【感想】父親による育児漫画

『産後が始まった!』(渡辺大地、青柳チカ)感想~父親になった男の、素直な疑問と勘違い~

投稿日:2014年5月18日 更新日:

男性(父親、夫)の目から見た産後を描いた『産後が始まった!』(原作:渡辺大地、漫画:青柳チカ)。

奥さんが2人目の子どもを妊娠したのをきっかけに、奥さんの妊娠・出産、産後の生活について考えるようになった作者。
1人目妊娠の頃の自分を振り返りながら、産後の奥さんの体調や気持ち、家族のありかた、自分の行動や言動を見直します。

産後に「夫が協力的ではない」「夫に○○と言われた…ショック…」そんな言葉を目にすることがあります。
私も旦那さんの悪気ない一言に傷ついたことは何度もありました。
「悪気ない」のは分かっているのです。でも、「なんでそんな言うの…!?」と頭をぐるぐると巡る黒く暗い疑問。

この漫画を読んで「あ、そうか。何も知らなかっただけなんだ…」と気付かされました。
それでも、両親学級、私が買った育児漫画、NHK「すくすく子育て」などで予習していたうちの旦那さんはマシな部類だと思います…。

独身、既婚、産後に関わらず、世の男性に是非とも読んでほしい本。

全148ページ、1188円(税込)です。

amazon ★★★★★(4.8) ※レビュー5件
楽天 ★★★★★ ※レビュー1件

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【内容紹介】

脱サラして産後の家事サポート事業を展開する2児の父が自らの妻の産後をつぶさに観察した産後日記。
パパの視点からママの日々の育児を観察することで見えてくる、男女の産後の日々の感じ方の違いをわかりやすいマンガでお伝えします
男性が自分は「イクメン」だと思っていても、実はまったく妻の助けになっていないことも・・・。
最近、巷で話題になっている、産後にはじまる夫婦の溝=「産後クライシス」も、著者の経験した産後の「パパの壁」エピソードを読むことで防ぐことができそうです。

【感想】

夫が産後の妻をみて「育児は楽しそうだし、働かないで済むなんていいよな…」と思っても不思議はない。
だって、知らないのだから。

私は女ですし、出産した友人もいて大変だとは聞いていましたが、産休の時期に「赤ちゃんは寝ている時間も長いらしいし、Eラーニング受けたり、通信講座で資格とったりできるかな~♪」…などと思っていましたから…マジで…(汗)。
散々、旦那と産後の対策会議をしている一方で、そういう甘い考えもあったんです…。産後はそのくらいなら出来るだろう、と思ってました。

出産前は男性、女性ともに認識不足。
女性は現実に直面して考えを改めますが、男性は中々気付けない。

でも、「産後について何も知らない」と気付くことは、大きな前進だと思います。
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作者のプロフィール

原作は渡辺大地さん、漫画は青柳チカさんが担当しています。

原作者の渡辺大地さんは、1980年生まれ。
2011年に株式会社アイナロハを設立。
産前・産後女性の子育てや家事をサポート(家事代行)事業や「父親学級」を行っています。

2007年に結婚、2009年(27~28歳?)に第1子(息子・リョウくん)が誕生。
2012年(31~32歳?)に第2子(娘・ミトちゃん)が誕生。

株式会社アイナロハ
●作者ブログ「バースプランは産後まで」

家族は、渡辺さん、妻・コトミさん、長男・リョウくん、長女・ミトちゃんの4人。

作中で描かれる渡辺さんは「学生時代はテニス部でした?」みたいな熱血系スポーツマン…という印象。
産後女性のサポート事業を行っていることもあり、よく見えているし、気付き力も高い方に見えます。
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漫画を担当している青柳チカさんは、妊娠・出産漫画、育児漫画を描いたこともある漫画家さん。
読みやすいし、子どもの描写もかわいらしくていいですね。
青柳チカさんブログ「パニックかあさん子育て絵日記」

漫画の構成

4章に分かれており、15のテーマ=産後の壁が語られます。
目次はこんな感じ。
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掲載順ではありませんが、テーマ別にまとめると、こんな内容を扱っています。

【前提】
・出産=ゴールではない

【妻の心と体の話】
・産後の妻は重病人
・夫婦で異なる「自由な時間」の捉え方
・妻の産休と復職

【妻との関係】
・産後のセックス、セックスレス
・疲れてイライラしたとき
・義母(=妻の母)との関係作り

【子どもの世話】
・赤ちゃん(2人目)の世話(オムツ替え、泣いている時)
・1人目のケア(赤ちゃん返り、発熱で保育園休み)

【自分のこと】
・育児が楽しくない

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1つのテーマにつき、5~7ページの漫画、妻のコラム「ママからも言わせて!」、夫のコラム「ダイチの気付き」の3つがセットになっています。
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たまに「子育て侍Q&A」というコラムも。
素直で率直な質問と、ぶった切り辛口の解答がいい感じです。
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この漫画の特徴

男性目線で産後の生活を描いています。
最初の4ページで自己紹介がてら”自称イクメン”だった自分を描くのですが、これが的を得ていて。

世の中にあふれていそうな勘違い…。
父親の周りの友人や同僚、両親、そして妻自身が勘違いを助長している場合もあると思うので、その勘違いを責めるのもおかしいし…。
この辺は難しい問題です。
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「言わないからわからない」という作者に対して、妻は「文句なんて言えなかった」と口にします。
うんうん。こういう気持ちもあるよね…。

外で働いて疲れている旦那さんに、家事や育児のあれこれをお願いするのもどうかな…と思っちゃうんですよね。
休みの日は色々やってもらうけれど、2人ともストレス溜めるのも微妙だし。

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自分が気に入ったテーマ3つ

作中に描かれる15のテーマそれぞれ納得感があり、役に立ちそうなのですが、特に心に残ったのはこの3つ。

妻のいない家は無法地帯?

家が綺麗な理由に気付く話が描かれます。
家事って簡単だと思っていたけれど、掃除や洗濯、全部終わらせたらもう15時…?お迎えの時間じゃないか…!

奥さんが掃除したり片づけたりして維持しているから、きれいなんだ…!
家事ってこんなに時間がかかるんだ…。

そんなことに気付く作者。

うん。もっと褒めて(笑)。
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退院してきたケガ人!?

産後の女性の身体についても描かれています。
私自身、産後の体が想像と違いすぎてびっくりしました。
私だけでなく、「産後の身体って別人みたい…」「産んだら元に戻るんじゃなかったの??」というのは、妊娠・出産漫画でよく描かれるエピソードです。

出産したことのない女性がそうなのだから、男性は余計に実感がわかない、分からない話のはず。

渡辺さんご夫妻は風呂場に妻の悪露が残っていたことがきっかけに話せたようですが、確かに話しにくいと感じます。
下の話だし、体調もなんとか我慢できないレベルではないし…。

一般的な話だけでも、知識として身につけてもらう必要を感じます。
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妻の復職は誰が決める?

復職への不安を口にする妻・コトミさんに対し、「自分次第」「戻りたいなら戻りなよ。戻りたくなかったら専業主婦でもいいよ」…という作者。

やばい。うちにもあったよ、こういう感じのこと。
いやまあ、旦那さんの気持ちも分かるし、こちらの意思を尊重してくれならありがたいんだけど…。
「自分には関係ない」って言ってない?

私が働くか働かないかは、これからの家事や育児の分担、お金のことを考えることでもる。
その辺も検討した上で「専業主婦でもいいよ」って言ってる?

自分が転職するときはどうなの?そう答えてほしいの??

…などと、裏の裏まで考えてしまって疲れます。
不安を受け止めてくれなくてもいいのですが、家族の一員として、パートナーとしての考えを言ってくれないものか。

作中の妻・コトミさんは上司の言葉で復職を決意したと語っていました。

今年、認定保育所の抽選に漏れた為に退職を考えていた友達は、上司から「時短、在宅で続けてみないか?」と打診されて、私立保育所に週3日預けて、在宅アルバイトで勤務継続となりました。
給与としては保育所代と変わらない程度になりそうですが「お金の問題じゃないんだよ。上司の言葉が嬉しかったから続けたい」と話していました。

こういう家庭は少なくないと思います。
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まとめ

妻の立場から読むと「うちはこんなんじゃない。もっと酷い…」と思う方もいる気がします。
でも、夫がこの漫画を読んで、自分が知らないこと、勘違いしていることに気付いたら、色々変わってくる気がします。

正直に「ダメパパだった頃の自分」をさらけ出してくれた作者に感謝。

より楽しむために

この本を読んで気付いたのは、男性は、妊娠・出産・育児についての知識がない上に、学ぶ機会もほとんどないこと。
自分が把握している男性(夫/父親)の育児体験を描いた漫画や、女性の産後について学ぶことが出来る漫画を色々並べてみました。

男性目線で妊娠・出産・産後の体験を描いた漫画

『榎本俊二のカリスマ育児』(榎本俊二)や『まんが親』(吉田戦車)、『オレなんかが親になって大丈夫か!?』(カラスヤサトシ)に1-2話程度収録されていますが、妊娠・出産を中心に描いている作品は少ないです。

スタンドバイミー パパはここにいる(原案:佐藤新太郎,漫画:平田京子)

大分県が作成した、父親の子育て支援漫画。
1人目の妊娠と妻の育児休暇、2人目の妊娠と自分(夫)の育児休暇体験が描かれます。
PDFデータをWEBで公開中、無料で読めます。良作。
『スタンドバイミー パパはここにいる』感想
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はじめて赤ちゃん(阿部潤)

雑誌連載時に、妻の妊娠から出産、育児の過程をリアルタイムで描いていたという、作者の体験を元にした漫画です。
私が妊娠中に旦那さんが読んで、1番共感できたと話していました。
『はじめて赤ちゃん』感想

ぢごぷり(木尾士目)

出産後を描いた創作漫画です。
退院直後の新生児育児の雰囲気はよく出ていると思います。
寝ない赤ちゃん、疲れておっぱいが止まり苦しむ母親の描写はリアリティを感じます。

核家族で育児していたらこのくらい追いつめられることもある。そんな育児の暗黒面を描いた作品。

反面、私の中ではリアルなだけで面白さがない漫画でして。
作者の木尾士目さんは男性。でも、作中で父親は描かれない。
女性である私が読むともやっとイラッとする部分もあります。双子の妹に父親役を背負わせているからか、視線がいやらしく感じるせいか、萌え要素があるせいか…?
出版社のサイトで数ページ試読できます

男性による育児を描いた漫画いろいろ

古いのですが、私が作ったまとめへのリンクを貼っておきます。
近いうちに女性作家が描いている作品(『おにぎり通信』や『ツレはパパ~年生』)や創作漫画(『プロチチ』初期の『うさぎドロップ』など)を加えて最新版を作る予定です。

【育児に役立つ?】男性漫画家が描いたおすすめ育児マンガ
男性漫画家が描いた育児漫画(私が読んだ育児漫画の感想)
男性による育児や主夫業について描いた漫画いろいろ

産後を描いた漫画いろいろ

女性作家ばかりです。

マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK(フクチマミ)

「産後の知識が足りてないなー」と思ったら、この1冊でカバーできると思います。
子供の年齢・性別・人数が異なる「十人十色なお母さん」20名と、編集者セキガワさん、フクチマミさんが自身の産後体験が描かれています。
副題「生まれたらこうなる!」…って、教えておいてよ、もー!!の通り、子どもが生まれて~1歳になるくらいまでの期間に起こる「知っておきたかった…」現実を描いています。
『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』感想

王子と赤ちゃん(カワハラユキコ)

女性の立場から産後クライシス体験を描いた作品。
女性側の心理が分かりますし、産後クライシスの根本は、夫への愛や信頼が崩れていくことのような気がします。
『王子と赤ちゃん』感想

ママだって、人間(田房 永子)

女性の立場から妊娠・出産~産後を描いた作品。
子どもを産んだ後の女性の心が巧みに表現されていると思います。

女性の性やセックスについても描かれているので好みが別れると思いますので、感想をご参照ください。
『ママだって、人間』(田房永子)感想~

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