【書評】妊娠育児の創作漫画

『甘々と稲妻』(雨隠ギド)感想~家族でごはんを食べる、ということ~

投稿日:2013年10月22日 更新日:

今回は、子供の描写が愛くるしくて身もだえする、創作もの育児漫画です。
単純におもしろくて、かわいくて、読んだ後に色々と気付かされます。おすすめ。

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amazon ★★★★★(4.6)
楽天 評価なし

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【内容紹介】

妻を亡くし、ひとりで娘の子育てに奮戦する数学教師・犬塚。
料理が苦手で小食で味オンチな彼は、ひょんなことから教え子・飯田小鳥と、一緒にごはんを作って娘と3人で食べることに!!
月刊「good!アフタヌーン」誌上で連載開始当初から話題沸騰! 愛娘&女子高生と囲む、両手に花の食卓ドラマ、開幕です!!

【感想】

※2巻の感想は別ブログ(料理漫画目録)に書きました。
【感想】『甘々と稲妻 2巻』(雨隠ギド)~季節外れの、里芋の煮つけ~
2巻を読んだ餃子を作ったよレポート

サイトにて第1話をまるまる試読できるので、まずは試読をおススメします。

内容紹介に「食卓ドラマ」とありますが、作中でごはんを作って、食べて、レシピもついているという構成の漫画。
レシピつき漫画は最近流行っているのか私が好きなだけなのかわかりませんが、私が読んでいるものだけでも『きのう何食べた?』『高杉さん家のおべんとう』『にがくてあまい』などがあります。

話を戻しまして。
紹介文には「愛娘」とあるだけで子供は全く注目されておりませんが、この漫画で一番魅力的なのは、娘・つむぎちゃんの表情や態度、言葉だと思います。

母親を亡くし、父と2人の生活を送っているつむぎちゃん。
年齢は描かれていません、
保育所か幼稚園に通っている・箸が上手に使えている・言葉もスムーズ…なので、4歳くらいを想定しているのかな?と思いながら読んでいます。

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食卓を舞台にした漫画なので、毎回父が何か食べ物を作って、娘・つむぎちゃんが食べます。
1話1話、食べた時の表情や反応が違うのが素晴らしいです。

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1話目の冒頭。
お花見をしに来たら泣いている女子高生・ことりを発見し、「だいじょーぶ?」と声を掛けるつむぎちゃん。
デフォルメされた絵もかわいいし、くるっと回っていたりと動きが激しい。
大人たちはのんびりとしたペースで動きますが、つむぎちゃんはコマの間でも動き回っているという印象。

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個人的に気に入っているのは、保育所(か幼稚園)で友達と喧嘩をした場面。
園児服(スモック)の中に潜り込んでふて寝するつむぎちゃん。

ああ、子供ってこういう反応するよなあ、と思うのです。
そしてそれがとてもかわいいし、いじらしい。

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喧嘩のあと、時間が経ってから反省の弁を述べる場面もよかった。
ほっぺたが真っ赤で、ぷくーっと膨れている表情がとてもいいし、たどたどしく、ゆっくり、自分の想いを吐き出していく。
(父親がつむぎちゃんに反省を強制しないで、本人の中で解決するのを待ってあげていたのもよかった。)

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この表情もよかったなあ。ちょっと意地悪そうな表情。この後の笑顔がまたいいんですよ…。

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登場するレシピは、

1話…土鍋で炊いたごはん
2話…豚汁
3話…煮込みハンバーグ
4話…とりの唐揚げ、他(行楽弁当)
5話…茶碗蒸しとにゅうめん

…でした。
父親に料理経験がなくてスキルアップ中なので、比較的かんたんなメニューが多いかな。

4話のとりの唐揚げのレシピは、甘辛いタレを後付するという、名古屋の手羽先風のものでした。
定番だけど、ちょっと変わっているのはいいですね。今度つくるときに試してみよう…。

とりの唐揚げを食べたつむぎちゃんの目がハートになっているのもかわいい。

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以下は1話について、バリバリにネタバレするので試読してからお願いします。

【ネタバレ感想】

上では表情がいいとしか書いていませんが、伏線の貼り方が丁寧な作品で、漫画としての完成度が高いと思います。
つむぎちゃんの言葉を通して大人が忘れがちな大切なものが描かれているのが素敵だと思いました。

母親が亡くなって半年、毎日のごはんは買ってきたお弁当や冷凍食品になっていた。
教師としての仕事に加え、掃除や洗濯などの家事に手が回らない父は、一緒に食卓を囲まない。

「ごはん買ってかえろうか?」という父の問いかけに、「今日もおべんと?」ときくつむぎちゃん。
この、言葉がでなくてギュッとしちゃう、て反応にぐっときます。
(つむぎちゃんの表情は描かれていませんが後姿を続けることで)何か不満はあるみたいだけれど、言葉にならない仕草。

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テレビに映し出された「煮込まれた肉」(※推測)映像にくぎ付けになるつむぎちゃん。
料理番組ではなく、通販番組(圧力鍋)というのがリアル。短い時間でおいしそうですよね…。

「ママにこれつくってっておてがみして」は頭を殴られるような衝撃がありました。
この言葉、すごいな。

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その後、土鍋で炊いたごはんを食べるわけですが。「食べるとこ見てて!」て言葉が素敵で。父・犬塚と一緒に泣いた。
「おとうさんも一緒に食べよう!」とかでなく、「見てて!」なのがすごい。
本当に、言葉の使い方が上手くて感心する。

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そして締めがうまい。
父は「手作りの」「おいしいものを」「一緒に」食べることを約束します。

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娘は「父と一緒」に食べることを喜びます。

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一見、ものすごーく良い場面なのですが、父と娘のすれ違いを感じさせる(笑)

つむぎちゃんが拘っていたのは「おとさんと一緒に食べること」。
テレビ番組にくぎ付けになっていたことから、作りたてのおいしいごはんが食べたいという気持ちもあるのでしょうけれど、「ごはんを食べる」=「一緒に食べる」。
父が気にしていたのは「コンビニ弁当ではまずいかな?(手作りがいいか?ファミレスがいいか?)」ということ。

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1話のレシピは土鍋で炊いたごはん。
炊き立てごはんだけ。でも、もしゃもしゃ食べる。笑顔で食べる。

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娘が産まれて、離乳食も後期にはいり、毎回ごはんを作って食べさせています。
子供が食べるのは時間がかかるし、自分で食べたがるし、手が空いた私はお皿を洗ったり洗濯をしたりしていました。

作中の父親ほど忙しいわけでもないので、ただ、なんとなく。手持無沙汰で。

綺麗な見た目の手間がかかったごはんを作ることより、最後まで一緒にテーブルについてごはんを食べるってことの方が大事だよなあ。
大人が心配すること、気にすることなんて、子供にはどうでも良いことが多いんだよなあ。

そんな色々に気付かされる一冊。

父と女子高生・ことりちゃんとの関係とか、ことりちゃんの過去とか、ことりちゃんの母親とか、つむぎちゃんの母親とか、次につながる気になる要素は他にも色々あります。
息抜きにどうぞ。

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2巻発売!そして…

祝☆3月7日に2巻発売!
今回はドーナツと餃子です!ドーナツと餃子!そしてヤギさん!

お祝いに「食べたくなる!食・料理・グルメがテーマの漫画一覧(267作品)」を作りました。
※作品数が多く重いのでご注意を。

読んだ翌日にドーナツ揚げました。
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その翌週に餃子作りました。
モチモチの皮で水餃子向きです。
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2巻の感想はこちら。
【感想】『甘々と稲妻 2巻』(雨隠ギド)~季節外れの、里芋の煮つけ~

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