うちの旦那のイチオシ作。
お父さん視点の育児漫画としては珍しく、奥様の妊娠が分かってから両親学級への参加や立ちあい出産など、妊娠~出産までの様子(分量としては単行本の3分の1くらい)と、子連れ旅行・寝かしつけ・お風呂・子連れ外食など、生まれてから1歳までの育児の様子が描かれています。
amazon ★★★★★(4.7)
楽天★★★★(4.36)
【内容紹介】
はじめての妊娠・出産・子育ては楽しさいっぱい…だけど恐怖もいっぱい…!? エッセイまんが史上初(?)、男目線のリアル育児日記!!
【感想】
『the 山田家』『パパがも一度恋をした』などの代表作の阿部潤さん(男性)の育児漫画です。
結婚6年目、阿部さん32歳、妻・ミーマン30歳のとき、娘・そのちゃんを出産。
この作品は「作者が父親として成長していく育自漫画」だと思います。
担当編集者がインタビューで「雑誌連載時には、妊娠から出産、育児の過程をリアルタイムで描いてもらいました」と話しているだけあって、「その時にしか描けない漫画」だと感じます。続編である「ふたりめ編」や「パパ育児できるかな?」の作者(=お父さん)は、お父さんレベルを上げ、落ち着いた雰囲気なので。
妻が妊娠し出産を控えている男性、または、旦那が子供っぽくてイラッとしている妊娠中の女性におススメしたい作品です。
正直、初めて読んだときは物足りなさを感じました。
同じ時期に読んだのが『榎本俊二のカリスマ育児』。ギャグのキレが良くて他の育児漫画と一線を画していました(名作です…)。
比較すると、一層物足りなさを感じました。
妄想癖のあるぽやーんとしたお父さん(作者)に感情移入もできず、ギャグもほとんどない。
買って失敗したかなあ、と思いました。
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ところが。
娘が生後3か月くらいの頃、旦那さんに「今まで読んだ育児漫画で何がよかった?」と聞きました。
旦那さんは「阿部さんの漫画が1番おもしろかった」と答えました。
私には予想外の返答でした。
「『カリスマ育児』や『まんが親』よりも阿部さんなの??赤い表紙の?」と問い返したら、「うーん…。面白いというか、一番気持ちが分かって、共感できたのが阿部さん」と言いました。
旦那さんが最初にこの作品を読んだのは私が妊娠6か月の頃でした。
いまいち親になることに実感がわかなかった旦那さんは、親になることを「なんか大人な感じだ…」とカッコつけずに語る作者に共感を覚えたようです。
また、うちの子も娘だったので産後に読み返し、阿部さんと娘そのちゃんのやり取りを見て「わかるわかる」と思ったみたいで。
母親である自分ではなく、旦那さんの立場に立って読むと自分の勘違いに気付きました。
私は初めて読んだとき、作者が口にする不安を「漫画を面白くする為のギャグ」だと思っていました。お笑いのボケです。
だから「ボケ(=ギャグ)がつまらない漫画」だと感じた。
でも、作者の言葉を「男親の本音」として読むと、「親としての自覚が薄いのは旦那に限った話ではないのか…」「父親はこんな気持ちなのか。色々不安なのだな。自分(=母親)とは違うんだなあ」と思えるようになりました。
漫画を読み進め、娘・そのちゃんが成長するに従い、作者が少しづつ親として・大人として成長していることに気付きます。
言葉も親として大人として、恥ずかしくないしっかりとしたものになってきます。妊娠がわかった時と比べると別人のようです。
旦那さんも作者のように、娘と一緒に育っていくのだろうなあ…と思ったら「旦那さんが父親らしくないといって、私がイライラする必要はなのだな」と切り替えることができました。
子供の成長は親の成長でもあると言われますが、作者自身の成長記録として読むと、とても面白いです。
シリーズ3冊全て持っていますが、3冊目の「パパ育児できるかな」では、本当に落ち着いていてびっくりしました(そのうち感想を書きます)。
【関連リンク】
●担当編集者は知っている。(ほぼ日刊イトイ新聞)
●阿部潤さんの育児漫画関連データ
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【父親になる人の気持ちがつづられたブログ】
夫に対して「父親としての自覚ってどうしたら育つのかな…」と思ったら読むと参考になるかもしれません。
●父親の、なり方。(犬だって言いたいことがあるのだ。)
●父親の自覚を持つために必要な3つの条件(僭越ながら)