2001年~2010年発売

『ツレはパパ1~3年生』(細川貂々)感想~ママ化する父と、親父化する母~

投稿日:2013年10月7日 更新日:

細川貂々さんの育児漫画です。
妊娠・出産の様子を描いた『びっくり妊娠 なんとか出産』の続編で、全3巻で出産後~2歳までの育児の様子が描かれています。

・ツレはパパ1年生
息子・ちーと(千歳)くんの誕生~7か月まで

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・ツレはパパ2年生
息子・ちーと(千歳)くん 8か月~1歳半まで
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・ツレはパパ3年生
息子・ちーと(千歳)くん 1歳半~2歳まで
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【内容紹介】

ツレさんがうつ病を克服した途端、結婚12年目にして赤ちゃんが生まれ、細川家はてんてこまい。
高齢子育て、主夫と大変だけれども、うつ病を経験したからこそできた「疲れたら休む」「無理をしない」育児の極意を紹介。
くすくす笑って時にホロリのコミックエッセイ!

【感想】

38歳で出産した貂々さん。夫の「ツレ」さん(出産当時43才)と息子・ちーと(千歳)くんの3人家族です。
父=夫であるツレさんが主夫として家事・育児を担当、母=妻である貂々さんが仕事をしています。
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息子さんの様子はかわいらしくてほんわかしますが、どーも、私には合わなかったようで…。
作者(両親)に対する違和感が強く、ひっかかる部分も多くて読みながら「うーん…なんでこんなに楽しめないんだろう?」と悩んでしまいました。
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自分が専業主婦なのが大きいのかもしれません。
専業主夫のツレさんが「ママ化」している様子に苛立ち、親父化している貂々さんには呆れてしまい、共感できませんでした。

女性が働き、男性が専業主夫なのがイヤな訳ではありません。
育児漫画と思って読んだら「夫婦の日常」の方が分量が多くて。その日常を読んでいて楽しくないのですよね…。

怒るツレさん。常識から外れた行動を主張するツレさん(※子連れで結婚式に参加する為にTシャツで参列したというエピソードがありまして。意味がわからない…)。
日に日にツレ(父親)との信頼関係が強くなる息子。
息子とどう接したらよいのかわからなくなる貂々さん(母親)。

自分は『ツレがうつになりまして』『びっくり妊娠 なんとか出産』が好きでこの漫画を読んだ分、2人の仲がぎくしゃくする様子を見て、なんだか暗くなってしまいまして…(極論ですが「2人の産後クライシスを描いた」のであれば普通に読めるのですが…)。
貂々さんの「素直に描く」という長所が、非常に悪く働いている気がしました。

この違和感の正体について思いを巡らせているうちに、夫に対する私自身の態度を改めようと考えるようになり、そういう意味では読んで良かったと思える作品です。
でも、素直に楽しめる作品かと言われると「どうかなあ…?」と思ってしまいます。

amazonや楽天のレビュー評価は高いので、気にならない人は全く気にならないと思います。

そのうち、『おにぎり通信』(二ノ宮知子)、『今日もお天気』(桜沢エリカ)、『カタルエ』(ムーチョ)あたりの、専業主夫家庭が描かれた漫画を比較して考えてみたいと思っています。

以下、細かい感想です。不満が多くて愚痴っぽくなってしまった。

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作者が主となって育児をしている時期を描いた1巻の前半(新生児の頃)は好きです。

出産後におっぱいがでないという苦しみ。
私も出産後なかなか母乳がでず、何故でないの?出るのが当たり前じゃないの?…と悩んで苦しかったのを思い出しました。
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気持ちが分かる分読んでいてつらかったけれど、描かれた貂々さんの表情や切羽詰まる感じは胸に迫るものがありました。
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ツレさんの「自分を追いつめて苦しみながらおっぱいをあげてるてんさんを見てるのは ちょっとつらい…」「ひとりで背おいこむことないよ」という言葉も、とてもよかった。
また、頑張りすぎて産後うつのような症状がでてしまったことや、2人で育児をすることの難しさについて描かれた話は、そうだろうなあと共感しました。
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私は現在、専業主婦で育児を中心とした生活をしています。
そのせいか、2巻、3巻と進むにつれて、貂々さん(作者)との距離が広がるのを感じました。

1巻の後半、作者の口から信じられない言葉が飛び出します。ぐずる息子に「うるさいなあ」…。
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びっくりしました。そしてドン引きしました…。
実際にあった出来事だとしても、どうしてここを描いたのだろう?
読者の批判や、読んだ後の嫌な気持ちを踏まえた上で、何が伝えたかったのだろう?

同じような状況を描いた『まんが親・2巻』(吉田戦車)は描き手の意図が見える気がしたのですが、貂々さんの意図は見えてきません。
陰で支えてくれていたツレさんへの感謝なのか、自分の至らなさなのか。

例えば、お笑いコンビ・クワバタオハラのくわばたさんは自身のブログ『やせる思い』の中で、息子を叩いた経験について書き、賛否両論を巻き起こしました。
カウントダウン法(くわばたりえのやせる思い)

当のくわばたさんは「批判は承知の上。同じように苦しんでいる人、これを読んで少しでも楽になればと思って書いた」とTV番組の中で話していました。

子供を叩くのはダメだけど、子育てをしていて理性では止まらないくらいに苛立つ瞬間があるのも事実で。
理想の母親像と現実の自分とのギャップに苦しむ人にとって、くわばたさんの言葉は響くものだと思えます。

貂々さんたちの子育ての様子も、母親が家事と育児、父親が稼ぐといった一般的なモデルとは違います。
外で働く夫が感じるであろう子育ての難しさ、夫婦関係構築のむずかしさを、女性である貂々さんが経験し感じているとも思います。

例えば、母である貂々さんが仕事中心の生活を送っており、子供との距離を感じてしまう。
子供の為に沢山仕事をして(稼いで)いるけれど、育児をしなくなってツレ(夫)に怒られる。
このままだと、ツレが子供を連れて出て行くかも…と不安になる。

まだ珍しい夫婦の形だけれども、夫婦共働き世帯が増えている世の中です。
貂々さんの本音を織り込んで構成すれば、読み手が「旦那の気持ちが理解できる」「女性が主として働くときはこんな形もあるのか…」と思える本になったとも思います。

でも、この本の主役はタイトルどおり、専業で育児を担当しているツレさんのようで。
ツレさんがいきいきと主夫を楽しんでいるなら良かったのですが、イライラした様子が多くて(楽しんでいる場面もありますが、1巻の途中からはイライラの方が多い気が…)。

産後の母親がイライラしやすいのはホルモンバランスのせいかと思っていましたが、父親が主に育児をしてもイライラするのであれば、子育てという未知の経験への不安や協力しないパートナーに対する苛立ちが原因なのでしょうか。
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2巻や3巻でも、角を生やしてがなり立てるツレさんが何度も登場します。
どんな理由があったとしても、パートナーにイライラをぶつける様子は見ていて不快です。
これも作者の意図が感じられればいいのですが、どうも意図が見えなくて…。

夫婦喧嘩自体は起きると思うのです。
でもこれは育児漫画だから、夫婦の問題について描くのは必要な時だけに絞ればいいと思うのですが…。

角を立てて起こるツレさんに対する違和感が強くなり、育児に対して腰が引けて言い訳ばかりの貂々さんに対しては呆れてしまいました。

夫婦仲良く、お互い感謝をしあっている様子も描かれていますが、結局、貂々さん自身が「ツレはイライラしているもの」と諦めているように見えます。
ある意味で、世間一般の「夫」が、子供を産んだ後の妻を女性として見なくなるように。

パートナーがイライラしている様子を「その人の性格」と決めて、諦めているのを見せられるのは悲しいし夢がない。
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読みながら、この貂々さんのおどおどした様子は誰かに似ているなあ……と思ったのですが、うちの旦那さんに似ているのかも…!と気付きました。
…だとしたら、ツレさんのイライラしている様子は、旦那さんに接するときの私の態度を映す鏡かも知れません。

私も旦那さんに求めすぎているのかなあ…。
夫婦の姿が似ているから余計に、貂々さん、ツレさんを見て苦しくなるのかも知れない。
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ツレさんと同じように角を突き出しているのであれば、旦那さんは育児に参加しにくいだろうなあ…。
旦那さんの方にも問題はあるけれど、私がツレさんと同じように接しているのなら、私の方にも問題があるなあ…。

そんな風に、考えることができました。
反面教師として自分の言い方や伝え方を改めるきっかけにしたいと思います。

うーん。読む時期が悪かったかな…(娘1歳半の時期に読みました)。

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