夫婦の形を描く新・育児漫画
作者とその家族
作者はイラストレーター・カワハラユキコさん。
2011年(37歳)で妊娠、2012年(38歳)で男の子を出産。
夫は通称「王子」(カワハラさんの2歳年下)。建築設計の仕事をしていて超多忙。
息子・ぽうちゃん(作中では出産~6ヵ月くらい)。
飼い猫・レンぞう、の4人家族。
12話までのあらすじ
38歳で男の子を出産した作者。
仕事が忙しくあまり家にいない夫(王子)に頼ることなく、便利な道具や情報を元に1人で日々の育児をこなしていた。
イラストレーターの仕事も再開していたある日、無理がたたったのか身体に発疹が出るなどし、大きく体調を崩してしまう。
東京住まいの核家族。近くに頼れる親戚もいない。
頼れるのは夫だけ--。
けれども、妻(作者)が病気で動けない状況でも、夫は仕事を理由に家に帰ってこない。
妻の心に生じる「家族ってなんだろう?」という疑問。
自分が病気の時にも中断できない、夫の仕事って何だろう?
育児をしている中で「夫には期待しない方がいい」のであれば、なぜ家族として一緒にいるのだろう?
ぐるぐると頭の中を巡る、夫への不満。
…でも、やっぱり。1人で育児するのは無理だ…。
そう結論づけて、夫に協力を求める妻(作者)。
そんな作者の言葉に対して、夫(王子)は思いもよらない言葉を口にする。
…といった感じだったと思います。
続きは公開中の13話をお読みください。
●講談社『デジキス』サイト。
感想
連載が始まった2013年春から読み続けています。
このブログで最初に紹介したのは2013年の9月末に更新した「連載中の『王子と赤ちゃん』がおもしろいです」という記事。
その後、「WEB漫画を読みつつ考える、妊娠中のセックス・産後の夫婦関係・セックスレス」や「【書評】『産後クライシス』(内田明香、坪井健人)感想~夫婦の問題を言葉にするには~」といった記事でも紹介しましたが、現在「産後クライシス」期の夫婦の様子を描いています。
最初はもっと育児漫画っぽくて、息子・ぽうちゃんも頻繁に登場していたように記憶していますが、10回目くらいから「産後の夫婦関係のあり方」について切り込んできまして。
当時、私は産後クライシスの真っただ中だったこともあり、読みながら共感を覚えました。
第16話の感想
1月25日更新分は台湾旅行編であり、10話くらいから続いていた「産後クライシス編」の最終章(前編)のように感じました。
※私が勝手に「産後クライシス編」と呼んでます。
読んで一番の感想は「私も台湾に行きたい!」…でした。
屋台とか!行きたい~!!食道楽したい!旅行したい!
子連れに優しいとか…いいなあ!
(個人的に日本も赤子連れに優しいと思うんですが、漫画を読むと日本と台湾では次元が違う気がしました。)
台湾旅行は作者のブログにもレポート(漫画と写真)が掲載されています(こちらは旅行が終わった後に描かれたもの)。
これも合わせて読むと、写真付きでおいしそうな料理が紹介されているので、益々行きたくなります…。
「新・会長日記」
●子連れ台湾旅その1/ その2 / その3 / その4 / その5 / その6
16話ではカワハラさんの「憑物が落ちる」様子が描かれます。
この例えは上手いと思いました。
産後クライシス期の諸症状って憑物っぽいのですよね…。
「なんでわからないのお化け」に化していたカワハラさんにくっついた黒いお札。
このお札の一言一言はカワハラさんが王子に感じていた不満であり、私も感じていた「夫への不満」。
夫への不満(黒いお札)で視野が狭くなり、相手のことが見えなくなり八方塞がりになって出口が見えなくて、苦しんでいたのも私と同じ。
「忙しいという字は心を亡くすと書く」と言われますが、子供が生まれてからは目の前の育児にいっぱいいっぱいで、睡眠不足で体調も安定しない。ぼーっとする暇もない。そんな日々。
旦那さんがどんな人だったか、旦那さんのどういうところが好きだったか?…ということも思い出せなくなってしまい。
挙句の果てに自分がどんな人間だったか?さえも見えなくなってしまう日々でしたね。苦しかったなあ。
(うちも核家族で近くに親戚もいない家庭なので。)
この1話で一つの結論が出るのかと思っていたら、後編もあるのが意外でした。
次回も楽しみです。
この漫画が好きな理由
私は作者・カワハラさんの冷静な視点が好きです。
一歩引いて描いている感じが心地よいと言いますか。
13話から、夫(王子)の言い分や行動が色々な角度で描かれています。
作者自身、苦い気持ちも残る時期を描いていると思うのですが、夫(王子)の優しさに触れたと感じたエピソードを描いている。
その直後にムカついた話(結局家に帰ってこない…)も描いている。
体験漫画の中で作者(主人公)がずっと「カリカリ・イライラしている」と読んでいて疲れるのですが、この漫画はさじ加減が絶妙で、作者も王子も等身大の人間として見れるし「そういうことあるよね」と共感できます。
マニアックだけど、毎回すごいなーと感心しているの点があります。
1)各話で作者の意見(考え)を示しているところ
2)ページの最後に引きがあるところ
さくっと言ってしまうと構成が上手いです。
細かく言うと、話の最後に次回の「起」を描くので「承転結起」…といった構成ですが、1回6Pとページ数が少ないにも関わらず、起承転結を意識した描き方をしていて、メリハリがある。
引きがあるから次回が気になる。
スタートから『王子と赤ちゃん』を読んでいて「…作者は何を描きたかったんだろう?」と感じたことはありません。
これって結構すごいことで。「短いページで、ぱっと読ませて、読者に理解させる」漫画を描くのって、結構難しいと思うのです。
(漫画に登場する「レンぞう」が飼い猫か漫画的表現なのか、分からなかったことはありますが。)
伝えたいことが整理されているから、ページ数は少なくても必要な情報は描かれている。
作者の意見(考え)が理解できるし、共感できる。
読んでいて安心感があります。
第一子の出産を経て2年以内の女性、男性に読んでほしい漫画です。
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余談ですが。
上で紹介した「新・会長室日記」の育児漫画もおもしろいです。
個人的にツボだったのは「羊をめぐる冒険(ママバージョン)その1」。
生後7ヶ月ごろから息子さんが「ちょこちょこ起きる」ことに悩まされたカワハラさん。
解決策が箇条書きでまとめてあって便利だと思いました。
「その2」「その3」は連作で、オチはなんだか不思議でした。
ぐっすり眠らせるにはどうすれば…?と悩んでいたとき、先輩ママのアドバイスにのっかってみた話、です。