2001年~2010年発売

『キキさんち』(南Q太)感想~子どもは5人!ステップファミリーの怒涛の日常~

投稿日:2014年7月19日 更新日:

漫画家・南Q太さんによる育児漫画といいますか、家族との日常を描いたコミックエッセイです。
子どもが4人から5人に増え、上は中学生、下は乳幼児…という生活は壮絶ですね。
読みながら”楽しそう”と思うより先に”そ、壮絶…”と思ってしまいます。
今現在、1人の子育てでアタフタしている自分が読むと、作品を漂う「諦観」がなんとも心地良い作品です。
全216ページと厚めの1冊。1080円(税込)です。
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amazon ★★★★(4.0) ※レビュー1件
楽天 ★★★★★(5.0) ※レビュー1件

【内容紹介】

キキさんちはいわゆるステップファミリーです。
キキさん、結婚3回目、オイさん(夫)結婚2回目。そしてら長女3人、長男2人、計7人というなんとも不思議な大家族になりました。
怒涛のように過ぎていく毎日。それでもなんとか家族やってます。 アスペクトONLINEウェブ人気連載ついに単行本化!

【感想】

作者のプロフィール

南Q太さんは1969年産まれ。島根県雲南市出身。代表作は『さよならみどりちゃん』『ピンクペッパー』など。
私の中では雑誌・祥伝社「FEEL YOUNG」に描いている作家さん、という印象ですね。

南Q太さんは過去に2回離婚し、今回が3回目の結婚。
家族は、夫と4人の子ども。猫2匹。
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作品の途中で娘が産まれ、子どもは5人になります。大所帯だな~。
27~28歳の時?、1人目の夫(漫画家のSABEさん)との子ども、長女・アイを出産。
30~31歳?で、2人目の夫(歌人の枡野浩一さん)との子ども、長男・イクを出産。
37~38歳で、3人目の夫(編集者のオイさん)との子供、次男・ウタ、38~39歳で次女・カエを出産。
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「キキさんちはいわゆるステップファミリー」…とありますが、この漫画を描く前に既に一山超えているようなので、読んでいて”ステップファミリー独特の空気感”を感じることはありませんでした。
(この漫画の前編ともいえる文章エッセイにその辺の葛藤が書いてあるのかも知れません。)

漫画の構成

1話6ページで、全26話を収録しています。
私は南Q太さんの創作漫画はどちらかといえば苦手でした。
FEEL YOUNGで押していた漫画家、例えば岡崎京子・桜沢エリカ・魚喃キリコ・南Q太らの作品は、内容が頭に入ってこなくて。
作品を流れるリズムが自分とは違っていて、作者の意図するところが汲み取れないのです。表紙や絵の雰囲気は好きなのですが…。
そんな私が今作を買ったのは、今島根に帰省しているから…という、それだけの理由です。南Q太さんは島根出身。私も島根出身です。
島根といえば板わかめ…。美味しいし、その辺で普通に売ってます。(関東圏で売っているのは見たことがない。)
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『キキさんち』はなんとも、表現しにくい作品です。
期待しないで読んだら意外とよかったな…と思うくらいがちょうど良いような気がします。
育児漫画が読みたい!かわいい子どもが見たい!…といった人には全くおススメしません。
淡々と日常を描いているだけで、話の起伏は乏しいし、子どもの描写がかわいいとは言い難い(読んでいるうちにかわいいと感じますが、見るだけで癒される…!といったことは無いと思う)。
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今まで読んだ育児漫画の中では、最も達観しているというか諦観しているというか、距離を感じるというか。
終始、作者が無表情なのが大きな特徴かもしれません。
感情の起伏が薄い。忙し過ぎるととそうなるのかも知れない。
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10年以上子どもを育て、日々忙しい中で漫画も描き。
ストレスが溜まるとフラリと旅に出る(※でも子連れ)。
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悩みや葛藤も描かれているけれど、現在の自分とは悩みの次元が違うせいか、共感できないのが逆に居心地がよく感じます。
この辺は不思議な感じでした。
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淡々と、ただ淡々と日常を描いている感じ。笑えるところも泣けるところも特になく、平坦。絵も丁寧とか、かわいらしいとは言い難い。
でも、独特の雰囲気があり、読んで肝が据わるというか、なんとな~く、吹っ切れるというか。切り替えられるというか。
人によって合う・合わないは大きい気がしますが、不思議な魅力がある漫画だと思いました。
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余談ですが伊藤理佐・吉田戦車夫妻が登場したのでびっくりしました…。
交友関係が広いせいか、色々な作品に登場しているな…。
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より楽しむために

南Q太さんが自身の経験を元にして描いたのかな?と思われる作品です。

今日も夫婦やってます(南Q太)

3人目の夫・オイさんとの結婚生活を描いたエッセイ。こちらは文章です。
『キキさんち』の作中で、次女・カエを産んだ晩にエッセイを書いた…と描かれているのがこの作品。
単行本刊行記念対談(WEBちくま)

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ピンクペッパー(南Q太)

40歳すぎて妊娠が発覚した女性を描いた作品。育児をしている女性のささやかな日常の描き方がうまい、との声が多い気がします。
育児漫画について調べていて、この作品の名を挙げている人が何人かいました。

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ひらけ駒!(南Q太)

作中で長男・イクくんが将棋にハマっている様子が描かれていましたが、その体験を元にして描いたと思われる将棋漫画。
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試読したら面白かったので興味が沸いたのですが、講談社「モーニング」での連載が途中で止まっていて、単行本も8巻までで止まっているらしく…。
色々事情があるのでしょうけれど、なんだか勿体ないなあ…。
●講談社モアイにて1話が試読できます

関連書籍

感想を書くにあたってプロフィールを調べていたら、関係者に創作活動をしている人が多く、育児漫画を描いている人、結婚生活について記している人が多いので関連書籍としてまとめました。
育児漫画を読んだ時、作者の交友関係が垣間見れるのが楽しみの一つではありますが、ここまで関係者に作家が多いとどうなんだろう……?とも思います。

さべちん(SABE)

南Q太さんの1人目の夫・漫画家のSABEさんが、長女・アイ(=ゆらさん)を描いた育児漫画『ゆらさん日記』が収録されています。
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育児漫画で検索していると、この作品を挙げている男性が多くて驚きます。エロ漫画誌で掲載されていたからかしら?
※18禁のエロ漫画なので注意。
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結婚失格(枡野浩一)

2人目の夫は歌人・芸人の枡野浩一さん。長男・イクくんの父親。
『結婚失格』は枡野さんが結婚生活の破たんを書いたもの。文庫本についている町山智浩さんによる解説への賞賛が多いという不思議な本。
読んだ人のレビューを読んで、読みたくなりました。

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講談社
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酒とナミダとマリエと赤子(安彦麻理絵)

3人目の夫は編集者(サラリーマン)であり、育児漫画を描いている安彦麻里絵さんの元夫。
夫の子ども・エミちゃんは、南Q太さんが描く次女であり、
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安彦真理絵さんの長女・フーちゃんでもあります。
akago
名前も違うし、家族関係や描く人が違うと別人のようだな…(安彦さん家族では長女で下に弟妹が3人いる)。
すくパラぷらすにて連載中

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まとめ

私はまだ「おかあさん2年生」で1人しか子どもがいません。
小学生くらいの子どもがいる方や、子どもが3~5人いる大所帯の家庭を切り盛りしている方の方がすんなり楽しめる気がします。
小さい子どもを持つ自分とは悩みの次元が違うので、読んでなんとなくの安心感はあるし、読んでいて気が楽になりました。
育児漫画、家族漫画というより、南Q太という作家に興味がわく作品でした。

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