桜沢エリカさんの育児漫画です。
絵がかわいらしく内容も悪くないのですが、2点だけものすごーく気になるところがあります。
それは「ホメオパシー」「予防接種を受けないこと」を推奨しているところ…。
個々の家庭で調べたり相談した上で選択したことに口を挟むつもりはありませんが、一般の読者に伝えるのであれば一定の配慮が必要かと思います。
予防接種は医師によって意見が分かれるテーマです。分かりにくい、誤解を生みやすい面はあると感じます。
けれど、集団生活を送る上では、接種は必須です。自分の子どもだけの問題ではありません。
※予防接種については森戸やすみ先生の説明が分かりやすいです。
●視覚化するとわかりやすいワクチンの話(女医の子育て)
ホメオパシーは話にならない。これを他人に勧めたらダメだろ…(効果について医学的な根拠が無い上に、乳幼児の死亡例もある)。
漫画としてのレベルは高く面白いと思う分、この辺の描写が残念でなりません。
◆第1巻:誕生編
※息子・りゅっち誕生~1歳5か月まで
amazon ★★★★(4.1)
楽天 ★★★★★ (4.27)
◆第2巻:すくすく編
※息子・りゅっち1歳6か月~2歳7ヶ月まで
◆第3巻:第2子誕生編
※息子・りゅっち2歳8か月~4歳5ヶ月まで/娘・みみたん誕生~1歳9か月まで
amazon ★★★★(4.1)
楽天 ★★★★★ (4.75)
◆第4巻:卒園編
※息子・りゅっち4歳6か月~6歳0か月まで/娘・みみたん1歳10か月~3歳4か月まで
amazon ★★★★(3.5)
楽天 ★★★★★ (4.76)
◆第5巻:入学入園編
※息子・りゅっち6歳1か月~7歳4か月まで/娘・みみたん3歳5か月~4歳8か月まで
amazon ★★★★(4.4)
楽天 ★★★★★(4.71)
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6巻=5歳&8歳編
7巻=みみたん入学編
8巻=猫がともだち編
9巻=小学校卒業編
10巻(番外編?)=パリ旅行編 、の全10巻。
【内容紹介】
「自宅出産」の書き下ろし漫画や雑誌掲載時になかったエッセイをたっぷり収録!
もしも子供を産むのなら絶対一緒に育児をしてくれる人に、父親になってもらおう、と、私はずっと思ってきました。私自身は、両親の離婚で、父親という存在が希薄だったので、父親のいる家庭がいいものかよくわからないのですが(思春期の頃は友達はみんな父親が嫌いで悪口ばかり言ってたし)、とにかくそう思っていたわけです。 なので、妊娠がわかった時、私はまず夫に仕事を辞めて欲しい、と頼みました。(「夫のこと」から)
【感想】
桜沢エリカさんの出産~育児漫画です。
1963年7月生まれで2000年3月(36歳)に長男・美龍くん、2002年11月(39歳)に長女・みみちゃんを出産。
私が所有しているのは5巻まで。
巻数がついていなくて順番が分かりにくいのはどうにかしてほしいですね…。
育児漫画の中でも抜群に絵が美しく、息子・りゅっち(美龍くん)の子育て漫画として読める1巻は特に好きです。
息子の子育て漫画として、「ママはテンパリスト」や「育児なし日記」とはまた違う面白さがあります。
娘・みみたん(美魅ちゃん)が生まれる3巻「第2子誕生編」からは、第二子であり娘であるみみたんの御姫様ぶりなど、息子りゅっちが1人だった時とは違った子育ての雰囲気が見えます。
また、りゅっちの幼稚園お受験、断乳後のおっぱいケアなどのテーマなど、子育てに関わるイベントについて描かれており、「自分だったらどうかな~?」等々、考えながら読み進めることができます。
子供のイラスト、とくに娘のみみたんのイラストは流石と思う美しさ。
桜沢さんのシリアス漫画に比べると線はざっくりしているんですけど、身体のラインとか髪の毛とか、無駄な線が無くて丸みが美しくて。
その時期その時期の子供の体型が、リアルなんですよね。
表情も豊かだし、やっぱり絵が上手いなあ…と感心してしまう。
なのですが、作者がホメオパシーに傾倒していたり、予防接種等の西洋医学アンチな描写があります。
2巻「すくすく編」のamazonレビューを読んでいただければ、と思いますが、「すくすく編」はホメオパシーすごい!レメディすごい!などと描かれすぎていて胸やけがします。
レメディを飲んだ後に下痢をした=毒がでた、とか、ステロイド=毒だ、あなたの体に溜まっていた毒は子供が吸ったから云々とか…。
そういった(根拠がなく、ちょっと不自然な)自然信仰的な部分が気になってしまい、素直に楽しめない…。
また、この作品を人に薦めることに抵抗を感じます。
本人がホメオパシーを信じる・信じないは自由だと思いますが、子供が関係する部分(例えば予防接種NGとか)はやりすぎではなかろうか。
5巻にあたる「入学入園編」では、小学生になったりゅっちにゲーム機・任天堂DSを与えるか?といったテーマが描かれています。
桜沢さん自身は与えたくない、与えなくていいのでは?という親としての悩みや考え、他方、DSを持たないりゅっちと友達との関係などが描かれており、自分自身が子供の頃のファミコンとの付き合い方(親のしつけ)や、現在小学生の甥っことスマートフォン向けゲームの関係等を考えつつ読みました。
お受験や進学、ゲームとの付き合い方など、どの時代の親も通るであろうテーマについて、短いページで考えさせてくれる一方で、偏った食物アレルギー話や虫歯予防のフッ素、ホメオパシーの話が盛り込まれている…という…。
作者の偏った思考・信仰描写が無ければ、絵もよし、話も軽いものから考えさせるものまであり、内容の充実した育児漫画なのですが…。ちょっと残念な漫画です。
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個人的には、目次が秀逸だと思います。
育児漫画って、作品内で描かれている子供の年齢が重要だと思うのですが、明記していない作品が少なくないのです。
出来れば、作者(親)の年齢も書いてもらえると嬉しかったり…。
私は、感想を書くときに調べて、明記していないものは計算して書いているのですが、桜沢さんは自分の生年や子供たちの生年を書いてくれていて、計算しやすくてありがたかったです。