【読書記録】最近読んだ本メモ

【読書記録】生業としての小説家戦略 (わかつきひかる)感想~小説家や漫画家必読!情報満載な実用書

投稿日:

いやいや、とても面白かったしお役立ちでした。
『とある新人漫画家~』読んでショックを受けた人は、これ読んだ方が良いよ。

漫画と小説でジャンルが異なりますが、先輩作家によるアンサーのような1冊です。

自費出版なのでKindle、楽天KoboGoogleブックス紀伊国屋の電子書籍として販売。
Kindleだと989円です。
Googleブックスで試読できます

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【内容紹介】

出版社の「不都合な真実」とは?
編集者になめられないノウハウとは?
専業作家として20年にわたって120冊もの執筆を重ねた著者が、辛酸を舐めた経験から学んだ自衛法と、「稼げる」極意を伝授。

KADOKAWA「カクヨム」読者ランキング1位になりながらも、なぜか出版が見送られたワケありの連載を書籍化。

理不尽な出版社を訴えたとき、著者の身に何が起こったのか!?
小説家になりたければ読んどけ!

【読むに至った経緯】

昨日の記事にも書きましたが、現在Togetterで「原稿依頼がきた時に確認すべきこと」まとめ を更新しています。その中であったことがきっかけです。

漫画家は下請法に適用されない?

コメント欄で、こういった指摘を受けました。強調は私によるものです。

多分漫画家は下請法の対象外だと思う。著作権法という超強力な権利をもたらす法律がある。
日本書籍出版協会と日本雑誌協会は「作家(執筆者)が創作する小説、随筆、論文等、および美術、写真、漫画等の作品」を下請法の対象外としています。

調べたんですが、たしかにガイドラインではそうなってました。
出版社における改正下請法の取り扱いについて(日本書籍出版協会)

イラストレーター、ライターには下請法は適用される筈です。
発注元の指示の下で作成された成果物だから。それは分かる。

漫画家は下請法に適用されない?

Twitterで検索してみたら、何人かの漫画家さんが同じ旨の発言をしていました。

漫画家・緒方ていさんは別の時期に2回、近い内容でツイートしていました。
「適用されない」の根拠は日本書籍出版協会のガイドラインによるのかな?と思います。

でも漫画家・小説家が適用されない理由・根拠に納得感はありません。

過去も現在も、”作家の思うままに”描かせてはいないでしょう。初の連載だと特に。
例えば「オリジナル同人誌がそのまま連載・単行本化した場合に適用されない」というなら理解できなくもないけど、実態はそうではない。

漫画家でも下請法に適用される?

一方で「適用される」て方もいて。根拠は示されておりません。
ちょっと”裁判にかければもしくは”という言い回しは気になります。曖昧な雰囲気が漂います。

結論

私は外の業界の人間なのでストレートに言うと、古く陳腐化しているガイドラインを信じ込んでいるだけな気がしました。

普通に考えたら、下請法に適用しないとまずいでしょう。
特に大手出版社の力は強力ですよ。中小企業だって吹き飛びそうなのに。個人なんて簡単に吹き飛ぶ。

そこで、実際に漫画家・小説家として活動している方のブログ記事でもないかな?と思って検索をしていたら、この本に出会いました。

【解説と感想】

前置きが長くなりましたが感想です。

作者のプロフィール

作者・わかつきひかるさんは、ジュブナイルポルノ、ライトノベルなどで執筆する小説家。京都府出身、奈良県在住。昔は千葉県に住んでいました。

別ペンネームを含めて著書は120冊以上。デビュー20年のベテラン作家です。”ジュブナイルポルノの女王”とも呼ばれているそうです。

小説家わかつきひかるのブログ

現在も執筆活動を続けており、小説家として本を出すだけでなく、新人賞に応募したり、企画書を提案してハウツー本を書いたり、文章教室を開いたりもしています。
私はお名前だけしか知らなかったのですが、ブログ記事を拝見して「ここまで精力的に活動している方ってほぼいないのでは…」と驚きました。

本の構成

詳細はamazonの紹介ページを参照ください。
前書き、4章、あとがき、で構成されています。

章の終わりにはチェックシートっぽく、ポイントが羅列されています。これも便利で良い。

第一章 出版社を提訴してみた

長期間に渡る未払いが発生し、出版社を相手取って少額訴訟した体験を書いています。

私は経理担当だったので、入金日に口座チェック、振込まれていない場合は電話で連絡してすぐ振込んでもらう。逆にこちらのミスで入金が漏れてた等あった場合は即振込む、なんて当たり前の話でしたが…。違う業界もあるんですね…。

求められてないかも知れないけど、月末に請求書は出していいと思うよ…。
経理担当としては振込漏れないから逆に楽です。印税は仕方ないけど、原稿料の部分で作家に発行させないのが不思議。

また、未払いで提訴するとき、遅延金(利息)を上乗せする等、具体的なノウハウも書いてあってお役立ちでした。

第二章 トラブルを回避・自衛するための処世術

前章でも触れられた未払いの件もビックリでしたが、「本名が同じ、他の人の印税が3カ月連続で振り込まれる」って恐怖でしかないんですが…。これ、着服されても文句言えないと思うよ。

流石に120冊単行本を出している方だけあって、酷い編集者は本当に酷いな…と。
仕事の受注からネットとの付き合い方、編集者の状況などを書いています。

わかつきさんの経験談ですが、女性作家の方がトラブルが多いようです。セクハラめいた行為もあったし。なんだかなあ…。

個人的に、(先のまとめの中で)「編集者が”原稿を預かる”と言ったら注意」(意訳)と書いてる方がいて。
謎だったのですが「単行本にするから!と言って2年間何もなかった」…てことがあるんですね…orz
「編集者が預かると言っていた漫画原稿がヤフオクで売られていた」という話も「え??」でしたが…。

「編集者が作家に、自分の書きたい妄想小説を書かせる」といった下りは、「お前、何したいんだ(怒)」とも思いましたが、ネットで検索するとザラにいるようなので…なんだかなあ…。訳が分からない。

編集者さん、平均で50人、多いと70人も作家を抱えている方もいるんですね…。そりゃ回らないだろう…。

第三章 パクリとオマージュのあいだ――著作権は作家の味方です

過去の事例を紹介しつつ、著作権や契約書について解説しています。

”タイトルに著作権がない”…て言われてみればそうですね。こういうのは具体例を示されないとわからないものですね。

著作権は理解してない漫画家も多いのが実情。
ドラマ化してる方でも無知だからヤバイし、プロなのにSNSで発言したりもうね…。お前プロだよな?と言いたくなりますね…。

第四章 作家の節税法――脱税はダメだけど、節税はオッケーです

節税の話。ここはとても良いな、と思いました。
企業だと公認会計士や税理士を雇うのは当たり前ですが、個人事業者だと思いつかないかも。

好きなところ

まえがきで

現在作家でいらっしゃる方や、これから作家になるみなさんに、転ばぬ先の杖をお渡ししたいと思っています。

…と書いているのですが、ご自信の体験を書くことで、作家を支えようとしているところ。
そして実際、支えることが出来る内容であること。

それなのに、サラリと読めるし、面白くもあるんですよ。
独特のやさしい、やわらかい雰囲気があって居心地もよいし。

表紙からだと「ノウハウ」が前面に出てますが、エッセイとして読んで楽しい内容です。
私は1時間くらいで読み終えました。「ちょっとだけ見とくか」程度だったんだけど、ページが進む進む。うひゃー、と思いつつも勉強になる。

また、過去の事例には随分困らされた筈ですが、ご自身で解決しているせいか、暗さや恨みがないのが良い。

自分に酔うこともなく、編集者だけを悪者にすることもなく。でも変な編集者がいることは伝える。
おもしろく、バランスも良く、実用的な1冊です。

まとめ

わかつきひかるさんの今作は、『とある新人漫画家~』より先に刊行しているのですが、読んでみて新人作家による問題提議と、ベテラン作家の回答を見るようでした。素敵なエール交換ですね。

しかし「カクヨム」エッセイ部門で1位だったのに刊行されないとかKADOKAWAエ…?
ちなみに「カクヨム」運営は旧富士見書房系らしいので、『とある~』に登場したボーノ氏が所属する旧角川書店系とはまた別です。

こちらの本も話題になって沢山読まれると良いなあ、と思っています。

Googleブックスで試読できます

それでは~

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