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【WEB漫画】『ブス界へようこそ』(河野大樹)18話までのネタバレ感想

投稿日:2018年12月24日 更新日:

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今日は面白いWEB漫画の感想を。
育児漫画ではないんですが、娘が10才くらいになったら読ませたいと思った作品です。

タイトルを見て「あー…」…と思う方が多いとは思います。私もそうでしたし…。
でも、「ブス」という言葉に引っかかりを覚えたり、ルッキズム(身体的特徴や容貌による差別)に関心がある人に読んで欲しい漫画です。

ジャンルでいえばバトルマンガだと思います。

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ブス界へようこそ』(河野大樹)

河野大樹さんが「ニコニコ静画」をメインに自主連載しているインディーズマンガです。「LINEマンガ」でも読めます。

隔週更新を目標に連載中。2018年12月24日時点で18話まで掲載されています。

※Kindleインディーズマンガで公開が始まりました。0円です。

話数について

すごく細かい話ですが、「ニコニコ静画」より「LINEマンガ」の方が1話少ないですが、内容も進捗も同じです。
※「LINEマンガ」版は「ニコニコ静画」版の2話・3話を合わせて「2話」としてアップしています。タイトル的にはニコ静版の5話「第5話 無理だと言われてる事を覆していかなきゃ 私はきっと何も変えていけない」が削除されています。

他に「マンガハック」「マンガボックスインディーズ」「マンガ図書館Z」「Pixiv」などで公開されていますが、8話くらいで止まっています。

作者のプロフィール

作者の河野大樹さんは、持ち込みで挫折した23才男性。

●作者Twitter:@tanakatamaka840
●作者ブログ:LINEブログ 

第37回講談社シリウス新人賞で「水曜日のシリウス特別賞」を受賞。
ブス界へようこそ(シリウス新人賞版/ニコニコ静画)

作品解説とあらすじ

作品解説や感想の部分で、色々な漫画のタイトルが登場しますが、「あの名作漫画に匹敵する面白さ」ということが言いたいので例として挙げてます。

あらすじ

ブスであることに疲れて自殺した主人公は、ブス界という、不思議な世界で目を覚ます。
そこは生前とは比べ物にならない程に強烈な、競争と階級の闘争社会だった……!

”ブス界”という挑戦的なタイトル

私がこの作品を知ったきっかけは、ナンバーナイン代表の小林さんのツイートでした。

このツイートを見た瞬間、正直、イラっとしました。
「また男性がブスをいじるのか。ダッさー…」と思い、URLをクリックする気など、全く起きませんでした。
※ちょっと前に、テレビドラマ「ちょうどいいブス」の件があったので同類だと勘違いしました。

その後、またTwitterのTLで『ブス界へようこそ』というタイトルを目にしました。
下のツイートですが、RTしたのが漫画家の夏目義徳さんだったので「あれ?」と思って。
※夏目さんは私が好きな男性漫画家さんです。詳細はこの記事参照。

「題名だけで作品評価を決め付けるのも良くないか…」と考えなおし、とりあえず1話だけでも…と、URLをクリックしました。

読んでみたら、グイグイと作品世界に引き込まれ、読みながら何度か感極まって涙し。一気に最新話まで読み切りました。

外見は不細工。でもセリフや行動がいちいち熱い。そんな主人公のカッコよさに惚れ惚れしました。
※余談ですがこのコマ見て「B★RS…」とか思いました…時代…。

例えば『千と千尋の神隠し』

例えば、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』という作品があります。

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『風の谷のナウシカ』のナウシカ、『天空の城ラピュタ』のシータ、『となりのトトロ』のサツキ、『魔女の宅急便』のキキなどと比較すると、千尋は「美少女顔」ではありません。
特に冒頭は始終ブスっとした表情なので、外見だけで「かわいい」「魅力的」とは思いにくいキャラクターです。

しかし、油屋に迷い込み様々な経験を経る中で、だんだんと千尋が魅力的な女の子に見えてくる。
千尋の外見(デザイン)は変わっていませんが、ラストシーンの千尋と、冒頭の千尋とは、視聴者が抱く印象が全く違っている筈です。

『ブス界へようこそ』も、作品を読む前と読んだ後とで、主人公への印象が変化します。
それだけではなく、自分の中にある「ルッキズム」や「ブスの定義」を打ち砕くような考え方や行動が示され、作品を読むことで読者の現実世界をも変え得る力強さがありました。

タイトルに「ブス」という言葉を選んだ、挑戦した、作者の覚悟を感じました。

この辺から、ネタバレしながらの解説になりますので、未読の方は先に作品を読んでください。
何も見ていない、知らないまっさらな状態で読んだ方が面白いと思います。

ニコニコ静画
LINEマンガ

気になるところは?

先に気になるところから。小さいことですが、私が読んでいて気になった点は3点です。

・17話まで至っているのに話が全然進まない、バトルが終わらない
・主人公の容姿が変化してしまった(14-15話)
・説明(伏線)不足と感じる

個別に見ていきましょう。

話が全然進まない

バトルが長くて話が進まない。40才の私には正直、しんどいですね。
1戦目は要素が多すぎるので、もうちょっと整理し、分割して間を作っても良かった気はします。

ただ、『ねぎマ!』で赤松健さんが書いてましたが、10代、20代の若い人はバトルが好きで、バトルを描くとアンケート結果が良いらしいんですよね…(バトルが長くても若い人は盛り上がる)。
また、2話から18話までバトルが続いていることで、初見でも勢いよく読めるのはメリットだとも思います。

この作品は是非10代20代の若者に読んで欲しいので、若者に受けるなら別に良いのです。
話が進んで欲しい~と言いつつ、漫画に勢いがあるので結局読めてますし。

主人公の容姿が変化した

ネタバレですが、14~15話で主人公の容姿が変わります。
最初に読んだ時、私は容姿が変わる場面を見てがっかりしました。

レベル1(大衆)と同じブスい顔で勝ち続けて頂点(レベル4)に上がるから熱いんじゃないか…!そういうのが見たかったなあ…、とか。結局美形に走るの?顔に傷をつけたところで、美形は美形だと思うけど…などと思いました。

夫も同じく「外見が変わったのが残念だった」と話してたので、ここで疑問を感じる人は多いかも知れません。

ただ、よくよく物語世界を考察すると、外見が変わるのが加英子(硬膜一界)で、外見が変わらないでレベルアップするのは砂子(軟膜一界)かな?とか予測することができます。

世界観考察をするのも楽しい作品です。

説明(伏線)不足かも?

伏線が少ない分、自由度が高くて、考察したり想像するのが楽しい作品なのですが、世界観の伏線(根拠)となる描写が少ないかな?と思いました。

今の時点ではファクニマ―チャー、硬膜、軟膜といった世界設定はおまけ程度ですし、足早に説明して終わりです。

とはいえ、バトルの途中で説明が続くと白けるに決まってる。勢いのよさ、読んだ時の爽快感が失われるなら説明は最低限でも良いし、物語が進むにつれて、少しづつ明らかになっていくのだと思います。

***

以上、気になるところを3点述べましたが、作品評価が下がるような欠点は見当たりません。

敢えて言えばタイトルで損している気がするんですが、色々考えてもタイトルの代案は全く浮かびませんでした。このタイトルで勝負したからこその面白さがあるとも思います。

気に入っているところ

気に入っているところを絞ると3点になります。

・人間の可能性を信じているところ
・熱いセリフがバンバン出てくる
・具体的な行動が示されている

細かく見ていきましょう。

人間讃歌

ネット上には『ブス界へようこそ』連載版、新人賞受賞版の他に、『トッカ』という短編がアップされています。

河野さんの作品を読むと、この人は人間を愛しているんだな、生きることを素晴らしいと思っているんだな、ということが伝わってきます。

胸に響く、熱いセリフ

キャラクターの表情が非常に良く、動きのあるバトルシーンも見応えがありますが、1番推したいのはセリフの秀逸さ。キャラクターが口にする言葉のひとつひとつに、魂が宿っている。

漫画を読んでこんなに熱い気持ちになったのは、何年ぶりだろう…。

具体的な行動=最初の一歩

下手なビジネス書よりも参考になりそうな「具体的な行動」が示されているところが好きです。
最初の一歩を踏み出すのって勇気がいるし、頭の中で考えちゃうと大ごとになって益々動けなくなることもあります。

『ブス界へようこそ』は自分がブスだと思っている主人公が、美人になる為変化・成長していく物語ですが、不器用な主人公が自分なりの方法で行動し、変化し、外見に関係なくカッコよく、美しくなっていく姿を見れるのが楽しいです。

感想

つらつら書きます。話のタイトルも熱くて好きです。

第1話 ブス界へようこそ

オープニング。
「ブス界」に行って闘うこと、変わることを決意したのは良いけれど、戦う方法さえ分からない主人公の姿が描かれます。この「逃げている訳でないけど、何事もうまく回らない不器用さ」には親近感を覚えました。

第2話 死ぬほどの本気

敵かと思っていた左蛇(さばみ)の熱いセリフに心を奪われました…!
「出来ること、出来ないこと 無意識に決めているのはどんな嫌味な敵でもない 自分自身」「勘違いであれ自分を信じることが 最高のドーピングになる」かっこいい…!

ファクニマ―チャー(資源)て語源があるのかな?と思ってググってみたけれど分かりませんでした。

第3話 ここはブス界

何故ドキンちゃんが…と思いました(笑)
ファクマの存在も謎が多いですね。他の人には「ただの物質」なのに、主人公と砂子は会話が出来ている。

「あらゆる価値 全て もう一度 疑え」「自分の力で 確かめたものだけ 本当の自分の力になる」。その通りでございます…。

でも、3話で描かれた部分は、普通に生活していると気付きにくいとも思うんですよ。私が気付いたのは28才くらいでした。

特に、日常の風景に溶け込んだ価値観や、親や教師から教えられた(刷り込まれた)価値観は、その存在に気付くことすら難しくて。
実際、自分がブスだと卑下している人の中には、親からブスと罵られていたり、「あんたは器量が悪い」と外見を貶められていた人も少なくありません。

自分の中にある価値観を、植え付けられた呪いの言葉を、打ち砕かないと前に進めません。

第4話 救って、私の一番得意な事

4話大好き。何回読んでもこの流れは泣けます。
必殺技的な決めセリフが、「得意」「集中」といった単純な言葉なのも非常に良いです。

第5話 無理だと言われてる事を覆していかなきゃ 私はきっと何も変えていけない

主人公は今まで黒歴史としてきた「過去」を肯定し、「得意な事」と解釈を変えたことで自信を強める。そして未来を自ら選んでいく。
「黒歴史」を「自分の一番得意な事」と解釈するセンスが好きです。目から鱗が落ちた気分になる読者も多いんじゃないかしら。

5話はこの、メタ的なセリフも良いですね。熱い。

第6話 本当は、殴り返しても良いんだね

「姿勢を正す」って小さいことだけどとても大事ですよね…。
うつむいた姿勢だと顔が見えないし、声も通りにくい。見た目で差別する人って実は少なくて、単純に表情が読めなかったり声が聞こえず、会話しにくいからイラっとして会話を断ち切ったりするものでは。

また、意識を変えようとするより、行動や姿勢(身体)を変えた方が結果が早く出るとも思います。
きっかけは小さな行動であっても、大きな変化をもたらします。

4話~6話あたりの流れを見ていて『覚悟のススメ』を思い出しました。なんとなく。

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第7話 だから人は努力する

「ブス界」のルールに乗っかるのではなく、自分でルールを作っていく主人公。
やりたいことをする。やりたくないことはしない。簡単なようで難しいことです。

砂子への弟子入り、反発からの園子登場、て流れが好きです。
ニコニコ静画版には、『トッカ』の告知ページも収録されています。

8話以降

1話1話感想を書いていくと流石に長いので割愛…。

登場するキャラクターは、砂子も、万子さんも、園子も、人物に厚みがあって、短所が見える場面があれば、長所が見える場面もあり。それぞれ「ブスの要因≒コンプレックス」が違う。とても魅力的です。

主人公の名前

私は名前がつく場面が好きなので、そこのネタバレを避けるために、主人公の名前は書かないように心がけています…。

「名付け」の場面は良かったですね。
名前は、その事象・現象を縛り付け特定する要素があるし、親や保護者から与えられることが多く、自分ではコントロールしがたい。言霊的な思想だと、人間の人生最も多く耳にする言葉、お呪いでもある。

初めての友達=万子が「カエコ」という名前に、新しい漢字と意味をくれて、生まれ変わる。
従来の価値観を疑う。自分の名前も、自分で決めることが出来る。ここは本当に素敵な場面でした。泣いた。

名前を名乗ったと同時に、顔に亀裂が入る。レベルが上がった瞬間です。
主人公補正というか、ある程度は自分の意志で「ブス界の理」に反する存在である加英子ですが、自然現象的に、理に従わざるを得ない部分もある。

ここで加英子の顔が変わります。
ここに関しては納得できなかったこともあり、世界設定を読み直しつつ自分が納得できる方向で考察しました。

来年新作が出るらしいんですが、名付けの場面で『十二国記』の調伏の場面を思い出しました…。

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まとめ

私が親として、子どもに伝えたいと思っていたライフハック的な情報が網羅されている…と思える漫画は初めてでした。

他者を「ブス」と貶める、嗤う人を変えることは出来ないけれど、他人からの評価や価値観を覆し、再定義し、自分の価値観で生きるという道は自分で選べる。

私も背筋を伸ばして、姿勢を良くして、生きていこうと思います。

考察は長くなったので分割しました…。別の記事として公開します。
あまり考察してる人を見かけないんですが、考察するの楽しいんだけどな。

感想を読んで興味が湧いたら、是非作品を読んでみてください。
ニコニコ静画
LINEマンガ

長くなりましたが、良いクリスマスをお過ごしくださいませ。

それでは!

余談

感想を書いてたら「漫画におけるルッキズム描写について」みたいなテーマにもうっかり踏み込んだりして。「設定上、ブスと言われる主人公が登場する漫画まとめ」を作ろうとしてしまいました…。
これは後でまとめを作るかも。需要なさそうだけど…。

「ブス」とタイトルがついたら何にでもイラつくか?といったらそうでもなく…。
女性がつけたタイトルなら気にならないんですよね。この辺は私の中に男性への不信感、差別意識があるんだろうな。

女性漫画家でルッキズムをテーマに描き続けているのは坂井恵理さんですが、坂井さんの作品との比較をしてみたくなったりとか…。坂井さんの漫画の感想も丁寧なの書きたいな…。


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