出産時の年齢が40歳~

『妊カツ!』(あらいきよこ)感想~不妊治療について学べる実用書~

投稿日:2013年11月21日 更新日:

カテゴリを妊娠・出産体験マンガにしていますが、「不妊治療について解説した本」でした。
半分は不妊治療の体験を描いた漫画ですが、半分は解説です。

「体験漫画と不妊治療の基本的な解説がまとめて読めてお得」と思うか、「もう知っていることばかり。漫画は少ないし中途半端だなあ…」と思うか、「え?そこまで深刻に考えなきゃいけないの??」と思うか。
その人の年齢や知識、経験によって評価が変わりそうな本です。

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※amazon、楽天ともにレビューなし

【内容紹介】

妊娠したい人必読の妊活本!

「天からの授かり物」と言われる赤ちゃん。
ところが、最近では、「妊活」という言葉も生まれ、子どもは「授かるのを待つ」ものではなく、「授かりに動く」ものになりました。

漫画家のあらいきよこ先生は、15年にわたって不妊治療を経験し、3年前に自然妊娠にて女児を出産。その経験を実録コミックエッセイにて紹介します。 さらに、自然妊娠するための体作りから不妊治療までの妊活基礎知識や、最新情報を徹底取材記事にて解説。妊活初心者のかたから、もしかして不妊かもと悩むかたまで、赤ちゃんが欲しいと思うすべての人、必読の実用書です!

【内容解説】

実用書としての側面が強いので感想ではなく解説から。

作者のプロフィール

漫画家・あらいきよこさん

あらいきよこさんは雑誌「ちゃお」の看板作家としておなじみ。代表作は『Dr.リンにきいてみて!』。
私が購読していた少女漫画誌は「なかよし」「りぼん」でしたが、あらいきよこさんとやぶうち優さんは知ってます。

27歳で結婚。約15年間の不妊治療で人工授精13回、体外受精13回、4回の流産を経験。
40才を過ぎて身体に異常をきたし、妊活を中止。その後、自然妊娠。2010年2月に女の子を出産。
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作中に具体的な年齢は描かれていませんが、内容紹介に「15年にわたって不妊治療を経験」とありますので、結婚した年から開始したと仮定して42~43歳で出産されたようです。

監修・原利夫医師

不妊治療専門クリニックはらメディカルクリニックの院長。
医学博士。専門は生殖生理学、内分泌学、精子学。不妊治療に関する著作も多数。
※はらメディカルクリニックのHP、内容充実していてすごいです…。
hara

この本は、あらいきよこさんが描いた体験漫画と、はらメディカルクリニックの原利夫医師の解説で構成されています。

全143Pの本(144P目は奥付)で、あらいきよこさんの漫画は78P。
残り65Pが妊娠の為の基本知識や不妊治療の説明ページです。
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小学館の作品紹介ページで試し読みが可能です。

作品の流れ

三部で構成されています。
体験漫画が6~8Pあり、その後に解説が入ります。

初級編:妊活の基礎 9~70P(61P)

 -知っておくべき体の現実(チェックシートで生活を振り返る)
 -基礎体温をつけよう
 -妊娠体質を作る方法(自然療法をとりいれよう)
 -妊娠力をチェック!プレマタニティ検査
 -排卵日を特定・タイミング法
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中級編:不妊治療 71P~102P(31P)

 -夫婦で病院へ~検査内容や考えられる不妊の原因
 -人工授精(AIH)について
 -病院を変えてみる?~転院先の選び方など
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上級編:高度不妊治療 103~138P(35P)

 -体外受精と顕微授精
 -不妊ストレスとの向き合い方 
 -不妊治療のやめどき
 -不妊治療にかかるお金
 -不妊治療に関するQ&A
 -経験者が語る妊活のリアル
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各部のページ数つけましたが、基本的な妊活についてが半分を占めています。

内容紹介には「赤ちゃんが欲しいと思うすべての人」を対象にしたとありますが、私は「不妊を疑い始めた人が読むといい本」だと思います。例えば基礎体温をつけていて自己流のタイミング法を試しているけれど、婦人科に行く勇気がない人。
逆に、不妊治療中で人工授精や体外受精に挑戦中の人にとっては知っている内容が多く、体験漫画は物足りないと感じそうな気がします。

【私の感想】

すみません、愚痴ります。私はがっかりしました。何故か。漫画が目当てだったのに、少なかったから。
流石という出来だった分、妊娠中や出産の時のことも読みたかったなあ…。
※上にも書きましたが、漫画が半分、コラムが半分という本です。

体験漫画の感想

漫画自体は良い出来だと思いますが、全体としてライトに描かれている印象です。
あらいきよこさん自身の体験がわかりやすく描いてあり、さらーっと読めます。読者のターゲットが「不妊を疑い始めた人」や「現在、妊活中の人」だからかと思います。また、将来この本が娘さんの目に触れる可能性を考えた場合、ギリギリのラインで描いているように感じました。

卵管検査や人工授精、体外受精など、知識としては知っているけれど「どんな感じだろう?」と思う施術の雰囲気がよくわかりました。
短いけれどポイントは押さえてあり、病院での不妊治療について色々想像することができました。
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27歳で結婚。すぐ子供を作ろう!と思ったけれど、中々できない。
旦那様は6人、作者自身も4人きょうだい。避妊しなければ子供なんて簡単にできると思っていた。
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30歳までに子供を産みたい、と努力するけれど訪れる生理。
そんなある日、義母からきつーい一言を告げられる。
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ここから本気で?妊カツ開始。まずは基礎体温をつけてみる。
雑誌を読んでは、妊娠できると言われる道具を買って試す。民間療法から漢方、温泉、御払い等々、「妊娠できる」といわれるあらゆる方法を試してみるけれど、妊娠できない。
「妊娠する為にあるとあらゆることをやった」と言うだけあって、タイミング法から御払いまで、本当に幅広く試している印象…。
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「万が一、何か病気があったらまずいし…」と、婦人科を受診。

3つ目の病院で卵管造影検査を受け、クロミッド(排卵誘発剤)を服用してのタイミング法を開始。
その後、不妊治療を開始。色々な検査を受け、不妊の原因を調べる(妻=作者の黄体機能不全と夫の精子運動率が低いことが要因だったようです)。
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医師の勧めで人工授精(AIH)を開始。10回以上チャレンジするも、子供を得ることは出来ず。
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転院して体外受精を開始。
がんばっても、がんばっても、子供が出来ない。襲いくるストレスと不安。
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そして、びっくりするほどかかるお金…。
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漫画は綺麗だし、短いページでテンポよく読ませます。
不妊治療が大変だった話は「こぼれ話」としてちょっとだけ。ストレスの話が6Pと、お金の話が4P。
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私は不妊症ではありませんが、1人目はなかなか授かりませんでした。
当時、私は原因が旦那さんにある気がしていました。でも、どう切り出していいものかわからなかったし、それを伝えることで旦那さんが傷つくのも嫌でした。

あらいきよこさんと旦那様は15年間も治療を続けていて、すごいと思いました。
お互い「子供が欲しい」という気持ちが強かったのでしょうけれど、男性側にもストレスがかかると思うし、検査やお金のことで揉めてしまいそう…。

お金の話も、短いながらガッツリ描いてある印象でした。
あらいきよこさんは人工授精と体外受精、トータルで1千万円以上使っていると描いていましたが、民間療法やお祓い、検査や歯列矯正と手術などもしているのでそれ以上ですよね…。くらくらしてきた…。
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1人目がなかなか授からないとき、不妊症の治療費について調べて金額にくらっときて、そっとプラウザをとじる…ということもありました。
うちの家計だと体外受精にチャレンジするのもいっぱいいっぱいだ…。
頭では分かっているんだけど、この金額の請求書を受け取る覚悟をしてからじゃないと治療できない気がする…。

お金のことや不妊治療のストレスについては解説でも書かれています。具体的で分かりやすかったです。

まとめ

1050円の本1冊で不妊症治療について分かる本が手に入るのは悪くない気もします。解説は読みやすいとは言えませんが、しっかりした内容で読みごたえはあります。
作者の名前で興味を持った人、作者の15年に渡る不妊治療経験談が読みたいといった人には「漫画部分が少なすぎる」と感じると思いますが、不妊について知りたいと思っている人には良い本ではないでしょうか。

個人的には、あらいきよこさんが育児漫画『お腹の中でかくれんぼ』を連載していることを知ったので、そっちもチェックしようと思います。
小学館「姉系プチコミック」にて連載中、らしいです。
(ネット上には情報が全くないんですけれど、題名見ると妊娠漫画な気がしますが、どうなのか。小学館はネット情報を充実させてください…)

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