昨日購入したカラスヤさんの育児漫画の感想です。
面白かったし、勉強になったし、共感できたし、良い作品だと思いました。
「すくパラぷらす」で読んでいて面白かったから買いましたが、単行本で読んだ方がおもしろくて驚きました。
自分の娘が現在1歳5か月で、漫画内で描かれているカラスヤさんの娘さんの成長とぴったり重なる分評価が高いのだと思いますが、買って良かったと思います。
●すくパラぷらすで連載中です
※amazon、楽天ともにレビューなし。
【内容紹介】
「キモカッコワルイ」のキャッチフレーズで非モテの代表格だったマンガ家カラスヤサトシの気になる結婚生活とは!?
ファンを驚かせた電撃結婚後、人生の勝ち組に転向したかと思いきや、ヤンキーのような妻にはドツかれ、生まれたばかりの娘の扱いにも慣れなくて…右往左往する日々はあいかわらず!
著者初の子育てコミックエッセイ。最近、自身の再婚を発表した「ママはテンパリスト」の著者・東村アキコとの子育て対談を特別収録!
※WEBマガジン「すくすくパラダイスぷらす」で連載中の「子がなくては親は育たぬ」を改題して書籍化。
【感想】
カラスヤサトシさんは39歳。
奥様は30歳。
娘さんは2011年、カラスヤさん37歳、奥様28歳の時に生まれ、現在2歳。
奥様は音楽系のライターをされており、夫婦揃って自宅でフリーランスの仕事をしている家庭です。
単行本には、娘さんの妊娠がわかってから出産、娘さんが1歳半くらいまで?の漫画が収録されています。
描き下ろしは、まえがきとあとがき、1コマ漫画。加えて、娘さんの写真が数点掲載されています。
1話ごとにテーマがあります。
ベビーベッド、出産、子供の鼻水の対処と風邪、子供の入浴、湿疹、おむつ、ファッション、予防接種、アレルギー等々。
話のテーマによっては、読者の反応(すくパラプラスの掲示板への書き込み)とカラスヤさんのコメントがついています。
このページ、意外とお役立ち情報が載っていて良かったですね。
カラスヤさんの漫画を読むだけでは不足する情報が補われ、色々な立場からの意見も読めるし、掲示板への書き込みだから短くて読みやすいし。
娘さんの皮膚トラブルと病院巡りの話は、大変参考になりました。
よくなったようですし、アレルギーも見つかったみたいですが、奥さんは大変だったろうなあ…。
医者が言っていることがバラバラで、処方される薬もバラバラ。
医者が悪いとは限らず、1歳未満の頃の赤ちゃんは個人差が大きく、判断が難しいみたいです。
更に、小児科ではない病院で受診すると、赤ちゃんの扱いが下手だったり苦手な場合もあるし。
信頼できるかかりつけ医が見つかると良いけれど、見つけるまでは色々な病院を試すしかないですが、赤ちゃんを連れての病院(外出+長い待ち時間)はつらいですよね…。
赤ちゃんを医者に診せ、治療してもらう。これが意外と難しい。
結局、親が情報を集めて、子供を見て判断し、治療を進めるしかない。
母親の勘も意外と当たるんですよね…。
私はかかりつけ医の先生に「おかあさんが赤ちゃんを見て、大丈夫だろうと感じるときは大丈夫、まずいと思うときは病院に」と言われましたし…。
奥様に付き合ってアレルギー除去食(肉なし)を食べるも、空腹に耐え切れず、隠れて夜中にガツガツ食べるカラスヤさんはえらいなあ(笑)。
「自分用にガッツリしたものを作ってくれ」とは言わずに、自分でラーメンを作って食べているのでしょうから。
一人暮らしが長いからかな…。
怖いなあと思ったのは、百貨店の休憩室で知り合った人に勉強会に誘われる話…。
勉強会=宗教勧誘だったらしいですが、私もママ友から宗教勧誘を受けたとか、物販購入を勧められたとかいう話を聞いたことがあります…。
育児漫画で読んだのは初めてなのですが、意外とよくある話なのかも知れない…。
気をつけよう…。
奥様の対応がドライな大人、だけどライター気質なのだなあ…と思わせるもので素晴らしかった(笑)。
カラスヤさんが読者を泣かせようとして描いている場面はないのですが、私はなんだか、読んでいて泣けてきまして。
退院してすぐの頃、子供をお風呂にいれるときに緊張したこと。夫婦でオタオタしながらいれたなあ。
紙オムツを腕にまいて蒸れ具合を調べる実験を見て、娘のオムツは紙か布かで悩んだなあ。新生児の頃は何度も何度もチェックしていたなあ。
ベビー服を卒業し、上下分かれて着せるようになる寂しさ。
ふとした場面で実感する、子供の成長。
日々の小さな出来事について、こんなことがあった、驚いた、…と描いているだけなんですが、ネタの拾い方が上手いのか、私もそういう経験したな〜…という話が多くて。
読みながら、その頃の娘を思い出し、その頃より大きくなった今の娘を見て、
「娘も大きくなったなぁ。自分よくがんばったなぁ。もうあの小さい時期には戻れないんだなぁ。寂しいなぁ」
そんな風に思って。
Webで連載を追ってるときには、そんな風に感じることはなかったんです。
男性目線の素朴な疑問を確かめるべく実験したりする様子が面白いと思ったけれど、感動はなかった。
単行本でまとめて読んだら、一つのエピソードを読む度に自分の経験を思い起こして、それが積み重なって、娘のアルバムを見ているような気持ちになって。自然と涙がこぼれて。
カラスヤさんが東村アキコさんとの対談の中で「あとで読むとありがちなネタだ…と思って」と話していましたが、ありがちなネタ=多くの親が経験していることです。
カラスヤさんの作風的に「自分が自分が自分の娘が!!!」…と、自分の経験や価値観を読者に押し付けることがないからか、素直に読めるし、漫画を読みながら自分の経験を思い出すことができました。
私が育児漫画を読んで、こんな風に感動するのは初めてでした。
「意外な伏兵がここに…!」と、感心してしまいました。
笑える・かわいい漫画は他にもあるし、知ってもいるのですが、私にとって、しっくりくる育児漫画でした。
良い作品に出会えました。
ベタ褒めしていますが、絵が好みかどうかは分かれると思います。
私も雑誌「アフタヌーン」を定期購読していた頃、なかなか『カラスヤサトシ』を読む気にならなかったので、絵がな…と思う気持ちが分かり…(読んでみたら面白かったし、あれから10年、読みやすくなってるとも思うのですが…)。
「すくパラぷらす」で連載中のものを試しに読んで、問題なかったらぜひ。
特に1歳半〜2歳の娘を持つ方には楽しめると思います。
『ママはテンパリスト』の作者・東村アキコさんとの対談も収録されています。
帯にも裏表紙にも書かれていて、かなりアピールしている印象です。
女性でカラスヤサトシさんを知っている人、少ないだろうしな…。
東村さんの息子・ごっちゃんの近況や再婚の話も少し。
ごっちゃんがすこーし、母離れを始めていたり、男らしくなってきたようですね。
この対談は4Pありますが、途中、カラスヤさんのインタビューが一部抜けていて、話がよくわからなくなっています。
3度読み直したのだけど、意味がとれないから抜けていると思うのです。
カラスヤ「それはもう…。だから、暗い内容の漫画が書けなくなりましたし、とくに育」(127P)
「い。」(128P)
東村 「わかるわかる。」
…うーん。東村さんには何がわかったのだろう…?
いい話になりそうなところで飛んでいるあたりが、カラスヤさんらしいっちゃらしいんですけど(苦笑)。
自分は細かい方なので漫画を「書く」になっているのも気になります。校正は?とも思うけど、せめて作者にチェックさせないのかしら。
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久しぶりにごっちゃん情報が…!などと書きつつ、そういえば、ちょっと前に発売された東村アキコさんの『かくかくしかじか』2巻でも登場していました。
『海月姫』のあとがきにも出てたな…。
ごっちゃん、いまは小学2年生らしいですからね…。
子供の成長は早いね…。
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余談です。
カラスヤサトシさんの漫画を過去に読んだ人にしかわからない例え話。
今まで、私の中でカラスヤサトシさんって「漫画界のゲッツ板野」という印象でした。
今回の育児漫画は、ゲッツ板野さんがR-1グランプリに出場していて、期待しないでなんとなく見たら意外や意外、面白く。「ゲッツ…。一発ネタしか出来ない芸人かと思ってたのに…。オレの中ではグランプリだな…」と思う、みたいな感じでした。
わかるやつだけわかればいい…。