出産時の年齢が40歳~

『不育症戦記 生きた赤ちゃん抱けるまで』(楠桂)~第2子誕生までの壮絶な戦い~

投稿日:2013年10月29日 更新日:

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最近、自分が第2子妊娠に向けて準備を進めていまして、「第2子の妊娠・出産が描かれた漫画一覧を作るか~」と調べておりました。

そういえば『不育症戦記』も第2子妊娠の話だったな。
そう思って手にとったら、1回目に読んだ時とは印象が大きく違いました。

読み手の経験や立ち位置、考え方によって評価が変わる。
読者の心を炙り出す、鏡のような漫画です。

漫画家としての経験が長く、コメディ・ホラー・伝奇物・エッセイなど幅広いジャンルを描いてきた作者だから描けた問題作であり、名作だと思います。

amazon ★★★★(3.6)
楽天 ★★★★★(4.92)

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【内容紹介】

お腹の中で、赤ちゃんが育たず流産・死産をくりかえしてしまう『不育症』。年間患者数7万人以上、妊娠女性の2~5%が直面している現実です。

【感想】

娘を妊娠していた2011年の秋(当時33歳)、妊娠・出産の体験を描いた漫画が読みたいな~…と手をしたのがこの漫画でした。
タイトルが不穏な雰囲気でしたが、「まあ、楠桂さんだから面白いでしょ!」と判断し、手にとりました。

まさかこんなヘビーな内容だったとは…。

amazonでは絶批判されていますが、楽天では絶賛の声が寄せられている不思議な漫画です。
楽天レビューの方が点数が高いのは一般的な現象ですが、レビューを書いた12人のうち11人が5点満点(残り1人は4点)というのは珍しい高得点です。
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残念なのは、既に絶版していること。

この作品が出版された2010年は「不育症」は知られていませんでしたが、2012年頃からテレビでも紹介されるようになりました。
昨年妊活していた友人(当時34歳)は、流産を2回経験した時に医師から不育症について説明されたそうです。

この作品を必要とする人は、これからも増えると思います。
中古本の価格が高い水準で維持されているのも、入荷したら即売れる状況があるからでしょう(2013年11月現在では古本価格が700円…)。

是非、電子書籍などの形で読めるようにようにしてほしいです。
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読むと気持ちが暗くなるかも知れませんし、考えすぎて将来が不安になるかもしれません。
作者自身の経験やその時の感情を生々しく描写している為、気持ちが落ち着いているときに読んでください。

ですが、読んだ後にこれから生きる上での決意と勇気を生み出してくれます。

作者のプロフィール

作者・楠桂さんは1966年生まれ。
32歳のとき(1998年)結婚、33~34歳のとき(2000年)に第1子である娘さんを出産されています。
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私にとっては小学生の頃から読んでいる漫画家さんです。

『妖魔』『サーカス・ワンダー』『人狼草子』『八神くんの家庭の事情』『鬼切丸』『大都会にほえろ!』などなど様々なジャンルの漫画を、少年誌でも少女誌を問わず描き、漫画家になって30年以上第一線で活躍されています。

あらすじ

単行本は作者自身の経験をベースにした漫画と、不育症治療の第一人者であり主治医であった青木先生の不育症を説明するコラムで構成されています。

物語は2002年秋、作者(=主人公)が「そろそろふたり目ほしいかな…」と夫に相談する場面から始まります。
作者は36歳。夫は5歳年下なので31歳くらい。娘さんは2歳半。

すぐに妊娠が実現。
妊娠7ヶ月を過ぎた時、突然の起こった出来事――。
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解説と感想

『不育症戦記』は、作者が第2子を無事出産するまでの5年間の壮絶な戦いの記録です。
1話(8P)のあらすじを書いただけで胃が痛くなりますが、2005年の11月に第2子を出産するまでに、流産2回と死産2回を経験されています。

華やかさや美しさはありません。
自ら血を流しながら、狂いそうになりながら、戦い続けた。

「戦記」という言葉がふさわしい漫画だと思います。

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生半可な覚悟では描けるような内容ではありません。

もっとこの病気を知ってほしい。
不育症の女性の気持ちに寄り添えれば。
不育症の女性の家族に、彼女の気持ちが伝われば。

その一念で描き上げたのでしょう。
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自身の経験や気持ちを赤裸々に描いています。

流産や死産を経験したこと。
妊娠した姉への嫉妬心。
つらさを分かってくれない夫や家族への恨み。
生きた子供を出産できない原因を「誰か」に求めたくなる気持ち。

第2子を産めるまで、自分が納得できるまで、家族の気持ちを無視しながら突っ走る、半狂乱の自分の姿。

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読み進めるうちに色々な想いが頭をよぎります。

自分の計画通りに妊娠できるとか、勘違いしていないか?
娘を妊娠したとき、出産したときの感謝の気持ちはどこへいったの?
何故2人目を産みたいの?

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連載していた2009年、まだ結婚したばかりで子どもがいない時期に連載を読んでいたのですが、ここまで必死になる作者の気持ちが分からず。
どちらかと言えば、作者に批判的な思いを抱えながら読んでいました。

でも、出産という経験を経た今読むと、全然違う漫画に見えます。

流産、死産の場面を描く辛さ。思い出すのも辛いでしょうに。

そんな場面を自分の脳内で再生して絵にして編集者と打ち合わせて、漫画にして、読者に読ませている楠桂さんは、本当にすごいとしか言えません…。

それは、想像を絶する苦しみでしょう。
決意なり覚悟なり、志がないと描けないと思う。

青木先生の不育症のコラム

楠桂さんの治療を担当し、この本のコラムや監修を担当している青木先生は現在、名古屋市にある青木産婦人科クリニックを開業されています。
青木産婦人科クリニック

テーマを分けてLesson1~Lesson7までが収録されています。
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青木先生の文章は作者が描いた漫画のイメージの影響もあるでしょうが、色々な意味でやさしい雰囲気です。

漫画では説明しきれていない、検査のこと、考えられる原因、治療の考え方や方法、保険がきかない部分が多いことなど、不育症に関する基本的な情報がわかりやすく書かれています。

「当クリニックに通う患者の4人にひとりが『不育症』と『不妊症』の両方に悩まれている」といった現実にも触れられておりドキッとしますが、コラムや漫画内の青木先生のやさしい言葉を読むと、元気をもらえる気がします。

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【関連リンク】
不育症の妻が出産するまでの夫の気持ち
奥様が不育症だったライダー鈴木さんのTweetをまとめたもの。
お子様が無事産まれてよかったです。
togetter

【不育症関係ではこんな漫画も】
※2018年1月時点の情報です

がっつりと治療の様子まで描いてあるのは『不育症戦記』だけだと思いますが、「2回の流産の体験」を描いた『がけっぷち出産ぶんぶんマーチ』も、流産の悲しみや不育症を疑う気持ちが描かれていて良い作品だと思います。
(作者さんはその後、娘と息子を出産しています。)

『がけっぷち出産ブンブンマーチ』(水玉ペリ)感想~アラフォー女性の2度の流産、高齢出産~

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また、3人の子どもを育てるブロガー・さーたりさんは、新刊の中で自身が不育症であることに触れています。
不育症の体験談はほぼ描かれてませんが(ページで言えば1ページです…)、2人目妊娠時に不育症と判明。

ブログに関連した記事があるので、興味のある方はどうぞ~(話としては中途半端な感じですが)。さーたりさんのブログは面白いのでオタクネタOKならお勧めです!
不育症といわれて
原因不明

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