【記録】とある新人漫画家関連

【メモ】電子書籍(Kindle)セール時の著者印税ってどうなるの?~結論:販売価格に応じて減ります

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今日は漫画家さん、作家さん、編集さん向けの情報共有です。

「電子書籍」と書いてますが、私が調べているのはKindleについてです。

漫画家さんが出版社と締結する「出版契約書」もしくは「電子書籍契約書」はKindleか楽天Koboかで分けずに「電子書籍」として締結しているようです。
Kindleだけでなく、電子書籍全体でも同じ計算だと思います。

読者としてセール価格で買うのは別に良いと思っています。私もセールで買っていますし。
「ビジネスの構造としお話にならないから、見直さないとヤバイよ」という話です。

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電子書籍のセールについて

ネット上の噂話

Kindleなどのセール、「値引き部分はamazonや出版社が負担する」「著者への印税は保たれる」と認識している方が多い筈です。

Kndleに詳しく、作家さんとの交流がある、きんどうさんもそういった考えをツイートしてます。2017年5月のもの。

こういった考えの根拠は、2014年頃のこの辺の議論かなと思います。

角川書店のKindle本70%OFFセールで作者の印税も70%OFFになるのか?(2014年1月24日/Togetherまとめ)

一部ツイートを転載させて頂きますね。

ネット上の総論としては

Kindleでセールされても、印税は一律
 (例)1000円(税別)の印税が10%だったら、1冊売れたら100円。
    半額セールで500円(税別)の場合も100円。

利益が減った部分は、amazonか出版社が負担する

小売店の店長として感じる違和感

わざわざ指摘するまでもなく、この仕組みで長続きするわけがありません。
法律云々はともかく、作家さんに有利過ぎます。amazonに実益が薄い。

正直、amazonが損をしてまで、セールを促進する理由が見当たりません。
電子書籍黎明期でKindleユーザーを増やしたい時期の対応ならともかく、Kindle UnlimitedPrime Readingを実施している2017年も同じ訳がない。

法律が問題なら別の契約を結んだほうが早い話です。上のまとめが作られた2014年から、既に3年も経っています。

そう思ったので、知り合いの作家さんに疑問をぶつけ、調べて頂きました。
(お名前出すとご迷惑が掛かるかも知れないので、お名前は伏せます)

結論

Kindleなどの電子書籍セール、「セールで安くなってる部分はAmazonや出版社が負担してる」は、デマだと思います。

信じてる作家さんは契約書や印税の支払い調書を確認した方が良いです。
多分、セールでの販売価格×印税率×売上数=収入になってる筈です。

(例)印税10%、定価1000円の本が半額オフの500円の場合、収入は500円×10%×売上数 印税は1冊50円となる。

漫画家も編集者も気付いていない?

この件、調べてくれた作家さんもウワサを信じており、気付いていませんでした。
作家さんが担当編集に問い合わせたら、編集さんも気付いておらず、「セールで安くなっている部分はAmazon負担」と認識していたとも聞いています。

例外的な出版社や契約もあるかも知れません。
出来れば個々で確認して頂き、正しい情報を発信、共有してほしいと考えています。

フクチマミさんのはなし

この辺のこと、深夜にツイートしたら、フクチマミさんが反応してくれました。
フクチマミさんは、過去に8冊の本を出版しています。

フクチマミのイラストレーション

フクチマミさんとの会話

電子書籍は原価率が低いので利幅が大きいイメージでしたが、amazonへの中間マージンが65%だと、紙の本より利益率は低い気がします。

出版には詳しくないのですが、服や雑貨などの「モノ」の原価は普通3割以下、高くても4割程度です。メーカーの収入が3割、小売店の収入が3割といった構造。
定価が1000円の場合、

原価400円+メーカーの変動費や利益300円+小売店や卸の利益300円。

でもKindleだと、amazonへのマージン650円+著者への印税(10%として)100円+出版社の利益(原価や経費諸々含む)250円。
場合によっては版元への業務委託料もかかります。

中間マージンが定価の65%だと、ビジネスの構造として無理を感じます。
また、電子書籍は実売印税です。売れた数しか印税が発生しないとしたら、10%だと安すぎて生活出来るか心配になります。
作り手(漫画家、出版社)への還元率が低いビジネスは続きません。

セールという麻薬

出来ればセールに関する認識、改めてほしいんです。
「amazonが勝手にやってるから」と放置するのは危険です。(訴訟を起こした出版社・作家さんがいることは知っています)

値下げはある種の麻薬です。無計画なセールは、ビジネスの構造を破壊します。
売上が確保できても、利益を維持出来ない商売は続きません。

比較:苦境に立たされるアパレル業界

アパレル業界(百貨店)もセールが盛んで、春夏冬と定期的にセールを実施しています。

メルカリの台頭、ネット通販の一般化もあって、アパレルや百貨店も苦境に立たされています。

メルカリはアパレル業界の毒か薬か

一方、売上高の3割前後をアパレルが占める百貨店の売上高は、2017年3月まで13カ月連続で前年実績に比べ減少。4月には14カ月ぶりに全体でプラスに転じたものの、アパレルの売上高は対前年同月比1.2%減と18カ月連続減少しており、下降に歯止めがかかっていない

アパレルでは、セール期にセール用の原価が安い服を投入するなどして利益を確保しています。
でも、商売の構造がボロボロです。儲からない。

安くなるとわかっていれば、お客様もその時期にしか足を運びません。
ユニクロやH&Mなどのファストファッションもある。
ヤフオク!やメルカリで古着を安く手に入れる事もできる。

売上を伸ばすルミネ

そういった苦境の中でも、売上を伸ばしている企業もあります。JRグループが運営するルミネです。
ルミネは駅ビルで、立地的に有利です。服を買うためにわざわざ足を運ぶのではなく「なんとなく立ち寄れる場所」。他の百貨店と集客力が違います。

ショッピングセンター事業(JR東日本)

ルミネでは

正規価格での販売期間を伸ばす(サマーセールの日程を遅くする)
託児サービスを実施して集客
接客技術を高め店員の魅力で販促(コンテンストは2006年頃にはあったかと)
(関連リンク)
ルミネがセール時期を後倒し、夏の全館セールは7月28日に開始
ルミネが“託児サービス”&“親子でワークショップ”を実施!「ママ応援DAYS」
接客ロープレコンテスト「ルミネスト2016」

…といった策を打っています。

セール日程の変更や託児サービスは今年からですが、CS(顧客満足)を高めるための活動は10年以上続けています。
立地の優位性だけでなく、継続してきた努力が実ってるからこそ、物が売れないと言われる昨今でも、売上や利益を増加させることが出来るのだと思います。

セールの後ろ倒しは思い切った対応です。

多分、今年のセール時期は、出展者の商品価格が他より高い2週間があった筈なんです。
同じスカートでも、セールしてるテナントでは半額、ルミネ内だと定価のまま、みたいに。

今後は他の百貨店も足並みを揃えてセール時期を遅らせると思います。

アパレルの場合、売れ筋外商品や在庫を処分する必要もあるからセールは必須ではありますが、1番売れる時期にセールをする構造は疑問でした。改善することを願っています。

アパレル業界も、綿花の高騰などで原価が上がるけど、商品の値上げは難しい状況。断捨離ブームやメルカリの台頭で売上は下がっている。苦境だと思います。

でもアパレルや百貨店は、売れない言い訳はしていないと思います。デザイナー(作り手)を責めてもいないですし。

お客様(読者)の変化を語っても、変化に対応出来ない・ニーズに答えていない自分たちを分析し行動を変化させているように思います。

まとめ

結論は
・電子書籍はマージンが高すぎる(原価率高い、利益率が低い)
・セールは方法にもよるが、現状は良い方法とは思えない

記事を書くまで気づきませんでしたが、利益率が低すぎます。この数字で利益が出せたらすごいと思う。

今は紙の本もあるでしょうが、電子書籍単体で利益が出る構造にしないと続きません。

また、セールは一時的に売上を確保できますが、長い目で見たら首を締める行為です。売上は下がる。

この記事は店長、法務部としての経験や作家さんから教えていただいた情報を元に書いてますが、契約書や支払い書原本を読んだりはしていません。

気になる方は私ではなく、編集さんにお問い合わせ頂ければと思います。

***
余談ですが。
出版社の方は、CS(顧客満足)とかES(従業員満足/この場合は漫画家さんの満足度)について考えているのでしょうか…?

個人的に本が売れない理由は、出版不況でもなんでもなく、単なる時代遅れなだけです。
CS、ESに対する意識が低すぎるから売れないのだと思っています。

売り場は買い場になっておらず、アイテム数が多すぎて何を買ってよいか分からない。
買いたい商品は在庫切れ。売り場にスタッフがおらず問い合わせも出来ない。取り寄せには時間がかかる。

SNSの対応も一方的なアカウントが多い。
(竹書房の件に限らず)私はごく普通の問い合わせもしてますが、複数の出版社に無視されています。
Twitterやメールの問い合わせには、返信して欲しいです。

本や漫画が売れない理由、作家さんの責任でしょうか?
現在のような不誠実な問い合わせ対応は売れない原因にはなりませんか?

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出版社の方には、販売価格に限らず、色々と考えて頂きたいと思っています。
長くなりましたが以上です。それでは!

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